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おっさんたちの思いつきが文化になるまで~『カラオケ秘史』
烏賀陽弘道著(評:稲泉連)

新潮新書、680円(税別)

2009年2月2日(月)

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カラオケ秘史──創意工夫の世界革命

カラオケ秘史──創意工夫の世界革命』 烏賀陽弘道著、新潮新書、680円(税別)

 あるとき生まれた一つの発明が、川の流れのように様々な工夫を集め、いずれ一つの文化へと成長していく。本書はその歴史の源流域で試行錯誤した人々を取材し、「カラオケ」の通史を描くことを試みた一冊だ。

 本書の冒頭、著者は次のような基本データを挙げているので、ここでも触れておきたい。

 日本全国には約9800箇所のカラオケボックスがあり、酒場やホテルなど「カラオケが置いてある施設」を全て含めると約21万9400カ所。市場規模は2005年時点で1兆1000億円に上る。

 続けて紹介される日本レコード協会などの調査結果が面白い。2007年における日本での「オーディオレコード」(CDなど)の生産額が3333億円であるのに対し、カラオケにはその倍以上の7431億円が使われているのだという。

 前著『Jポップとは何か』でも著者が指摘したように、とりわけ通信カラオケが登場した90年代以降、カラオケはCDのヒットチャートとも密接に関係するようになった。

 今では海外にも「輸出」されているこの発明は、好むと好まざるとにかかわらず、日本の音楽市場や音楽受容のあり方を、“聴くこと”と“歌うこと”の互恵関係によって成り立つ形へと変えてしまった、というわけだ。

 身に覚えのある話だった。

 人前で歌うことが苦手だった私は、カラオケボックスに行っても歌がうたえず、場を白けさせてしまうことがよくあった。

 友人には「一曲くらいは歌えたほうがいいよ」と言われ、この半ば義務化したカラオケ文化に参加するため、折に触れては自分の歌えそうな曲を探してCD店をさまよったこともある。

 今では歌うことへの抵抗も薄れ、むしろ楽しめるようにもなったけれど、当時はその度に思ったものだ。これほどまでに日常化したカラオケという文化は、いったいどこからやってきたのか、と。

自称「発明者」が何人も…

 著者は巨大な市場かつメディアに成長したこの「カラオケ」の歴史を描くため、まず時計を1960年代まで巻き戻し、カラオケ機器の「発明者」を特定しようとする。

 ところが、それが意外にも難しい。業界団体の関係者に聞けば〈『オレがカラオケの発明者だ』という人間は、まあ少なく見積もっても十人か二十人はいますね〉と話す始末だし、資料をひも解いても様々な説が展開されているばかりだったからだ。

 そんななか、紆余曲折を経てたどり着くのは、板橋で町工場を経営する根岸重一氏という人物である。

 今年86歳になる根岸氏いわく、きっかけは1967年。民放ラジオで放送されていた「歌のない歌謡曲」(流行曲の演奏だけを流す番組)にまつわる雑談から、従業員がマイクとミキサー、そして8トラックテープ再生機をラインで繋いだ試作品を作った。

 この機械で戦前の流行歌「無情の夢」(歌・児玉好雄)を歌ってみた彼は、〈とにかく気持ちがよかったんです。これはおもしろい、絶対に商売になるぞ〉と確信(世界で始めてカラオケが歌われた瞬間!)。そして試作品をスピーカー付の箱に収め、音に反応して点滅するライトを装着した。

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