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「誠意が“分からない”」人と付き合うには~『日本と中国──相互誤解の構造』
王敏著(評:中村正人)

中公新書、760円(税別)

  • 中村 正人

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2008年12月17日(水)

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日本と中国──相互誤解の構造

日本と中国──相互誤解の構造』 王敏著、中公新書、760円(税別)

 日本政府の「外交に関する世論調査」で「日中関係を良好ではない」と考える人が7割を超え、過去最高になったことが、先日公表された。この調査は1975年から毎年実施されているが、「中国に親しみを感じない」との回答も過去最高の66.6%である。

 外務省は「中国産冷凍ギョウザによる中毒事件などの影響もある」とする。そんな折でもあり、『日本と中国──相互誤解の構造』という本書のタイトルにひかれた。こういった問題をあの国の人はどう考えているのか、知りたかったからである。

 著者の王敏さんは法政大学国際日本研究所教授で、宮沢賢治の研究家だ。最近では中国における村上春樹人気に関する報告でも知られる。日本の大衆文化が中国の若者の精神文化にどんな影響を与えたかを考察する、いわゆる「知日派」在日中国人のひとりである。

 本書によると、日本に暮らす外国人の中でも、とくに中国人のカルチャーショックが大きいという。なんでも〈同じ漢字を使っているという過大な共有感から「同文同種」意識にひたりきっているから〉だそうだ。

〈「同文同種」という言い方には理想も幻想も同居している。理想化によって相互理解の助けになることは多くある。しかし、普遍性と独自性の判断がつかずに相手を知っているつもりになり、相互の誤解を膨らませてきた一面もあるのではなかろうか〉

 日中関係をむずかしくさせている大きな要因のひとつが「同文同種」観だというのだ。そして、日本人と中国人は、それぞれ異なる文化圏に生きていると認め合うことを基本認識にするべきだと著者は説く。

 中国から見た日本の異文化性を物語る事例として、著者は中国語にはない「峠」「凪」「躾」などの国字を挙げる。「季語」も、自然との一体を重んじる日本独自の感性から生まれたものだ。こうした日本人の感性を「自然融合感」と呼び、人間を自然より一段高いものとしてみる人間本位主義の中国とは異なるという。

 これまで多くの外国人(たいていは欧米人)による日本と外国の比較文化論を読んできた読者からすると、それほど斬新な内容には思えないかもしれない。「日中は異文化である」と説かれても、そんなこと先刻承知である。どうも認識の前提がズレている気がしないでもない。

そりゃあ、ちょっと自分誉めが過ぎるでしょう…

 本書は、中国人研究者による日本という異文化理解のプロセスを通して、結果的に、中国の異文化性や他者性を日本人が理解するための手がかりを提供しているともいえる。読み進めるうちに、なぜこの人はこのように考えたのだろうかという疑問がいくつも浮かび、評者は無意識のうちに読み方をそう切り替えていた。

 なかでも中国人丸出しの発想だと評者が違和感を覚えたのは、第二章の謝罪に関する日中の差異を述べるくだりである。

 著者は自分の目に映った日本人の謝罪シーンを挙げながら、日本では〈謝罪は言葉としての道徳とかモラル的な掘り下げがなくても、当事者相互の気持ちが以心伝心で通じ合う場合に成り立つ〉と指摘する。確かにそういう面はあるだろう。が、対する〈中国の国民性として、謝罪する際には、何をどう反省したか、原則から外れた点を論理的に分析し、語ることが大事と考える。まず、どこをどのように反省をしたか、その内容を言葉で表現しないと謝罪として受け取られない〉のほうは、ずいぶんご立派にすぎるのではないか。

 物事の是非や論理、言葉で説明することを重視する中国社会は、主体や因果関係を明確にし、徹底的に糾弾する「謝罪重視文化」。日本社会は主体や責任関係を曖昧にし、謝意ばかりを表す「謝意重視文化」だとする。そして、中国人の自己に対する厳しさは神と向き合う欧米人と共通し、〈「自己と向き合い」「自己を律する」生き方を心がける〉と、どこまでも誇り高いのである。

 はて。これは評者が知る中国の国民生活の実情とは相当かけ離れた印象である。率直に言って、どこか架空の理想世界の話を聞かされているようだ。いくら知識人の規範を説かれても、民間社会の現実は違うでしょう、と思ってしまうのだ。

コメント10件コメント/レビュー

似てるのは欧米人から見た外見ぐらいなもので、中身は全く異なっている、なんていうのはもうお互いに『常識』として飲み込んでしまい、そこから、その差異が何なのか?その差異をどういう工夫で乗り越えられますか?という議論をしてほしいなぁと思う。本音を言えば、ただただ付き合いたくない、ほっといてほしい相手なんだけれど、隣にあるんだもの、そういうわけにも行かないよトホホ・・・というね。麻生首相が外務大臣の頃に、ライス国務長官から「日中関係は大丈夫なのか?」と問われ、麻生氏が「私たちは聖徳太子の頃、千年前から仲良かった事なんか無いんですから放って置いてください」と言ってアメリカを絶句させたという話を読んだことがあります。まさにそう、千年以上、「こいつ、何考えてるのかわかんねー」とお互いに思っている、という点は一致してるんじゃないですかね?そこからスタートすればいいんじゃないですか?単純に。(2008/12/22)

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似てるのは欧米人から見た外見ぐらいなもので、中身は全く異なっている、なんていうのはもうお互いに『常識』として飲み込んでしまい、そこから、その差異が何なのか?その差異をどういう工夫で乗り越えられますか?という議論をしてほしいなぁと思う。本音を言えば、ただただ付き合いたくない、ほっといてほしい相手なんだけれど、隣にあるんだもの、そういうわけにも行かないよトホホ・・・というね。麻生首相が外務大臣の頃に、ライス国務長官から「日中関係は大丈夫なのか?」と問われ、麻生氏が「私たちは聖徳太子の頃、千年前から仲良かった事なんか無いんですから放って置いてください」と言ってアメリカを絶句させたという話を読んだことがあります。まさにそう、千年以上、「こいつ、何考えてるのかわかんねー」とお互いに思っている、という点は一致してるんじゃないですかね?そこからスタートすればいいんじゃないですか?単純に。(2008/12/22)

「兵は詭道なり」中国人は戦争で勝つことには向いているが、商売人には向いていない民族ではないでしょうか?詭道と誠意は全く相容れない思想ですね。(2008/12/18)

衣食足り礼節を知る。というのがある。中国人の問題は文化性の問題というより政治的経済的に貧しく厳しい時代が続いてきた事が最大の原因ではないだろうか?先進諸国なみの道徳観の獲得には3~4世代くらいが必要かもしれない。(2008/12/17)

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