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「男社会」と言っちゃうおんなのひとに、こう言いたい…~『あなたの苦手な彼女について』
橋本治著(評:朝山実)

ちくま新書、820円(税別)

2009年1月20日(火)

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評者の読了時間14時間00分

あなたの苦手な彼女について

あなたの苦手な彼女について』 橋本治著、ちくま新書、820円(税別)

 柳家小三治のネタに、自分の借りている駐車場に住み着いたホームレスに頭を悩ます、体験落語がある。

 3日も毛布にくるまって寝込んでいる男がいたが、追い出して野たれ死にされちゃ寝覚めが悪いと、見て見ぬふりをしていると、「彼」は元気を取り戻し、朝は溌剌と挨拶を返してくる。

 きれい好きで、掃除を欠かさない。文句を言おうとするも、礼儀正しいものだから、つい言葉を呑み込んでしまう。で、また見て見ぬふり。おかげで、オートバイの出し入れの際はつい「彼」の邪魔にならないように遠慮してしまう。

 隙を見せると、どんどん「彼」の生活エリアは拡張していき、怒りたい。「もう!! きょうこそは」。

 名前を「ハセガワさん」という、サムライのような風貌の彼には愛嬌がある。だもので、言わずにいると、もうどこまで居座られるのかとヒヤヒヤ。

 といったジレンマを、実況中継風に語っていく、10年くらい昔のネタなのだが、大晦日にCD棚をひっくり返してみたところ、きのうの話のように生っぽいから不思議だ。

 ある日のこと、ハセガワさんが通勤時間帯の人波に向かって、「経営者がなんだ!」。声はすごみを帯び、咆えるたびに人波は彼の前で真っ二つに別れていく。モーゼの十戒を思いうかべるのか、この光景を目撃したというくだりになると、客席はドカンと沸く。ホームレスには悲壮感がつきまとうものだが、楽しく笑えるという意味では画期的だ。このハセガワさん、小三治の目をとおして、いつしか見ず知らずの他人ではなくなっていくのだ。

「男社会」に居候する「彼女」たち

 画期的というと、著者は、1980年代になって女たちの間から、「男社会」という言葉が登場してきたのは画期的だという。

〈女達が持ち出した定義の中で一番すごいのは、この三文字でしょう〉とまでいう。その発見は「空前絶後」だとも。

 どこがどうすごいのかというと、

〈「女にも社会参加させろ!」と言って、参加はしたけれども、なんだか思い通りにはならない──それを自覚して、「ここは男社会なのだ」と思ってしまえば、「じゃ、言うことは聞かない。聞く必要はない。どこまでも自分の思う“正しさ”を押し通すのだ」ということになります。それは「信念の人」でもあり、また「どうしょうもない頑固者」でもありますが、つまるところは、「あなたの苦手な彼女」の誕生だということです〉

 著者は、タイトルにあるように、ここで「女」一般を対象にするのではなく、フェミニズムな「彼女」たちに絞っている。男にとって、恋愛の対象にならない女は「どうでもいい女」と断言する(女からしたって、同様だろうが)など、男のホンネの女性論というわけだ。

 「男社会」を持ち出す女たちを、著者は「アマチュア社会人」「『男社会』の居候」と位置づけ、口うるさい彼女たちの存在が許されたのは、それをも呑み込んでいられるほど、日本が豊かであったからだという。

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