いま、日本は携帯ゲーム機天国です。
2500万台を突破し、いまなお史上最大のペースで普及し続けているニンテンドーDSのヒットは、みなさんもよく御存じでしょう。そして、もうひとつの携帯ゲーム機、プレイステーション・ポータブル(PSP)も、好調に売れ続けています。
このふたつの携帯ゲーム機が同時にヒットしているのは、日本だけに見られる特徴です。北米やヨーロッパで、据え置き機と携帯ゲーム機がバランスよくヒットしているのと比べると、2つの携帯ゲーム機が市場を牽引し、多くのヒットソフトを生み出している日本市場は、きわめて特殊な市場といっていいでしょう。
2008年末に発売されたPSP用ソフト「ディシディア ファイナルファンタジー」(スクウェア・エニックス)は、そんなムーブメントに乗ってヒットしたソフトのひとつ。歴代の「ファイナルファンタジー」の主人公たちがバトルをするという、なんともお祭り要素の高いソフトなのですが、みごとにミリオンセラーを記録。根強いPSP人気を裏付ける結果を出してみせました。
2008年3月発売のPSP用ソフト「モンスターハンターポータブル 2nd G」(カプコン)も、忘れてはいけません。これがニンテンドーDSやWiiのソフトを押さえ、2008年のナンバーワンヒットの座を獲得したのは、すでにご紹介したとおりです。
日本で携帯ゲーム機がヒットする理由
なぜ、他地域に比べて、これほど携帯ゲーム機が強いのか?
ひとつは住環境の問題でしょう。
たとえば、みんなが職場から自宅まで10分で帰れるのならば、これほど携帯ゲーム機がヒットすることはなさそうです。通勤・通学などに時間がかかり、しかも電車やバスなどの公共機関を活用することの多い日本では、外出中に隙間時間が生まれやすい。そんなライフスタイルだからこそ、日本では携帯ゲーム機が重宝されるのです。
人口密度の高さも影響があるでしょう。ひんぱんに人と出会いやすい環境では「ゲーム機を手にする人たち」を見かけることが増える。知人からソフトを見せてもらう機会も増える。だから携帯ゲーム機に関心を持つ人の割合が上がりやすいのです。北米よりも先に、ヨーロッパで携帯ゲーム機の人気が爆発したのも、人口密度の高さが関係していると考えれば、スッキリと理解できますね。
治安の良さも忘れてはいけません。公園で、子供たちがゲームを遊んでいても大丈夫な環境があることが、携帯ゲーム機の普及を後押ししています。
そして、なによりも大きいのは、1996年に発売された初代「ポケットモンスター」に触れ、携帯ゲーム機で友達と遊ぶことを生活の一部として親しんだ経験を持つ世代が、ついに大人になったこと。いまから13年前に10歳だった少年少女たちは、すでに社会人になりました。大人が携帯ゲーム機を楽しむ姿が、珍しいものでなくなった要因のひとつが、ここにあるのです。
そんな世代が大人になった時代に合わせるかのように、「ゲームユーザーのために、場所を提供する」という新しいビジネスが、静かにスタートしつつあります。
いただいたコメント
コメントを書く