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「ルーズヴェルトの陰謀」はどこまでホント?~『昭和史を動かしたアメリカ情報機関』
有馬 哲夫著(評:山岡 淳一郎)

平凡社新書、760円(税別)

  • 山岡 淳一郎

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2009年2月24日(火)

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昭和史を動かしたアメリカ情報機関

昭和史を動かしたアメリカ情報機関』 有馬 哲夫著、平凡社新書、760円(税別)

 会社の乗っ取りから、テロ、戦争に至るまで「陰謀説」は口の端に上りやすい。

 アメリカの中央情報局(CIA)を中心とする情報機関は、しばしば陰謀説の主役にされてきた。たとえ工作に関与していなくても、「CIAが絡んでいる」と噂されれば、相手に恐怖心を植えつけられる。しかし、ほんとうのところはどうなのか……。

 陰謀説の一方で、「真相」に迫る歴史的検証も粘り強く行われる。

 本書は、雨垂れが岩をうがつように丹念に史料に当たり、現代史のグレーゾーンを読み解いたものである。太平洋戦争中から終戦、占領、復興期にかけて米国の情報機関が、「心理戦」や「情報戦」を介して日本社会をどう動かしたかを具体的に記している。

 著者は、まず米国の情報機関が、軍事的情報収集から総合的に作戦・工作を展開する組織へと発達した経緯に触れる。そして一般市民からは見えにくい心理戦、情報戦のヴェールを剥ぎとりにかかる。心理戦はCIAの専売特許ではない。その担い手はさまざまだ。

 たとえば、〈アメリカの声(Voice of America:以後VOAを用いる)や合衆国情報サーヴィス(The United States Information Service:略してUSIS)を通じて情報を流し、アメリカの大義を説き、情報に接する人々を親米的にするのはプロパガンタ戦〉と著者は規定する。

 マスコミ操作も心理戦の一分野だ。

 1950年代、「ユニテル・リレー網計画」という軍事通信網をもとに日本やフィリピン、韓国、台湾にテレビ導入を図ったのは米国の心理戦委員会(Psychological Strategy Board:略してPSB)だったという。ときは冷戦のまっただなか、テレビ導入後、親米番組が大量に放映されたのも、心理戦の一貫であった。文化交流や学術交流も心理戦の範疇に入るらしい。

〈実は、もっとも効果的なのは留学や交換プログラムなどの人的交流だ。これも中央情報局や合衆国情報局(United States Information Agency:略してUSIA)などアメリカの心理戦担当の情報機関が深く関わっている〉

より熾烈さを増す現代の情報戦

 米国留学で親米的価値観を植えつけられた人材は、帰国後も米国志向で動く。アメリカにとって格好のエージェントとなる。小泉政権下の経済閣僚にも、そんなタイプの人物がいた。情報機関は、米国の色に染めやすいキーパーソンを虎視眈々と狙っている。

 くり返すが、情報機関はCIAだけでない。国際交流の美名のもとに活動している組織も含まれるという。

 その後、合衆国情報局はクリントン政権で廃止され、「9・11事件」以降、CIAの権威も失墜したといわれるが、米国には相変わらず情報機関がひしめき合っている。

 軍事的・政治的決定を下すための情報戦は、以前にも増して熾烈になっている。膨大な情報を集め、それを分析し、より確かな純度の高い知識、つまり「インテリジェンス」が求められているのだ。

 いまや各インテリジェンス機関は通信技術でつながり、〈同じ情報を共有し活用するインテリジェンス・コミュニティを形成する方向に向かっている〉と、著者は、現状を概観したうえで、歴史的検証に移る。

 昭和史の謎として、現在も語り継がれているのが、1941年12月7日の真珠湾攻撃における「ルーズヴェルトの陰謀」である。大統領は陸海軍の情報局の暗号解読で日本が真珠湾を攻撃してくるのを知りながら、現地の司令官に情報を伝えず、被害を受けたのを口実に参戦した、とする陰謀説だ。

 この見方は、公式には認められていない。が、ルーズヴェルトが事前に真珠湾攻撃の情報に接していた確率はかなり高いようだ。最も大きな謎をはらみ、議論の的になっているのが、いわゆる「風情報」だ。

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