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「下流」とか「格差」のせいですね、わかります!~『女はなぜキャバクラ嬢になりたいのか?』
三浦展・柳内圭雄著(評:澁川祐子)

光文社新書、740円(税別)

  • 澁川 祐子

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2008年12月16日(火)

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評者の読了時間2時間30分

女はなぜキャバクラ嬢になりたいのか?──「承認されたい自分」の時代

女はなぜキャバクラ嬢になりたいのか?──「承認されたい自分」の時代』 三浦展・柳内圭雄著、光文社新書、740円(税別)

 ベストセラーとなった『下流社会』から約3年。家族や都市の問題と絡めつつ、一貫して日本社会の階層化について言及してきた著者の新刊である。さすがはマーケッター、人目を引くタイトルの付けかたを心得ている。「女はキャバクラ嬢になりたがっている」ことを自明の前提として「なぜ」と問うてしまうあたり、「えっ、今の時代はそうなってるの?」と思わせてしまうインパクトがある。

 本書は、今年3月に刊行された三浦展の『日本溶解論』で明らかにされた「若い女性のなりたい職業の第9位にキャバクラ嬢がランクイン」という調査結果に焦点を当て、さらに発展させたものである。

 この調査は、三浦の主宰するカルチャースタディーズ研究所が、2007年に全国の15~22歳の若者を対象に行った携帯のメールアンケート(女性の対象者は1935人)である。その際、なりたい職業の選択肢が29種類に限られていたため、08年に選択肢を59種類まで増やし、25~32歳という一つ上の世代も比較対象に加えた本格的な調査を再度実施。

 その結果をもとに本書は組み立てられている。本文を主に三浦が書き、共著の柳内圭雄は巻末インタビューなどの取材部分を担当している。

 08年の調査結果では、キャバクラ嬢を選んだ15~22歳の女性は全体の20.5%で、順位も12位と依然高い(対象者は1154人)。対する25~32歳の結果は、9.4%で35位と低い(対象者は423人)。対象人数にかなり開きがあるじゃないかというツッコミはさておき、とにかくこれらのデータが「いまの若い女性はキャバクラ嬢になりたがっている」という前提の根拠になっている。

正社員になれないし、まわりに金持ちの男もいないから…

 では、なぜキャバクラ嬢になりたがるのか。調査結果に加え、キャバクラ嬢とその予備軍50人へのインタビューをもとに著者は、

  • メディアの影響により、キャバクラ嬢になる抵抗感が薄れた
  • バブル崩壊などで、「今が楽しければいい」という現状享楽志向の価値観が広がっている
  • 自己承認欲求を満たしてくれる対人サービス業に魅力を感じる

 といった理由を挙げているが、もっとも重要視するのは「雇用情勢の変化」である。

〈女子(特に高卒以下の女子)がまともに正社員になれないという状況が、キャバクラ嬢になりたい女子を増やしているのだ。/またバブルの崩壊は、若い女子の中に、男に頼らず自分の力で稼がなければならないという意識をもたらしたと考えられる。女子が高校を卒業しても正社員になることは難しく、なれたとしても条件は悪い。かと言って、まわりには十分な所得を稼ぐ男も減っている。そういう現状においては、若いうちにできるだけたくさん稼げる仕事をめざす女子が増えるのは当然だろう〉

 なるほど、もっともらしい話ではある。だが、本書を読み進めていると、「はたして本当にそうか」と疑わしく思えてくる。なぜなら、本文に引用される数字が恣意的に選ばれていたり、本文とデータの整合性が取れない箇所が散見されるからだ。

 たとえば、「現在の職業別に見た『なりたい職業』」の調査結果をもとに、著者は〈「キャバクラ嬢」になりたい女子の比率は、正社員と非正社員・バイトと失業者、無業者などで高い〉と書いている。

コメント10件コメント/レビュー

この著者の本に関する問題点は、評者の指摘の通り。私は調査に関わる仕事をしているが、最初に答えありき(この本では「女はキャバクラ嬢になりたがっている」という著者の思い込み)でそれに合わせてアンケートを企画・実施し、結果から役立ちそうなところだけ恣意的に選んで文章を書き散らすとこうなります。あくまで、著者は学者の厳密なロジックで言っているわけではないので、単なる雑文としてはあまり目くじら立てるほどでもないかもしれないが、日本の学者の調査も大体同じです。屁理屈が込み入っているだけ、余計にタチが悪い。(2008/12/17)

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この著者の本に関する問題点は、評者の指摘の通り。私は調査に関わる仕事をしているが、最初に答えありき(この本では「女はキャバクラ嬢になりたがっている」という著者の思い込み)でそれに合わせてアンケートを企画・実施し、結果から役立ちそうなところだけ恣意的に選んで文章を書き散らすとこうなります。あくまで、著者は学者の厳密なロジックで言っているわけではないので、単なる雑文としてはあまり目くじら立てるほどでもないかもしれないが、日本の学者の調査も大体同じです。屁理屈が込み入っているだけ、余計にタチが悪い。(2008/12/17)

前からこの本の著者には疑問を持っていましたが、今回の書評でやはり。と確信しました。鋭い(もしくは当然の)分析ありがとうございます。この頃の「売らんかな」なタイトルの本が多く陳列するたびに、こんなの本棚に置いときたくないな、と逆に購入意欲がなくなります。せめて日経さんだけでも、海外の人が書いた本のタイトルを、どーしよーもない文章タイトルに変えないようにしてほしいと思います。(2008/12/16)

評者の分析はもっともだと思います。私は最初に引用されていたデータ(キャバクラ嬢を選んだ15~22歳の女性は全体の20.5%。対する25~32歳の結果は、9.4%。)を見て、「キャバクラやりたいってのは基本的に金目当てで、若いうちじゃないと稼げない仕事なんだから、25歳以上の人がやりたいと思わないなんて当然では?」と思いました。若い「世代」じゃなくて、単に「若者」がやりたい仕事なんだと思いますが、いかがでしょう。(2008/12/16)

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