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安らぎが叶える「1度」――フィル・ミケルソン

My blade was open one degree.(クラブのフェースが1度、開いていた)

  • 舩越 園子

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2009年2月5日(木)

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 「そんなこと、できるのかな?」と、いつも思ってしまう。

 あのフィル・ミケルソンが口にする言葉には、往々にして「えっ?ホントにそう思っているんですか?」と首を傾げさせられるようなニュアンスがあるのだ。

 1990年代後半から2000年代にかけて。メジャー優勝に王手をかけては、ぎりぎりの大詰めで崩れて負けていたミケルソンは「メジャー優勝なきグッドプレーヤー」「無冠の帝王」等々、皮肉に溢れた称号を米メディアから授けられていた。

 いつになったらメジャーに勝てるのか。そんな質問にうんざりしていたミケルソンが、あるとき、こっそり話してくれた。

 「あと、たった1つ、バーディを多く取れれば、あと、たった1つ、ボギーを減らすことができれば、僕はメジャーに勝てる」

 この言葉には、まだ真実味があった。確かに、ミケルソンの惜敗ぶりを振り返れば、上がり3ホールで「あと1つ」と感じるのは当然だったからだ。もちろん、想像を絶するようなプレッシャーの下で、その「あと1つ」を実行できるかどうかは誰にも分からない。分からないけれど、エモーションをコントロールして確かなショット、確かなパットを打てるかどうかが勝利への分かれ道であることは頷けた。

 だが、その「あと1つ」を実現するためには、どうしたらいいかという段になると、ミケルソンは必ずと言っていいほど、技術的な目標を数字で示した。その内容が「えっ?ホント?」と思えるものばかりだった。

 「ロングアイアンで打つとき、1度か2度だけフェースを開いてインパクトする」

 ボールを捉える瞬間に難度の高いロングアイアンのフェースを1度か2度コントロールすることと、プレッシャー下で自らのエモーションをコントロールすることと、どちらのほうが現実的なのか。そう考えると、どちらも実際にできるとは思えず、だから私は「ホント?」と首を傾げずにはいられなかった。

 だが、ミケルソンはその後、2004年マスターズを皮切りにメジャー3勝を挙げ、ありがたくない称号は、いつしか他選手へ向けられるようになった。そして、待望のメジャータイトルを手に入れたミケルソンは、以前にも増して「ホント?」発言を口にするようになった。

 My blade was open one degree.
 (ブレードが1度、開いていた)

 昨季、パットの不調に苦しんだミケルソンは、このオフにショートゲーム専門コーチのデイブ・ペルツと不調の原因究明に努め、そこで得た結論が、これだったのだそうだ。

 マシーンを使った解析結果としては「1度オープン」と出たのだろう。けれど、だからと言って、パットのたびに本当にその1度をスクエアへ戻しながら打つことが可能なのか。そこまで機械的な動きができるのか。そう考えると、やっぱり私は「ホント?」と思ってしまう。

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