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究極のブランディングは「地域に“既にあるもの”」

「鴨川和棉農園」(千葉・鴨川市)に集う人々(4)

  • 若井 浩子

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2009年2月13日(金)

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 「足立さんが栽培してこられた畑は1500平方メートル。普及所との協働で周辺地域にも規模を拡大し、現在3000平方メートルほどで伯州綿が栽培されています」(渡邉さん)。

 3000平方メートルの畑で収穫できる綿花は約200キログラム。全重量の7割を占める種子を取り除くと原綿は60キログラムだ。着物一反は綿1キログラムで織れるというから、決して“試み程度”の事業ではない。

木陰で収穫した伯州綿を綿繰り。子供も大活躍。

木陰で収穫した伯州綿を綿繰り。子供も大活躍。

 また、和綿の中でも繊維が短く弾力のある伯州綿は布団の中綿として重宝されてきた歴史がある。そうした綿本来の特色を極めることも地場に根付いた工芸の復活を目指す上では重要なテーマだ。

 「伯州綿の種は長い歴史の中で県外各地にも転地してその土地なりの進化を遂げています。私は将来のためにも、鳥取の伯州綿の原糸というものを確立したいですし、そうした認定があればとも思っています」(足立さん)。

高齢化した農家にも新たな可能性

 「栽培過程では、堆肥のpHを調べて統計を取って効果的な施肥の方法を探したり、害虫被害が出た場合の原因究明なども、県と協働で進めています」(足立さん)。

 復活する農文化は伝統工芸の未来を拓くだだけではなく、高齢化の進む農家に新たな展開をもたらす可能性も持つ。

 実は腰を屈めての長時間作業を必要としない綿栽培は、農業労働としては重労働ではないそうだ。農家でない立場で小さな畑から綿栽培を本格化する過程で、農作業のいろいろだけでなく、農地法(*3)による制約など難しい面があることを知った足立さんは、「高齢化で農作業の継続が難しくなっている農家でも、綿ならば体力的に栽培可能ということもあります」と言う。

 栽培作物を変えることには法律的な制約はない。もともとが農家であれば移行もしやすいし、農地も綿栽培も存続につながるというわけだ。

(*3)農地法第3条は下限面積5000平方メートル以上を耕作する者を農家とし、農家以外の農地取得を制限している。一般の所有地を耕作する場合、農業としての税制は適用されない。

不況時に“足元見直し政策”で飛躍したデザイン大国

 もともとあった種を最善の方法で育て、その実りで本来の工芸、生活のデザインを復活、発展させていく──。これはその後の経済効果の有無にかかわらず、人が生きることの意味を実感させてくれる価値ある営みに違いない。

 少し話はそれるが、観光産業で目前の利益を追うのを止め、足元を見つめ直すことで堅実な成長と新しい展開を手に入れた例として、1970年代後半から90年代にかけての北欧、フィンランドの政策転換が思い出される。

 70年代後半、フィンランドは外貨獲得のため観光産業振興に注力して、北部の都市、ロヴァニエミをサンタクロースの故郷とした“サンタクロースプロジェクト”や、トントゥ(森の妖精)の物語の宣伝に躍起になっていた。もちろん、これらは現在、魅力的な旅のモチーフになってはいる。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長