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セレンディピティって何だ?

『セレンディピティ 言語と愚行』 ウンベルト・エコ著 谷口伊兵衛訳 而立書房 2500円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2008年12月19日(金)

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『セレンディピティ 言語と愚行』 ウンベルト・エコ著

『セレンディピティ 言語と愚行』 ウンベルト・エコ著

 ウンベルト・エコとは『薔薇の名前』で世界的に知られるようになった作家である。

 『フーコーの振り子』、『完全言語の探求』、『前日島』、『カーニバル』など、やや難解だが滅法おもしろい本の著者だ。エコがセレンディピティを主題にした本、面白くないはずはない。

 ところで日本にもセレンディピティを端的に表す言葉がある。それは『瓢箪から駒』という熟語だ。エコは作家でもあるが、記号論の学者でもある。本書は先ほどに挙げた『完全言語の探求』の増補的要素を持つ本だ。

 本書の一章は「虚偽の力」に当てられている。

 「虚偽の力」で面白かったのは、プレスター・ジョンの王国の話だ。始まりは12世紀広範に一通の文書が西欧にもたらされた。

 それは、プレスター・ジョンからの書簡であり、十字軍によって蹴散らされた聖地の遙か東に、プレスター・ジョンが統治する楽園がある。この書簡に記されたプレスター・ジョンの王国は季節を通じてマナ(聖餅)が天から降り、木々の根本から沸く泉は若返りの水だ。我らはキリスト教を奉じている。といった意味のことが書かれていた。

 西欧の王や騎士は沸き立った。誰も彼もが、プレスター・ジョンの国を探しに旅立った。大航海時代が始まり、インド航路が開かれた。しかし、ジョンの王国はなかった。しかし、目の前にはまったく未知の大陸アフリカがある。

 そこで、ジョンの王国に位置はエチオピア方面にシフトしていった。ナイルの遡航、源流への探検行が始まった。

 プレスター・ジョンの書簡はもちろん偽書である。偽書でありながら、その王国探索の努力を引き起こし、世界の歴史が変わった。

 エコに言わせれば偽書が引き起こした「瓢箪から駒」セレンディピティこそが、世界を説き明かす鍵となる。エコは偽書の中の偽書、聖書の創世記に書かれた理想郷「エデンの園」でどのような言語が話されていたかを探索するという。アダムとイブの会話を再現したものを早く読みたいものだ。
ウンベルト・エコはいつも刺激的だ。

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