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ニコンF2を使うカメラマンと出会った

  • 金丸 裕子

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2009年2月10日(火)

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 インタビューが終わり、いつものように、カメラマンの撮影風景を眺めていた。
 あれっ、カメラマンがフィルムを入れ替えているではないか!

「珍しい!フィルムで撮影するんですね」

写真、修理の様子

関東カメラサービス(記事2ページ目)での、機械式カメラの整備作業

 撮影中にも関わらず思わず声をかけてしまう。新聞や雑誌の仕事の場合、今やカメラマンが使う100パーセントがデジタルカメラ。5、6年前からフィルムを交換する姿なんて見ることもなくなっていた。今回の仕事はビジュアルの美しさが問われるムック本の取材で、「写真はデジタルじゃなく、ポジフィルムで」という注文があったのだという。

 カメラマンA氏が使っているカメラをまじまじと見て、またまた驚いた。かなり古い。70年代に家族が使っていたニコンFと似ているけれど……。なぜ昔の機種を使っているのだろう?

「古いカメラを使っているんですね」

気になって、ランチを食べながら聞いてみた。

「ニコンF2です」
「Aさんが生まれる前のカメラじゃないの?」
「製造されたのは僕が子供の頃じゃないですかね。20年前に中古で買って、以来、ずっとF2です。今までに6台買いましたよ。シャッターの機械音が気に入っているし、フィルム交換するのに裏ぶたをはずす感覚も好きなんです。最新モデルじゃないと不安という人もいるんでしょうが、僕の場合、気に入っている道具を変える必要はないと思っています」

 20年間、一度も浮気せずに一機種だけを使い続けるとは! なかなか頑固だなぁ。だから個性的な写真が撮影できるのだろうけれど。

 ニコンF2が発売されたのは1971年だ。ニコンF3からは電子制御シャッターになるが、F2までは機械式シャッターを採用している。A氏は、電子シャッターの音や巻き上げレバーの感触がどうしても気に入らないらしい。

「画像はどう? デジタルとフィルムじゃ、どう違うの?」
「フィルムのほうが画質に深みがありますね。暗いところで撮ると粒子が粗くなるけれど、それが自然だと思うんです。フィルム交換も手間だとは思いませんね。デジタルの場合、どんな条件でもキレイに写りますが、不自然にキレイすぎるんですよ。画像の奥行きも出ないですね。デジタルは調整ができる再生画像であって、写真じゃないんです」

 おおっ、厳しい!

 とは言え、A氏はデジタルカメラを完全に否定しているわけではない。今回の仕事でも、A氏はデジタルカメラで構図を決め、モニターを私に見せて互いに確認してから、フィルムカメラに取り替えてシャッターを切っていた。ふだんの仕事では、相手が希望すればデジタルカメラで撮影をしているという。きちんと使い分けている。だが、A氏にはフィルムでと指定してくる仕事先が少なくないし、ライフワークで撮っている作品は必ずフィルムで撮影するそうだ。

 しかし、いかんせんニコンF2は30~40年前の機械だ。仕事中に動かなくなったり、部品がなくなって修理できなくなる不安はないのだろうか?

「F2ばかり3台持っています。中古で状態の良いのがあったら、また買いますよ。修理屋に部品がまだあって、修理もしてもらえるから、まだまだ大丈夫。第一、機械式ですから、電池が切れても使えるところがいいんですよ」

買い替える必要がないから使っています

 確かに、電気どころか電池の力を借りなくても、動かすことができるのはすごい。今やカメラといえば、充電するなり電池を入れるなりして使うというのが当たり前になっている。

「デジタルカメラは家電製品ですからね。冷蔵庫やテレビと同じで毎年のようにモデルチェンジしているから、愛着を持つ間もなく買い替え時期がくる。大事にすれば、まだまだ使い続けられるのに。気に入ったものがあったら、買い換える必要はないのに……」

写真、カメラのパーツ

 家に戻って、デジタルカメラとフィルム式カメラについて少し調べてみた。デジタルカメラの発売は1980年だが、普及するきっかけを作ったのは1999年秋のニコンD1の発売だ。65万円という当時としては異例の低価格で、プロ、アマチュア愛好家を問わずデジタル一眼レフカメラが広がっていったそうだ。

 確かに、その頃から、知り合いのカメラマンのほとんどがデジタルカメラに切り替えた記憶がある。そして2002年、ついに国内メーカーのデジカメ総出荷台数がフィルムカメラを逆転。デジタル一眼レフは毎年新作が発売されるという状況が現在も続き、一方のフィルム式カメラについては、2006年、大手のニコン、キヤノンがそろって新機種の開発中止を発表。フィルム式カメラ時代の終わりを宣言したかっこうになっている。

 かく言うわたしも昨年、デジタル一眼を購入した。軽量なキヤノンEOS kiss X2だ。レンズつきで6万円を切っていたので、すんなり買った。学生時代にカメラ部に所属していた時期があるのだが、当時の一眼レフは長い間バッグの中にしまいっぱなし。しかし、数年前からコンパクトデジカメを使うようになったことがきっかけで、「きちんと写真が撮りたい」いう気持ちが再熱し、デジタル一眼購入に結びついたのだ。こうした自分の経験からも、デジカメの手軽さ、便利さはやはり捨てがたいと思う。

 けれども、デジカメを便利に使えば使うほど、今度は機械式カメラで写真を撮ってみたくなるから不思議だ。そんなときに先ほどのA氏に遭遇したのだ。

「実はわたしも押入れにしまいこんだままになっているカメラがあるのよ。夏休みのアルバイト代を全部つぎ込んで買ったのに、分不相応と非難を浴びたキヤノンF1なんだけれど……」
「そんな思い入れのあるカメラだったら使ったほうがいいですよ」

 A氏に影響され、家に戻るや取り出し、シャッターを切ってみた。んん!? シャッターは切れるけれど、ミラーが下がらない。ああ。

コメント3件コメント/レビュー

私もキャノンF1持ってます。交換レンズも非球面含め5本あります。数年前身内の結婚式で撮影を頼まれたのですが、、なんと、ミラーからスポンジの残骸が降ってきて大慌て。さすが、機械式で出来映えは問題なかったのですが。メーカー修理はオーバーホール部品交換で5万円超えでした。部品のストックは当時も底を着いていたようですが何とかなりました。デジイチを物色しようとしていたのですが、この記事を拝見して銀塩復活しようかなと思っています。(2009/02/11)

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私もキャノンF1持ってます。交換レンズも非球面含め5本あります。数年前身内の結婚式で撮影を頼まれたのですが、、なんと、ミラーからスポンジの残骸が降ってきて大慌て。さすが、機械式で出来映えは問題なかったのですが。メーカー修理はオーバーホール部品交換で5万円超えでした。部品のストックは当時も底を着いていたようですが何とかなりました。デジイチを物色しようとしていたのですが、この記事を拝見して銀塩復活しようかなと思っています。(2009/02/11)

一眼レフの機械式カメラは、日本が世界に誇る文化遺産の一つになりつつあると思います。カメラは修理・メンテして現役状態になっていても、フィルムメーカの撤退とプリントのデジタル化などによって、銀塩写真を撮って楽しむという事が年々厳しくなっています。アクリル盤のレコードと同じように、かなり限られた人々のかなり贅沢な趣味としてでも良いから、細々と続けられることを望んでいる一人です。(2009/02/10)

フィルムカメラで撮った写真の方が立体感があるという感想には、私も同感です。デジタルと適宜使い分けるといいですね。(2009/02/10)

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