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「老いらくの恋」で経済を救え!~『年収防衛』森永卓郎著(評:山岡淳一郎)

角川SSC新書、780円(税別)

  • 山岡 淳一郎

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2009年2月3日(火)

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評者の読了時間2時間00分

年収防衛──大恐慌時代に「自分防衛力」をつける

年収防衛──大恐慌時代に「自分防衛力」をつける』 森永卓郎著、角川SSC新書、780円(税別)

 近年、「新自由主義」を持ち上げる経済評論家だらけのなかで、著者は、一貫してその危険性を指摘してきた。前著『年収崩壊』では小泉構造改革がもたらす格差の実態をあぶりだした。本書は、その続編である。ただ著者も、これほど急激に世界経済が追いつめられるとは、予想していなかったようだ。

 昨年9月のリーマン・ショック以来、新自由主義の一部である金融資本主義が崩壊し、多くの評論家たちも、しぶしぶ「規制緩和」の行き過ぎに言及するようになった。とくに低年収を固定化させる派遣労働は、見直しの声が高まっている。

 時代は、「競争」から「協働」へのチェンジを余儀なくされている。

 では、反「新自由主義」の論陣を張ってきたモリタクは、この苦境を乗り切る青写真をどのように描いているのか。「どんなに厳しい時代になっても、明るく、強く、セコく、たくましく生きていくための方法」を紹介した、と本書の「おわりに」に書いているが……。

 うーん。正直にいうと、経済アナリストとしての状況分析には脱帽だが、年収防衛の実践論では腑に落ちないところもあった。本書の印象は、読者の境遇や興味の持ち方によってさまざまだろう。時代の潮流を知るテキストとしては優れている。が、「クーポン券」や「電子マネー」で家計を節約することと、経済危機を乗り越えることが、どうもうまく重ならない。こちらの読み込みが浅いのだろうか?

 わたしは、約20年前に会社勤めから足を洗い、原稿を書く自由業で生きてきた立場から読後感を記しておきたい。

「ワークシェアリング」で雇用回復、「恋愛」で内需拡大

 著者は、まず、じぶんが総理大臣なら、「日本をヨーロッパ型の社会システム」へ「構造改革」し、国民を幸せにする、と自信を示す。その鍵になるのが、オランダ型の「ワークシェアリング」。時給や、社会保険、企業年金、福利厚生など、すべての待遇で、正社員とパートに差をつけない。違うのは労働時間だけ、というワークシェアリングによって、オランダは働き方の自由度が高まり、失業率も下がった、と分析する。

 日本は、一足飛びにオランダ型は無理でも、パートと正社員の賃金格差の是正、最低賃金の引き上げなどで「そこそこ稼いで、ほどほどに暮らす」国民のニーズに応えられる。もちろん長時間ばりばり働きたい人を止めたりはしない、と説く。

 このような労働構造改革が行われれば、働く側の選択肢はいい方向に増えるだろう。だが、情け容赦なく「派遣切り」を行っている企業側は、そう簡単に首を縦には振るまい。労働組合だって正社員の権利擁護を掲げて立ちふさがる。そこをどう説得し、乗り越えていくのか……。

 次に著者は、過去の恐慌の起因をふり返り、景気回復は「内需拡大から」と正論を開陳する。

〈金持ちが所得を独り占めにして、設備投資を行い、供給力を拡大させますが、庶民にはお金がないからせっかくの商品が売れず、価格が下がってデフレが深刻になるのです。ですから、今のような時期は大型減税をして、庶民の懐を豊かにする必要がある〉

 そして「国民がお金を使う気分」になれるかどうかが大切と指摘。ドイツ人経済学者、ヴェルナー・ゾンバルトの「恋愛と贅沢が経済成長の源泉」を引き、恋愛の効用を並べる。

 一般論として恋愛が消費を増やすというのは、わが身を振り返っても納得できる。恋は盲目ともいう。恋人に貢ぎまくったあげく、別れて、莫大な借金を背負った友人もいる。

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