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生まれた子供に嫉妬する夫たち

カウンセリングから見えてくるストレスと暴力--信田さよ子氏(前編)

2009年1月8日(木)

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 「家族団欒」や「お茶の間」といった言葉が実感を伴わなくなって久しい。それどころか親が子を、子が親を殺す、引きこもる子の暴力に親が悩まされる、愛し合って結婚したはずの妻を夫が殴る、といった事件を見聞きすることが多くなっている気がする。

 家庭は暴力を生むリスクの高い場所になってしまったようだ。殺伐とした家族の姿を見るにつけ、「愛情が足りないからこんなことになったのだ」と思ってしまう。

 だが、長年ドメスティック・バイオレンスをはじめ、家族の問題に向き合ってきたカウンセラーの信田さよ子さんは言う。「愛情こそが暴力を招く」と。

 愛があれば互いを慈しみあうと私たちは思っている。しかし、家族においては、愛が憎しみを招く呼び水になっているというのだ。いったい日本の家族には何が起きているのだろう。

--最近では「婚活」なる言葉も流行り、結婚がゴールインのように思われています。恋愛中は極端にいえば「愛情を感じられなくなったら別れる」といったように、自分の気持ち本位の関係でいられますが、結婚して家庭を持つとなると、気持ちだけでは維持できません。家族が楽しく暮らしていくには、何か事業をともにするなど、共通の目的や理想をもつほうがパートナーシップを築く上でよい気もしますが、いかがでしょうか?

信田:目標というのは家族の絆にも、リスクにもなりえます。同じ目標を共有しているはずでも、夫が「僕の妻だから当然」という理由で、家事などの負担を次第に強いるようになれば不満が募ってくるでしょう。

信田さよ子(のぶた・さよこ) 1946年生まれ。臨床心理士。

信田さよ子(のぶた・さよこ) 1946年生まれ。臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室を経て1995年に原宿カウンセリングセンターを開設。各種の依存症やドメスティック・バイオレンス、子どもの虐待などに悩む本人や家族へのカウンセリングを行う。著書に『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』(春秋社)、『加害者は変われるか』(ちくま書房)『家族収容所』(講談社)、『愛しすぎる家族が壊れるとき』(岩波書店)など多数。

 私の見てきた限り、うまくやっている夫婦は、男性が意識的に弱い立場をとっています。妻から「もう! パパはダメなんだから!」と言われているくらいがちょうどよい。どの家族も石原都知事一家みたいだったら大変ですよ。

 石原良純さんの『石原家の人びと』を読んで、彼が天気と電車を好きになったのも頷けます。父親は毎回の食事にいちいち文句をつけるような人だったそうですから、息の詰まる思いだったでしょう。

会社で評判いい人が家に帰ると……

--先生は、カウンセリングでアルコール依存症の家族やドメスティック・バイオレンス(DV)の問題を扱ってこられました。家庭内の問題が起きると、父親を家長とする「伝統的な家族のモラルが崩壊したから世の中が乱れた」といった論を唱える人が現れます。そういう考えについてはどう思いますか?

信田:いわゆる「伝統的な家族」で育ち、その家庭で恩恵を受けた人なら、「自分たちがいい思いをしてきたから正しいことだ。最近、変な事件も起きているが、家族のあり方がおかしくなっているからだ」と考えて当然でしょう。

 しかし、いま私たちが思っているような「男と女が愛し合ってつくる家族」は、ここ200年くらいで形成されたもので、歴史は非常に浅い。人々が思い描く典型的な家族像はどの時代を通じて存在したわけでも、普遍的なものでもありません。

--愛し合った者同士が家庭をつくる。そういう家族モデルへの信頼が弱まったから、腕力で家族を支配するような現象が起きはじめたのでしょうか?

信田:いいえ。妻を殴る夫たちの弁明は、「愛しているから殴る」です。彼らの言い分は、「自分は君のために懸命に働いて疲れている。なぜ家庭にいるときくらいゆっくり寛がせてくれないんだ」「本当に僕を愛してくれるなら、ちゃんと笑顔で出迎えてくれるのが当然だろう」といったものです。

 つまり、「僕はこんなに彼女を愛しているのに、なぜ言うことを聞かないんだ」というわけです。彼らの理屈からすれば、妻が間違っているわけです。

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