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上司の浪花節か、ジャイアンのリサイタルか~『若者が3年で辞めない会社の法則』
本田有明著(評:荻野進介)

PHP新書、720円(税別)

  • 荻野 進介

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2008年12月11日(木)

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若者が3年で辞めない会社の法則

若者が3年で辞めない会社の法則』 本田有明著、PHP新書、720円(税別)

 大卒3割、高卒5割、中卒7割が3年以内に辞める。いわゆる七五三現象がマスコミで喧伝されるようになったのはいつ頃からだろうか。大抵、大卒3割という数字にスポットが当てられる。異常値というわけだ。そして、若者にこらえ性がなくなったのか、企業のマネジメントが下手なのか、という論調が続くわけだが、ちょっと待ってほしい。

 時系列で冷静に統計を追っていくと、この約20年、多少の変動はあるものの、騒ぐほどの変化ではないように思える(より問題なのは中卒7割のほうだと思うのだが)。

*厚生労働省職業安定局
新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移

 むしろ指摘したいのは、新卒採用を手控えた1990年代後半の就職氷河期を経て、2000年代始めから、企業側が「第二新卒」という名目で、既卒の若手社会人を積極的に採用し始めたことだ。

 これによって、転職に関する若手の意識のハードルは相当下がったはずである。そういう意味で、「3年で辞める若者」を作り出しているのは当の企業自身であると言えなくもない。そこに商売の匂いをかぎつけたのが、本書の著者のような、若手の早期離職の防止を商売にする人材育成コンサルタントというわけだ。

 「3年で辞める若者」を扱った新書といえば、2006年刊のベストセラー『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(城繁幸、光文社新書)がある(そういえば、この本の著者もコンサルタントだった)。これを、「若者の立場で、年功序列という若者が損する処遇の仕組みを批判した書」とするならば、本書は、企業の側に立ち、「3年で辞める若手」を引き止め、戦力化する方法を説く。

 当の若手社員が読めば、「鬱陶しいなあ」と眉をひそめるか、「よくぞ代弁してくれた」とこっそり上司の机に置くか。

 本書の中軸ともいうべき主張は、若者(特に25歳以下)にとって賃金や待遇は転職の最大理由ではない、ということである。著者は様々な調査結果から、仕事と職場の人間関係に大きな不満がなければ、若者は会社を辞めない、という結論を引き出す。指摘されるまでもない当然の理屈だが、多くの企業では、そうなっていない。どうすればいいのか。

問題は教える側の人材不足

 「敵を知れ」とばかりに、著者はまず今どきの若者を9つの植物に喩えて分析する。ひまわり(スター選手)、サボテン(優れもの)、おにゆり(オレ様)、ねむのき(内向派)、すずらん(うちら族)、あさがお(消耗タイプ)、たんぽぽ(風媒花)、どくだみ(境界人)、どくぜり(真性毒草)と、言葉巧みに整理するが、どの時代にも似たタイプはいるはずで、こうした「今どきの若者」論には眉に唾する人も多いだろう。

 それはともかく、どこの企業も欲しがるのが、ひまわりとサボテン。あとの7つに関しては、どくぜり以外は、活用の仕方次第で、戦力にもお荷物にもなる。中でも著者が着目するのが、個性が強い「どくだみ」タイプである。昔の言葉でいえば、「不良(=はみ出し)社員」だ。

 彼らは、自分の意見をもち、よく上司とぶつかるが、納得すれば物事に前向きに取り組んで大きな成果を上げるかもしれない。反面、忍耐力はなくて、すぐ会社に見切りをつける。このタイプが真価を発揮せず、すぐ会社を去ってしまうと、「今どきの若者はなっていない」で終わってしまう。今の企業は、こうしたタイプを知らず知らずのうちに失っているのではないか、と著者は挑発気味にいう。

 なぜ失ってしまうかといえば、先輩や上司の問題が大きい。就職氷河期が続いたせいで、後輩を指導・育成した経験がない社員が多いのだ。これが質の問題だが、数の面も深刻で、20代後半から30代の先輩が少ない職場が多い。

 双方の問題の打開策として、今さかんに導入されているのが、新人にひとりずつ、場合によっては職場を異にする教育係がつくメンター制度である。同じ職種同士が基本だが、単に仕事を教えるだけではない、キャリアアップと人間的成長を促進するサポーターたれ、と著者は書く。

 「部下は上司や先輩の後ろ姿に学ぶ」とよく言われる。では、どんな人が部下の学びの対象になるのか。自分が担当している仕事の面白さやロマンを堂々と語れる浪花節的上司、というのが著者の意見である。

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