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「一緒に食べる」の革命性

霊長類学が映し出す人間コミュニケーション--山極寿一氏(前編)

2009年2月5日(木)

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 日々のニュースを見れば分かる通り、世界から戦火が絶えたことはない。国家同士、あるいは個人同士、利害損得をめぐり火花を散らすことは日常茶飯事だ。

 人間から争いの種を取り除くことができないのは、自己の生存を実力で獲得せざるをえない局面があるからだ。人間に限らず、自然界に生きる動物も同じだろう。

 動物の生存をめぐる争いの火種を突き詰めていくと、“食”と“性”という要素に行き当たるようだ。どちらも生きることに深く関わっている。彼らは、どのように食と性をめぐる“葛藤”すなわち“争いごと”に対処しているのだろうか。人間もまた動物である以上、彼らの食と性をめぐる葛藤の解消法を知ることは、人間独特の争いを回避する上で参照になるのではないだろうか。

 今回、ご登場いただくのは野生のゴリラやニホンザルの観察を行ってきた京都大学教授の山極寿一さんだ。前編では、食における葛藤を動物や人間はどう乗り越えたかについてうかがった。人間だけが誰かと食を共にする。これは極めて奇妙な光景であるらしい。

--山極先生は長年、野生ゴリラの研究をされていますね。著作の中で、動物は、“食物”と“性”にかかわる葛藤によってストレスを受けているとご指摘されています。食と性がどのようにストレスと結びつくのか。まず食をめぐるストレスからご説明ください。

山極 寿一(やまぎわ・じゅいち) 1952年生まれ。京都大学大学院理学研究科教授。日本霊長類学会会長。長年にわたり、野生のゴリラやチンパンジー、ニホンザルの社会的行動を調査するとともに、その保護活動を行ってきた。主な著書に『暴力はどこからきたか』(NHKブックス)、『ゴリラ』(東京大学出版会)、『家族の起源』(東京大学出版会)、『人類進化論-霊長類学からの展開』(裳華房)、『サルと歩いた屋久島』(山と渓谷社)など多数。

山極 寿一(やまぎわ・じゅいち) 1952年生まれ。京都大学大学院理学研究科教授。日本霊長類学会会長。長年にわたり、野生のゴリラやチンパンジー、ニホンザルの社会的行動を調査するとともに、その保護活動を行ってきた。主な著書に『暴力はどこからきたか』(NHKブックス)、『ゴリラ』(東京大学出版会)、『家族の起源』(東京大学出版会)、『人類進化論-霊長類学からの展開』(裳華房)、『サルと歩いた屋久島』(山と渓谷社)など多数。

山極:霊長類の話からしましょう。もともと霊長類は単独で暮らし、住んでいる空間を他者とは分かち合いませんでした。つまり群れなかった。彼らが好む食物は、生息場所を自由に変えられない植物だったからです。場所を移動できない植物のありふれた食物だから、勝手にひとりで食べられる。霊長類は食をめぐる葛藤を抱えないで済むよう、食を専有できるテリトリーを作り、それを互いに認め合おうとしました。

 ところが進化の過程で、霊長類が社会生活を作り上げ、群れで暮らすようになると、食に関して群れどうし、そして群れの中での葛藤が生まれるようになります。

 霊長類の食で起こるストレスというのは、「どういう仲間とどんな食物をいかにうまく食べるか」にかかわってくるといえます。

食はコミュニケーションの手段

--集団生活のほうが外敵から捕食される危険は少なくて済みますが、同じ食への嗜好をもつ仲間と暮らさなくてはなりません。つまり同じ食物をめぐっての争いにもなりうる。霊長類は、大きなストレスになりかねないこの問題をどう解決したのでしょうか?

山極:食べる順番を決めました。いわば集団内に“勝ち組”と“負け組”を作ったのです。集団内の優劣順位を決めてしまうことが、食物に関する葛藤を解決するいちばんいい方法ということです。

 勝ち組・負け組といっても、人間の考えるような優勝劣敗といった厳しいルールではありません。霊長類は、どこにでもあるような植物を食料にしているため、負け組であっても、場所を移動すれば食料は手に入ります。

 しかも集団自体が定住生活をせず、転々と動き回っています。場所を変えれば、新たな食にまたありつけるので、食をめぐる争いは長くは続きません。

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