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バレンタインとカタクチイワシ

「逆チョコ」(用途:告白、慣習、義務、査定、その次として)

2009年2月2日(月)

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イラスト

 2月14日は「煮干しの日」だ。
 ご存知だったろうか。
 私は3年ほど前に知った。

 当時、私は、禁煙用の代用食品を模索していた。
 タバコをやめた反動で、際限なく菓子類を食べる習慣が身に付いていたからだ。
 で、禁煙→間食→肥満→減食→ストレス→不眠→鬱という危険なサイクルの途上にいた。そのやっかいなスパイラルは、喫煙を再開しない限り逃れ難いように思われた。
 そんな時に、スーパーの店頭で出会ったのが煮干しだ。

 私が手にとった生食用の無塩カタクチイワシのパッケージの裏面には

「2月14日は煮干しの日」

 というキャッチフレーズが記されており、かたわらには粋なタッチの煮干し娘のイラストが添えられていた。

「おお」

 私は、早速買い求め、以来、折りに触れて食している次第だ。
 おかげで、肥満は必ずしも解消していないが、鬱には陥らずに済んだ。
 ありがとう煮干し。

 煮干しの日は、全国煮干し協会という財団法人が定めているもので、「2(に)1(ぼう)4(し)」の語呂合わせから来ている。

 残念ながら、全国煮干し協会はホームページを持っていない。

 いまどきホームページも開かずになんのための財団法人なのか、と思うムキもあるだろうが、ここは大海原に免じて勘弁してあげてほしい。おそらく、煮干し業界は、デジタルでインターナショナルなワールドワイドウェブの世界に、いまなお若干の気後れを感じている。当然だ。煮干し2000年の歴史(←推定)を思えば、ウェブ2.0以降の数年など、振り返るにさえ値しない一刹那だ。なあに対応が10年やそこら遅れたからといって、そんなことで煮干しがこの世から消えるわけではない。

 個人的な感想を述べるなら、「1」を「ぼう」と読ませる作為が苦しいとは思う。

 なにしろ画像情報由来の連想である「1」から「棒」への読み替えを、を「ぼう」という音声に変換し、さらにその「ぼう」を「にぼし」の「ぼ」に当てはめなければならないわけだから。これらは、はじめて「にぼし」の文字面を読みこなす人間にとって、簡単に達成できるミッションではない。

「ぼ?」
 と、約2秒ほど、息を呑んで考え込む時間が要る。

 が、その程度の苦労が何だろう。
 記念日を制定しただけでも、古体な業界団体としては、上出来な仕事ぶりではないか。
 ホームページなんか無くても良いのだ。宣伝は物見高いブロガーに任せておけばオッケー。やはり野に置け煮干し郎である。

 ゆくゆくはミスコン(←ミス煮干し)を主催して、それがうまく行ったら「ベストニボシスト」ぐらいの賞イベントもブチ上げたいところだが、まあ、地道が持ち前の全ニボ協としては、当面は「煮干しの日」一本に絞って需要の底上げをはかるべきだ。

 ミス煮干しにヒサモト、ベストニボシストにクサナギ君あたりを持ってくれば、それなりに賞イベントの集客は可能ではあるだろうが、芸能人をダシにして注目度を高めるタイプのストラテジーは、私たちの煮干しには似合わない。縁の下の力持ち。鍋の底のダシ。あくまでも黙って沈んでいるのがカタクチイワシの処世だ。
 
 さて、煮干しの日は、あえてぶつけたのかどうか、バレンタインデーとモロにカブっている。

 煮干しとチョコレート。
 食品としての実力を比べるなら、断然煮干しの勝ちだ。

 カルシウム、ミネラルはもちろん、煮干しは、次代を担う子供たちのアゴの発育のために好適な歯ごたえを提供してくれる。肥満や虫歯とも無縁。圧勝だ。

 そうでなくても、信仰や下心(←この二つは同根だと思う)を持たない私のような者は、煮干しを応援したい。

 チョコレート業界は、バレンタイン依存体質に陥っている。
 日本チョコレート・ココア協会が提供している推計を見てみよう。

コメント25

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「バレンタインとカタクチイワシ」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長