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親密さはセックスを遠ざける

霊長類学が映し出す人間コミュニケーション--山極寿一氏(後編)

2009年2月12日(木)

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 前編では、霊長類学者の山極寿一さんに“食”という行為の社会的意味を語っていただいた。霊長類において個人的な行為であった食が、類人猿になると連合関係を確認するためのコミュニケーション手段となるという。

 さらに人間の段階になると、食を公開し、共食するようになる。集団間を遍歴する際に敵意を向けられたりせず、円滑に関係を結ぶためらしい。

 食とならび、人間を含む動物の葛藤を招くのは“性”だ。後編では、引き続き山極さんに、性をめぐるストレスをどのように人間は回避しているかについてうかがった。

--“食”と並び動物に葛藤(争い)を生じさせるのが“性”の問題です。葛藤を回避するにあたって、人間とほかの動物では解決策に違いはあるのでしょうか?

山極 寿一(やまぎわ・じゅいち) 1952年生まれ。京都大学大学院理学研究科教授。日本霊長類学会会長。長年にわたり、野生のゴリラやチンパンジー、ニホンザルの社会的行動を調査するとともに、その保護活動を行ってきた。主な著書に『暴力はどこからきたか』(NHKブックス)、『ゴリラ』(東京大学出版会)、『家族の起源』(東京大学出版会)、『人類進化論-霊長類学からの展開』(裳華房)、『サルと歩いた屋久島』(山と渓谷社)など多数。

山極 寿一(やまぎわ・じゅいち) 1952年生まれ。京都大学大学院理学研究科教授。日本霊長類学会会長。長年にわたり、野生のゴリラやチンパンジー、ニホンザルの社会的行動を調査するとともに、その保護活動を行ってきた。主な著書に『暴力はどこからきたか』(NHKブックス)、『ゴリラ』(東京大学出版会)、『家族の起源』(東京大学出版会)、『人類進化論-霊長類学からの展開』(裳華房)、『サルと歩いた屋久島』(山と渓谷社)など多数。

山極:動物にとって食は個人的な行為ですが、前編でお話ししたとおり、人間は食をコミュニケーションの手段にするため、他人に公開しました。ところが、性について言えば、動物の場合は、公のもの、つまり見せるものですが、人間にとっては隠すべきものになりました。人は食と性のあり方を、動物とまったく逆にしてしまった。これが人間独自のストレスを生み出す原因になっています。

 人間が性を隠したのは、1人の人がいろんな集団に身を置く「集団遍歴」が関係しています。1つの集団として完結するのではなく、複数の集団が寄り合って生きる地域社会を形成する必要が出てきたとき、家族という単位が形成されました。

 その家族の中で性交渉が許されているのは夫婦のみで、兄妹、姉弟、親子間では禁止されています。

コミュニケーション手段としての性

--人類学者などの報告から、現在ではインセスト・タブー(近親間の性交渉の禁止)の有無が、「文化」と「自然状態」を分ける制度だと認識されていますね。

山極:たとえば、裸のままか衣服を着るかに生物的な意味はありませんが、服を着ないと問題が生じるようになったのは、文化が生まれたからです。インセスト・タブーは、性を隠すことで初めて成立しますが、まさに文化の問題といえます。

 親子で性交渉すれば、遺伝的に劣性の子どもが生まれるかもしれません。しかし、従兄弟や叔父と姪、叔母と甥との間では、大きな障害はないはず。

 ただ、それが禁止されたのは、公の場で性交渉をすると支障を来すからです。いわば人が裸であるのと同じ状態で、社会性を保てなくなる。親子関係あるいは兄妹、姉弟関係と性関係を両立させないのが家族をつくる原則です。

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