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無敵になれるのを待つより、手を組むほうが早い

水島精二監督「機動戦士ガンダム00」(6)

  • 渡辺由美子

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2009年2月19日(木)

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(前回「スタンガンを見せ合いながら話はできない」から読む)

―― 前回は、“職場の隣人”と深い関係性を築くことが難しい理由は、相手が理解できないことからくる恐怖心にある。恐怖は、相手の価値観を「自分とは違うもの」として理解することで克服できる、というお話でした。

水島 相手の価値観を理解するといっても、完全に理解することはできないわけですが、相手の価値観は自分とは違うというところが、かえっていいんじゃないかと僕は思いますね。価値観が違う人と手を繋ぐことで、その人の価値観に影響されたり、その人の物の見方を自分の中に取り込んだりできるから、豊かなものを得ることができるのではないかと。

 相手の価値観を取り込むなんて、言うのは簡単でも実践するとなると難しいんですけどね。僕も、「ダブルオー」でひとつ、痛い経験をしているんです。

自分の手法と脚本家の手法が並立しないときに

「機動戦士ガンダム00」 水島精二監督

水島 精二(みずしま・せいじ)
東京都府中市出身、1966年1月28日生まれ。東京デザイナー学院卒。撮影、制作進行を経てアニメ演出家。『機動戦士ガンダムOO』のほか『ジェネレイターガウル』『鋼の錬金術師』『大江戸ロケット』などで監督を務めている(写真:星山 善一 以下同)

 「ダブルオー」で脚本を担当してもらってる黒田洋介さんとは、この作品で初めて組む事になったんですが、僕は最初、彼が本領を発揮しにくい方法をとってしまったんです。

 ダブルオーは、大勢の集団が登場して、個々のドラマを持ちながら、その集団どうしも少しずつ関わっていくような、そんな「群像劇」のスタイルにしたかったです。

 群像劇を描くときには、人1人に対して割ける尺(時間)は少ないから、どれだけ短いシーンで人物を表現できるか、セリフ1つひとつの説得力が勝負になってくるわけですが、黒田くんの面白さは、セリフの掛け合い。たくさんの会話を積みあげてキャラクターを立たせていく手法が持ち味だったですね。なので、シナリオを詰めていく段で、僕が入れたいそれぞれの内容に対して黒田くんがセリフを書いていくと、30分の尺に入り切らなくなってしまった。そこで、その話数内で消化しなければならないエピソードを収めることを優先し、セリフを短く刈り込んでいったんです。

―― どうなりました。

 キャラクターの面白みが消え印象が弱くなってしまった。

 黒田くんならではの、相手との会話の中で立ち現れるすごく奥の深いセリフや、人物の衝動、そういう大切なところがなくなってしまったんです。

 わりと早い段階で、僕の今のやり方だと、どんどん言葉を刈り込んでいくことになるから、黒田くんらしさがなくなるんだと気がつきました。

 それで、群像劇は群像劇でも、僕が思っているバランスからは離れるべきだと思ったんです。

―― 黒田さんのよさを生かすために。

 そうです。僕は以前、群像劇の上手な脚本家と組んでいたので、その彼とのやり方に慣れていたんですね。

 それで、黒田くんに対して、知らず知らずのうちに、そのときと同じやり方を強要していたのかもしれないと気がついたんですね。それで自分のやり方を変えることにしました。

―― 具体的には。

「自分ではできないこと」のために、他人と組むはず

 プロット(筋立て)を見て、自分が望んでいる部分が複雑で入りきらないと思ったら、そこの部分は主張しない。キャラクターにある立ち回りをさせたかったとしても、そこに持っていくためにはもう2つぐらいプロセスが必要だと思ったら、もうばっさりそのシーンはカットして他の方法で圧縮する。

―― ご自身が入れたかったシーンも、切ったりしたのですか。

 ええ。僕のほうで変えられることは変えてしまいたかったんです。だって、せっかく黒田くんと一緒にやっているのに、僕が「そうじゃないんだよな」なんて言って、構成を変えたりセリフを書き直してしまったりしたら、それ以降の構成は崩れて、黒田くんの負担は増えるし、仮に上手くいったところで僕のレベルに留まってしまいますから。

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