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こんな部長になりたい!『チェ・ゲバラ伝』
~30代ビジネスマンよ、大志を抱け

  • 大塚 常好

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2009年1月28日(水)

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チェ・ゲバラ伝〔新装版〕

チェ・ゲバラ伝〔新装版〕』 三好徹著、原書房、1400円(税抜き)

 カストロが社長なら、チェ・ゲバラはさしずめ部長といったところだろうか。

 ただ今、映画が公開され再び脚光を浴びている、革命の闘士チェ・ゲバラ(アカデミー助演男優賞俳優ベニシオ・デル・トロが演じる)。とりわけ若者から熱狂的な支持を得ているらしい。読者の中には、「何を今さら」「俺も若い時、ゲバラTシャツ(あご髭にベレー帽の肖像)、着ていたよ」という人もいるだろうが、簡単におさらいしよう。

 1928年、アルゼンチンの裕福な家庭にゲバラは生まれた。1950年代後半、キューバ革命軍に唯一の外国人として加わり、盟友フィデル・カストロ(前国家評議会議長)などと共に当時のバティスタ親米政権の政府軍を戦闘の末に倒した。

 キューバ革命の目的は、金持ちの支配者階級ではなく、貧しい労働者のための国を作ること。この革命の後も、ゲバラは社会的弱者である民衆たちを助けるためアフリカや南米などへ赴き、ゲリラ活動を繰り広げた。

 最後はボリビアで捉えられ39歳という若さで亡くなったものの、ジョン・レノンやマドンナ、アンディ・ウォーホルなどによって「反体制のシンボル」「カッコいい男」として世界的に著名なアイコンとなり、キューバ革命50周年の今に至るまで、その“ファッション”としての輝きは失われていない。

ラテン系らしからぬ献身の精神

 ただ今回訴えたいのは、本書でゲバラの生と死の一部始終を知ると、現代のビジネスマンこそ彼をあらゆる面でお手本とすべきだということである。特に30代。ちょうど彼がボリビアのジャングルで持病の喘息に苦しみながら政府軍と格闘していた頃と同世代。ポジションとしては、プロジェクト・リーダーあたりを任される若手マネジメント層。そんな人こそ、今、ゲバラだ。

 上っ面な流行としてではなく、例えば、アップルのスティーブ・ジョブスのような現代の経営者から仕事のエッセンスを学びとるような感覚で、「部長チェ・ゲバラ」に教えを乞うべきなのではないか。

 本書に登場するゲバラの形容には次のようなものがある。

「死を恐れぬ勇者」「不屈の戦士」「純粋な革命家」「ゲリラ戦の詩人」……。

 これだけでも、勇敢で、折れない心(タフさ)を持つ男だとわかる。しかも、医者であり、勤勉で働き者。金持ち願望は皆無である代わりに、不正は断固許さない。ツライことにも、率先垂範。その姿勢と行動力こそ、部下に丸投げせず、仕事に責任感を持つあるべきリーダーだろう。

 アルゼンチン生まれのラテンの気質といえば、楽天的であると同時に自己中心主義というのが相場。ところが……。現地を取材した著者もこう語っている。

〈(ラテン系は)自分の利益にならないことには、進んで手を出そうとはしない。それは、キューバ人であっても、一部の指導者を除いて例外ではない。それだけに、チェのような献身的で無私の性格は、ラテン・アメリカの風土の中では際立つのである〉

 ゲバラは、5人兄弟(男3女2)の長男。著者は実弟のロベルトに会ったが、彼からは献身的で無私な印象は感じられなかったらしい。「その日の暮らしが立てば面倒くさいことはご免だ」というラテン系らしい人生観だった、と。同じ環境で育ったはずなのに、なぜかゲバラのような性格はひとりだけだった。

 何がゲバラを動かしたのか。私利私欲にまみれた21世紀の住人である我々にはそんな素朴な疑問が浮かぶ。答えは、信念。それも命がけの。以下は、ゲバラ自身の文章である。

「ぼくらのすべての行動は、帝国主義に対する戦いの雄叫びであり、人類の敵・北アメリカに対する戦いの歌なのだ。どこで死がぼくらを襲おうとも、ぼくらのあげる鬨の声が誰かにとどき、誰かの手が僕らの武器をとるために差し出され、そして、誰かが進みでて機関銃の断続的な響きとあらたに起こる鬨の声との相和した葬送歌を声高らかにうたってくれるならば、死はむしろ歓迎されてよいのである」

 主義主張の是非はこの際、問題ではないだろう。命をかけても貫きたい何かがあるかどうか。「何かを変えたい」「何かを始めたい」。その志を原動力にして行動に移さない限り、変わることは絶対にない。「部長」はそれをよくわかっていた。

〈カストロは2m近い巨漢だが、チェは1m70cm。カストロは雄弁家だったが文章はさほど上手ではなく、チェは反対に文章家であるが弁舌のほうはカストロにははるかに及ばなかった。激情型のカストロとは対照的に、チェは冷静で熱情を内に秘める不言実行型だった。カストロは革命のリアリストであり、チェは革命のロマンチスト〉

 しかも、口先だけのロマンチストではない。「最後の瞬間」がそれを証明している。

 ジャングルで撃たれて捉えられたゲバラ。敵のボリビア政府軍の下士官が彼に向かって銃口を向けた時、一瞬ひるんだ下士官にゲバラはこう言ったそうだ。

「撃て! びくびくするな!」

 下士官は腰から下を狙って撃った。上半身を撃つなと命令されていたからだ。そのためゲバラは断末魔の苦しみを味わわされた。その苦しみの時間は軍曹によって首と心臓をピストルで撃たれるまで続いたという。

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