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『この小さな笑顔のために』カンボジアの現実を見続ける。
~あなたの使命感はなんですか?

2008年12月10日(水)

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この小さな笑顔のために――日本人ナースのカンボジア奮闘日記

この小さな笑顔のために――日本人ナースのカンボジア奮闘日記』 赤尾和美著、フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJA、1400円(税抜き)

 昨年春、3年ぶりに世界遺産のアンコールワットで有名なカンボジアのシェムリアップを訪れた。久しぶりのシェムリアップは、劇的に変貌していた。市場はショッピングモールに変わり、穴ぼこだらけの道はコンクリートで舗装され、ボロボロの屋台が軒を連ねていた場所には外国人観光客向けの高級ホテルや瀟洒なカフェが建ち、コンビニまでできていた。シェムリアップは、観光拠点として、急激に都市化が進んでいた。

 10年前にはじめて旅して以来、時折、シェムリアップに足を運んでいる。孤児院「スナーダイクマエ」をリポートするためだ。孤児院の代表であるメアス・トミーさんの半生に惹かれた。彼は、700万人のカンボジア国民うち、200万人以上が殺されたといわれるポル・ポト政権下で逃亡生活を送り、1980年に難民として来日した。苦学し、大学院を修了した後、1995年にカンボジアに帰国。「日本での経験を故国の子どもに還元したい」とシェムリアップに孤児院を立ち上げた。

 現在、5歳から20歳までの25人の子どもたちが、代表の妻で、孤児院を実質的に切り盛りする日本人のメアス・博子さんとともに生活している。何度か通ううち、貧困、人身売買、育児放棄、性的虐待……、子どもたちの過去には、カンボジアが抱える問題が直結しているのを知った。

 本書は、怪我や病気で苦しむシェムリアップの子どもと、その家族に向き合う日本人看護師の日記である。

「この小さな笑顔のために」

 正直にいえば、私は、本書のタイトルを見たとき、手に取るのをためらった。

 日本人ボランティアが、カンボジアの子どもたちが置かれた惨状を知り、自分の無力さを痛感するが、逆に子どもの笑顔に救われる――。

 そんなどこかで読んだようなストーリーなのではないか、と想像したからだ。しかし、実際は全く違った。著者は、プロフェッショナルの看護師の目で、急激に姿を変えるシェムリアップという町と、そこで暮らす人々を冷静に見詰めていた。

「母乳シェア」という難題

 著者の赤尾和美さんは、日本とアメリカ共催のNGO団体が運営するシェムリアップ近郊で唯一の小児病院「アンコール小児病院(以下AHC)」に勤務する看護師だ。「AHC」が活動をはじめたのは、1999年。当時、ハワイの病院で働いていた赤尾さんは、「AHC」の看護部長に声をかけられ、カンボジア人看護師を指導するために、シェムリアップで暮らしはじめた。

 赤尾さんは、カンボジア人看護師に次のような視点を持って患者に接して欲しいという。

〈患者を病気からだけ捉えるのではなく、全体像を見ること。いろいろなこと(文化、歴史、習慣、経済、ジェンダーなどなど)が背景にあることを踏まえた上で、目の前にいる患者さんを診ること〉

 しかし、当初は、それどころではなかった。キャリア5年の看護師でも看護記録を書いた経験がないのか、肺炎患者とマラリア患者の記録が全く同じという「まるで素人さんのような状況」だったのだ。

 日記を読み進めていくと、赤尾さん自身が、カンボジア人看護師や患者たちと触れ合うなかで、「全体像を見る」視線を獲得し、「いろいろなこと」を柔軟に受け入れっていった様子が分かる。

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