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スタンガンを見せ合いながら話はできない

水島精二監督「機動戦士ガンダム00」(5)

  • 渡辺由美子

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2009年2月5日(木)

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(前回「人を育てない組織は必ず復讐される」から読む)

――バックグラウンドを見せずに「正義」の理屈だけで他人と関わろうとする「無敵の匿名性」、さらには人と関係する面倒さを避け、成果だけは得ようとする「ショートカット志向」。これには人が育たないという大きな落とし穴がある。水島監督の時代を見るポイントが出そろってきました。これらの「欲望」に向き合いつつ、打ち勝つ作品をどうつくるか、いよいよ放映中の「機動戦士ガンダム 00(ダブルオー)」に絡めてお聞きしたいと思います。

 これらの欲望に立ち向かうキーワードとして、前回、面倒をいとわない「ダイレクトな接続」という言葉が出てきましたが。

「機動戦士ガンダム00」 水島精二監督

水島 精二(みずしま・せいじ)
東京都府中市出身、1966年1月28日生まれ。東京デザイナー学院卒。撮影、制作進行を経てアニメ演出家。『機動戦士ガンダムOO』のほか『ジェネレイターガウル』『鋼の錬金術師』『大江戸ロケット』などで監督を務めている(写真:星山 善一 以下同)

水島 そう思います。「人と人の繋がり」というのが、僕自身の心のテーマのようで、作品を作るときも何らかの形で入るんですよ。

 人に言われて気づいたんですけど、僕の場合は、どんな作品を作るときもテーマの根幹が共通しているみたいで。人と人との繋がりとか、人同士が繋がることで、登場人物たちがいる世界が少しでも良くなるとか、そういうことが描けたらいいなと思っているんです。

 今の「ダブルオー」では、「平和」……というと漠然としていてつかみどころがないけれども、「争いをなくすにはどうするか」を考えられるよう、描いてみたいなと。

 作品を観た若い人に、自分の周りの争いをなくすことについても、すこしだけ考え
てもらうきっかけになればという気持ちもあって。

――自分の周りの争いをなくす、といいますと?

疑心暗鬼のスパイラルから抜けるには

水島 “隣の人と仲良くしよう”ということですね。隣の人と向き合って、本当の関係性を作ろうよという。

 たとえば、職場の人も身近な隣人ですよね。自分の職場の人たちと仲良くしてみよう、というふうにとっていただければと思います。

――監督がおっしゃる「本当の関係性」というのは、地位に頼らず、相手に自分の顔・知識・経験をさらけ出すことから始まるわけですよね。匿名性の無敵さを捨てなければ、さらけ出せない。

 今の時代、職場の人と本当の関係性を作るのは難しくなっていませんか。職場環境が厳しくなって、利害関係が対立しがちな昨今ではなおさら。

水島 会社みたいに、有無を言わさず深く関わらざるを得ないコミュニティにいる人たちこそ、手を繋ぐべきだと僕は思いますけどね。地位や役割のような“匿名”に隠れたり、相手を、あの人はエライ人だから頭を下げておけばいいや的な“匿名の人”扱いして遠ざけようとせずに。

――たぶん「こちらが手を繋ごうと手をさしのべても、相手が同じように友好的に手を繋いでくれるとは限らない」と思うことが、匿名の後ろに逃げ込みたくなる理由だと思うんです。相手が、自分だけは得をしようと考える人だとしたらどうでしょう。自分の利益だけ優先させる人に対して、自分の知識・経験をさらけだして手を繋ごうとしても、利用されるだけではないかという。

水島 確かに人間は、本能で自分の利益を優先させる生き物だ、と思います。

 でも、職場の隣に座っている人ときちんとコミュニケーションをとって関係性を作ることが、お互いのメリットになると思うんですよ。

 職場の中で、立場が違うというだけで相手に反感を持ったり足を引っ張ったりすると、誰も信じられなくなる。信じられないから、自分もガードが堅くなる。みんながそうなってしまうことで、仕事の知識も経験も共有されなくなる。会社の居心地も悪くなりますよ。

 今の時代、そういう疑心暗鬼スパイラルこそが、職場だけでなく、社会全体を悪くしているという気が僕はしますね。会社が厳しい今だからこそ、職場の人間がまとまったほうがいい。

 僕なんかもいろんな会社の人やスタッフと付き合いますけど、手こずる相手はやはりいるんですね。相手が何を考えているのか、何を一番大事にしているのかがわからないという。でもそこであきらめずに、「この目の前の人とどうやったらコミュニケーションが取れるか」とアプローチ方法を考えて、トライ&エラーを繰り返すと、何かしら相手のことが見えてくるんです。

――「隣の人と手を繋ごうよ」と言われて、自分の顔・知識・経験をさらけだしたら、そこで相手に「評価」されるわけですよね。「評価」というのは「値踏み」でもあります。相手に値踏みされる、自分が見下されるのではないかという不安もあるんじゃないかと。

相手が理解できないから、恐怖が生まれる

水島 「見下されるのが嫌」、つまり相手より劣位に立ちたくないと思う心理の根源には、相手に対する恐怖があるんじゃないですか。

――確かに、相手が何をするかわからない、それは恐怖かもしれません。もしかしたら、手を繋ごうとした相手がスタンガンを持っている可能性があるかもしれないと。

水島 「相手がスタンガンを持っている」と考える……そう考えてしまった段階で、手を繋ぐことができなくなると思うんですよ。

コメント5件コメント/レビュー

おっしゃることはごもっともですし、ティーンズ相手にアニメ作品によってそれを伝えようという志は素敵だと思います。また、古くからのアニメファンとしては、「ガンダム」タイトルの作品が、図らずも(?)ガンダムの伝統に沿うようにコミュニケーション論を展開していることにも興味を覚えました。ですが、NBOの記事としては……NBOの主要読者層にとっては、当たり前かつ青臭い理想論と映るのではないでしょうか。もう一段の掘り下げを期待したいところです。(2009/02/05)

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いただいたコメント

おっしゃることはごもっともですし、ティーンズ相手にアニメ作品によってそれを伝えようという志は素敵だと思います。また、古くからのアニメファンとしては、「ガンダム」タイトルの作品が、図らずも(?)ガンダムの伝統に沿うようにコミュニケーション論を展開していることにも興味を覚えました。ですが、NBOの記事としては……NBOの主要読者層にとっては、当たり前かつ青臭い理想論と映るのではないでしょうか。もう一段の掘り下げを期待したいところです。(2009/02/05)

年齢や性別、職業などコミュニケーションや会話においてデータのやり取りをすることは、会話に目鼻をつける作業のひとつであり、相手を知ることではない。そのことが『相手を「匿名」で見る』という言葉に集約されていて、こころにすとんと落ちてきました。前回のショートカット志向に加えて「思考停止」と言うキーワードが出てきましたが、この相関性のある2つの要素によって「匿名」「無関心」は成立するのだと改めて認識した次第です。匿名化された個人はきっと「虚しく」「淋しい」。そして、それを解決するためには、自分の頭で考えた思いやりの行動を、実際の起こすこと!次回の記事も楽しみにしています。社会の端すみで、監督のような方がいるのだということを励みにワタクシも日々精進します:K(2009/02/05)

面白く読みました。監督の思想から、ダブルオーの先行きも想像してしまいました。ソレスタルビーイングこそ、究極の匿名無敵集団ですからね。彼らには、惨めに敗北するか、さもなければ世界に自らの正体をさらすか、いずれかの道が待っているのだろうと。そうでなければ、話されていることと矛盾してしまいますものね。(2009/02/05)

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