「茂木健一郎の「超一流の仕事脳」」

人の心を豊かにするもの

〜 バレエダンサー・岩田守弘 〜

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2008年12月9日(火)

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 今回お話を伺ったのはロシアのボリショイバレエ団でソリストとして活躍されている岩田守弘さん。旧ソ連の時代から単身ロシアに渡り、情熱と努力、卓越した技術でそれまで外国人を受け入れたことのなかったボリショイ・バレエの門戸を開かせた。

 自分が活躍できる場所を知ることが、とても大事だと岩田さんはおっしゃっていた。バレエではそれが残酷なまでにはっきりと出てしまう。ボリショイのバレエ学校の養成システムでは、生まれ持った体型で、将来どのような役ができるのかが選別されてしまう。

 バレエをやりたい人は、最初は誰もが王子の役を夢見て入ってくるわけだが、生まれ持ったものはしょうがない。そこで自分の居場所を見つけ、自分の果たす役割を見つける。岩田さんの場合は、ロシアのバレエダンサーに比べて小柄であるために、道化などの役になることが多い。

 それで悩んでいたときに、お父さんから「世界一の道化になればいいじゃないか」と言われて、考え方が大きく変わったという。あらゆる職業において、そういうことがある。それを受け入れるのはとても大事なことで、みんながスターになればよいというものではない。

 逆に言うと、単にスターなどという考え方がいかに雑駁なものか。ロシアでは「小さな役というものはない。小さな芸術家がいるだけだ」という言葉があると岩田さんはおっしゃっていた。ここに奥深い叡智の蓄積がある。

 バレエとは何かと、岩田さんが先生に尋ねたときに「それは道徳だ」という答が返ってきた。舞台の上では、その人が持つすべてが出てしまう。演じる人がどのような人物であり、どのような生き方をしているかがさらけ出される。では、岩田さんはどのような自分でありたいのかといえば、それは真面目さであり、実直さであり、まっすぐ努力を続ける人間であるという。

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悔しさを、情熱に
NHKの番組サイトへ
NHK総合テレビ
12月9日(火)
午後10:00〜10:45
再放送
 総合 毎翌週火曜 午前1:00〜1:44
     (月曜深夜)
 BS2 毎翌週水曜 午後5:15〜5:59
 クラシックバレエの最高峰と言われる、ロシア・ボリショイバレエ団。そこで旧ソ連圏以外で唯一の外国人ソリストをつとめる日本人がいる。岩田守弘(38)だ。19歳で単身、旧ソ連に渡り、外国人と契約する制度すらなかったボリショイに、執念と実力で入団を認めさせた。

 1993年には、世界三大国際バレエコンクールであるモスクワ国際バレエコンクールで金賞を授賞。個性的な表現力と、高いジャンプ・正確な回転は、ボリショイのなかでもひときわ輝く。

 岩田は身長166センチ。長い手足でダイナミックなダンスを披露する世界レベルのダンサーの中では、異例の小柄さ。そのため、王子様のような主役は踊れない。弱みである体型を逆に自分の強みとして練習に励んだ結果、誰よりも高く飛べるようになり、今や道化役など30にものぼるキャラクターを踊るトップダンサーとして活躍するようになった。

 この秋、3年半ぶりに大役が言い渡された岩田。ダンサーとして体力的に限界と言われる38歳の挑戦を追う。


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著者プロフィール

茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)

茂木 健一郎

1962年、東京都生まれ。東京大学大学院卒業。「クオリア(感覚質)」を手がかりに、脳と心の謎に挑む新進気鋭の脳科学者。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。



このコラムについて

茂木健一郎の「超一流の仕事脳」

毎回、1つの分野で超一流の仕事をしている人物を追うNHKのテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」。キャスターを務める脳科学者の茂木健一郎氏が、番組を通じてその人物から受けた刺激をさらに深く考察して語るコラム。

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