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北島康介の育てかた~『見抜く力』
平井伯昌著(評:朝山実)

幻冬舎新書、720円(税別)

2008年12月10日(水)

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評者の読了時間2時間30分

見抜く力──夢を叶えるコーチング

見抜く力──夢を叶えるコーチング』 平井伯昌著、幻冬舎新書、720円(税別)

「とにかく、いつでもプールサイドに立つようにしろ。答えはつねに現場にあるんだ」

 著者にとって、恩師から教えられたこの言葉が、コーチの原点だと記している。選手の才能を見極めるには、現場に身を置くしかないということだ。

 平井伯昌は、北島康介を育てた、水泳コーチだ。この人がいなければ、アテネ・北京両オリンピックの金メダルはなかったといわれる。すごい存在なのだが、北京で金メダルをとった翌日、早朝からテレビ各局の分刻みの取材に駆り出され、「いま何がしたい」と問われるたび「眠い」とこぼしながら、それでもきちんと答えようとしていた北島選手の横で、彼は物静かに並んでいたり、映っていなかったりした。

 いないときには、「平井コーチに何かメッセージはありますか?」とアナウンサーが話をふっていたが、これはこれで、おかしなものだった。朝から二人でマラソンのように取材を受けていたわけだから、いまさらメッセージもないだろう。しかし、北島選手はちょっと苦笑したものの、おとなの態度でコメントをしていたのが印象に残っている。

 さて、本書は、コーチとは何をするものか、選手との役割分担を軸に、指導者はどうあるべきかを綴ったものだ。心得のメモには、水泳だけでなく、どんな競技にも、そしてビジネスにも通じるものが多い。

 たとえば、声のかけかた。

 選手によって、予選で高記録を出したあと、「よし、行ける!」と調子に乗っていけるタイプと、「つぎ、どうしょう?」、ミスしてはいけないと思い悩むタイプがいる。

 指導の仕方は、タイプによって違ってくる。タイプを見極めるには、冒頭の言葉のとおり、現場で見続けるしかない。

 平井コーチが指導するのは、北島康介ひとりではない。指導する選手の顔ぶれを見ると、「目に力がある」のは共通するももの、タイプは一色ではない。選手によって性格がちがえば、指導の工夫もちがってくる。工夫じたいを楽しんでいるのがうかがえる。

コーチがいるのは何のため?

 大学2年のときに平井氏は、水泳部のマネージャーとなった。選手として入部したのに、マネージャーの打診を受けて、「泳げないなら部を辞めよう」と思った。それでも、引き受けるまでの流れは、大きな山場と考えなかったのか、本書ではさらりとしている。

 好きで始めたマネージャーではなかったが、選手の泳ぎから、心理状態が読めるようになってくると、面白さがわかってきたという。

 どんなに優れた人間も、自分の姿を、直接自分の眼で見ることはできない。ビデオで確かめるという方法はあるにしても当然、ぜんぶをカバーできるわけではない。気づかぬことが多い。コーチという存在が必要とされるのは、客観的な視点に立った、適切な助言を得たいがためだ。それはスポーツに限らない。作家における編集者の存在もこれにあたるし、映画や演劇もそうだ。

 選手としては実績のない平井氏だが、指導者として自分が適任だったのは、そのことがいいほうに出たのだと捉えている。

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