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ある僧侶はこう誓った「男は100人以上は犯さない」~『破戒と男色の仏教史』
松尾剛次著(評:尹雄大)

平凡社新書、720円(税別)

2009年1月28日(水)

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破戒と男色の仏教史

破戒と男色の仏教史』 松尾剛次著、平凡社新書、720円(税別)

 過日、深夜番組の「タモリ倶楽部」を見ていたら、仏教各宗派のイケメンならぬイケ僧たちが法衣をはじめとしたファッションへのこだわりについて語っていた。

 洋服におけるコンサバ系やモード系の違いを見るようで、企画自体はおもしろかった。しかしながら、手放しで興がることのできないしこりを感じたのも確かだった。

 「モテたいから剃髪しない」「合コンに誘われれば断らない」といった僧侶らしからぬ言動も番組を盛り上げる演出と思えばご愛嬌だ。むしろ、戸惑いを覚えたのは、つるりと口を吐いたそうした言葉を裏切らない身体を彼らがしていたことだった。彼らの身体のありようと所作には、護持すべき教えを抱いたもの特有の緊張感や規矩が見当たらなかった。

 人が身体という形を持っている以上、その人の普段考えていること、また意識していないことまで、身に付いた慣習として身体に出力される。

 本著は「実在としての仏教」を理解する上で、僧侶の身体を読み解くのは不可欠であるとし、こう述べる。

〈仏教は絵に描いた餅として、観念的な存在であったのではなく、僧侶や信仰者たちの、具体的な活動のなかに生きていた〉

 「具体的な活動」とは、日々の振る舞いを指すが、そういう意味で日本の僧侶の身体性を象徴するのは、妻帯や飲酒といった破戒(戒律を破ること)が平然と行われているところだ。それゆえタイやスリランカなど南アジアの仏教界は日本仏教を「仏教に非ず」と異端視している。

 中世の日本仏教に目を向ければ、女性と性的関係を持つ「女犯」は、「おぞましいほど根深い破戒」のひとつと目されており、戒律の厳格な保持が叫ばれ、戒律復興運動も起きた。

 だがその一方で、年端もいかない男児が相手ならば「女犯」ではないとばかりに公然と性交が行われてもいた。持戒と破戒のはざまにあった僧の身体は、どういう特徴を持っていたのか。本著は身体を規制する原則である戒律から中世仏教を解読しようとする。

性交はNG、でも僧侶に子供がいるフシギ

 日本に仏教が伝来したのは538年とされるが、中国をはじめ他の仏教国にも通じる正式な授戒に基いた仏門の道が開かれたのは、753年に渡来した鑑真により国立の戒壇が築かれてからだという。その戒律の数は男性だと250、女性だと348に及んだ。

 戒律は、とかくひと連なりのものと考えられがちだが、戒は「自分を律する内面的な道徳規範」であり、律は「教団で守るべき集団規則」を意味する。

 出家を志すものは、まず戒律に精通した戒師の前で、不殺生、不偸盗、不淫、不妄語、不飲酒などの十戒の護持を誓った。これら戒を受けた身体のことを「戒体」と呼び、「罪を犯そうとすると、戒体が阻止してくれる」力が宿るという。

 著者によれば、十戒のうちの不淫戒は「異性はもちろん、同性や動物との故意の性交」を禁じたものであり、破戒すれば「僧団追放という厳しい刑」に値するものであった。

 しかし、戒体は邪念を斥けるどころか、鑑真来日から200年も経つと、その効力を完全に失い、仏教界には「真弟子」なる言葉が生まれた。これは、僧侶の実子のことだ。

 妻帯や内縁の夫婦関係よりも大っぴらにまかり通っていたのが男色である。著者は、1200年代に編まれた説話集『故事談』の一節で、成尊という僧侶について「男も女も一生犯すことは無かった人である」と言及されていることに着目し、〈僧侶集団内における男色関係も一般的であったことが読み取れる〉と結論づける。

 それをさらに裏付けるのが、鎌倉時代初期に東大寺別当、権僧正に昇進した宗性の「五箇条起請」だ。起請とは善事を為し、悪事を断つことを発願する誓文だが、1237年に宗性の誓った五箇条のうち四つが男色に関することだったという。

コメント1件コメント/レビュー

日本には親鸞と言う僧がおりまして、妻帯も飲酒もOKとしていた人でした、と言うのはご存知かと思いますが、日本の仏教は200%親鸞色に染まっているのではないかと。仏教大学に通う傍らの同棲、有髪、結婚、出産、好き放題の飲食飲酒で超えた女性僧もおりますし。そうなると「僧侶」と言うのは一体何者だ、と思ってしまいますが。著しいまでの総親鸞派化を、「親鸞思想って良いよねえ」と誉めて広く伝えようとする知識人も少なくありません。(2009/01/28)

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日本には親鸞と言う僧がおりまして、妻帯も飲酒もOKとしていた人でした、と言うのはご存知かと思いますが、日本の仏教は200%親鸞色に染まっているのではないかと。仏教大学に通う傍らの同棲、有髪、結婚、出産、好き放題の飲食飲酒で超えた女性僧もおりますし。そうなると「僧侶」と言うのは一体何者だ、と思ってしまいますが。著しいまでの総親鸞派化を、「親鸞思想って良いよねえ」と誉めて広く伝えようとする知識人も少なくありません。(2009/01/28)

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