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サイバラ流人生論『この世でいちばん大事な「カネ」の話』
~最下位には最下位の戦い方がある

  • 澁川 祐子

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2009年1月7日(水)

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この世でいちばん大事な「カネ」の話

この世でいちばん大事な「カネ」の話』 西原理恵子著、理論社、1300円(税抜き)

 やりたいことをやって暮らしていければ、これほどシアワセなことはない。とはいえ、そうやすやすとは「やりがい」と「お金」は両立してくれない。だから、働く周辺からはいつも「お金かやりがいか」なんて、エンドレスな議論が交わされている。

 でも悩んで立ち止まっているくらいなら、とりあえず手足を動かしてお金を稼いでごらん――そう語りかけてくるのが本書だ。

 著者は、体を張った体験漫画で知られる漫画家・西原理恵子。『まあじゃんほうろうき』(竹書房)を筆頭にバクチの負けっぷりをこれでもかと晒し、「脱税できるかな」では税務署相手にバトルを繰り広げ、最近では投資会社のキャンギャル(本人いわく)になり、FXで大損こいている模様を実況中。

 このタイミングでFXとはさすが……という感嘆はさておき、とかくサイバラが描く漫画には「お金」ネタが多い。なぜそこまでお金についておおっぴらに語り、お金が「この世でいちばん大事」と言い切ってしまうのか。それは、本書に書かれている彼女の生い立ちを読めば、痛いほどわかる。

目標は「絵で食べていくこと」

 サイバラが生まれた時、母親はすでにアル中の父親と離婚。その後、母親が再婚し、一家は工業団地の貧しい町に引越した。そこでは親は生活苦から殺気立ち、子供は不良になるしか道がない。「将来」が見えなくて、「行き止まり」しかない場所。そこから抜け出そうと東京の美大を受験するはずだった日、今度は二番目の父親がバクチの借金苦から自殺してしまう。だが、「貧しさがいかに人を人でなくすか」という光景を山ほど見聞きしてきた少女は、それでも母親が家中のお金をかき集めた100万円を持って東京へ向かった。

 〈自分は絶対に絵を描く人になって東京で食べていく〉――そう固く決心したものの、現実は厳しかった。通い始めた美術の専門予備校で自分が描いた作品が最下位になり、あっけなく自信喪失。だが、引き返すことのできない彼女はそこで思う。

〈そもそも、わたしの目標は「トップになること」じゃないし、そんなものハナからなれるわけがない。じゃあ、これだけは譲れない、いちばん大切な目標は何か。
「この東京で、絵を描いて食べていくこと」。
 だとしたら、肝心なのは、トップと自分の順位をくらべて卑屈になることじゃない。最下位な私の絵でも、使ってくれるところを探さなくっちゃ。最下位の人間には、最下位の戦い方がある!〉

 自分がやりたいのは、「ゲージュツ」じゃない。「絵で食べていくこと」だと気づき、数え切れないほどの出版社へ売り込みに行く。そうして毎月の目標額である「30万円」を稼ぐに至るのだ。

 すさまじい半生である。大半の人はこれを読んで「自分はまだまだ甘いなあ」と思い知らされるんじゃないだろうか。だが、サイバラは決して自分と同じようにハングリーになってやりたいことをやれ、と根性論を展開しているわけではない。彼女が「最下位なりの戦い」を繰り広げたように、誰にでもその人なりの「戦い方」で稼ぐ方法があるんじゃないか、ということを言いたいのだ。

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