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マルサン商店の「路地裏の星」たち~『日本最初のプラモデル』 竹縄昌著(評:朝山実)

アスキー新書、743円(税別)

2009年1月13日(火)

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評者の読了時間4時間00分

日本最初のプラモデル──未知の開発に挑んだ男たち

日本最初のプラモデル──未知の開発に挑んだ男たち』 竹縄昌著、アスキー新書、743円(税別)

 ガァガァー、工事現場のような騒音を立てて、前進する。しかし、後ろにまわってみると、お尻からコードがたれている。大人になってみると、あのコードが本体よりも印象深い。

 当時はそれでも、いとこが誇らしげに動かしていたゴジラを見て、「ほしい」といったら、母親は「大きくなったらね」とか「成績が上がったら」。馬鹿ガキゆえに「いま、ほしい」ダダをこねているワタシを睨み、「ほら、コレもったらんかい」父親が自分の腹に電線をぐるぐる巻いて、飛び出すくらい眼を大きく見開き、すり足でゴジラになりきっていた。プラモが高級玩具だった時代の記憶がよみがえってきた。

 ──東京タワーが建設中だった昭和33年、東京・浅草でひとりのプロジェクトが立ち上がった。ブリキオモチャで隆盛を極めていた「マルサン商店」が国産初のプラモデルの発売に向け動き始めたのだった…。日本最初のプラモデル「ノーチラス号」の製作と市場の開拓に情熱を燃やした昭和の男たちの物語。

 田口トモロヲの独特の「……だった」の節回しが聴こえてきそうな、宣伝文。世界を揺るがしたというモノでもなく、米国製の玩具の国産化に心血を注いだというあたりにくすぐられた。

 終戦から13年、昭和33年に国産初のプラモデル(「国産初」の解釈には異論もあるようだが)を製造・発売した「マルサン商店」を訪ねるところから、本書は幕をあける。

 現在、浅草寿町の工場はすでになく、跡地には、3階建ての都市型住宅が。近くの古い外観の喫茶店に入って、尋ねてみると、

「あ、マルサン商店? 隣の隣ですよ。そういえば、この間もマルサンを探して来た人がいたなぁ……」

 主人の言葉に、同業の取材者に先を越されたかと、著者はカメラマンと顔を見合わせ、あせったという。けれども、ブリキ玩具のコレクターとわかって、ちょっとがっかり。プラモデルに熱中した子供時代に通じる、一喜一憂が伝わってくる。

面白いのは脇役たちの思い出

 昭和22年に設立、ブリキ玩具メーカーだったマルサン商店は、プラモデルの発売開始から10年で倒産した。新規に取り組んだレーシングカーへの過剰投資が原因だったらしい。ちなみに、例の電動リモコンの「ゴジラ」を発売したのも、このマルサン商店。昭和39年のことだという。

 プラモデルは「金型」が命。業界では伝説扱いされている、独自に金型を作り上げた技術者を探し当て、当時の話を聞くというスタイルからして「プロジェクトX」的だし、著者が取材に心を弾ませているのもよくわかる。

 しかし、ワタシが面白いと思ったのは、開発の臨場感よりも、脇役たちが語る思い出だ。

 第3章「売り歩いた男」では、ブリキ玩具のセールスで、全国の百貨店をまわっていたひとりの社員にスポットがあてられる。

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