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民俗学とは日本の源流を知ること

『東北学 忘れられた東北』赤坂憲男著 講談社学術文庫 1050円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2009年2月27日(金)

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『東北学 忘れられた東北』赤坂憲男著 

『東北学 忘れられた東北』赤坂憲男著 

 著者赤坂は、ひたすら柳田国男を跡づけて、批判的論考を繰り広げる気鋭の民俗学者である。赤坂は足かけ3年で、東北の僻遠の地、過疎の中の過疎と思われる地域を4WDで4万キロメートルほど経巡った。赤坂の手には柳田国男の『雪国の春』がしっかと握られていた。

 東北は、かつて蝦夷の地と呼ばれていた。そこに住む北海道から南下してきたアイヌ民族の地だった。

 しかし、柳田は稲作文化によって、東北地方は日本と一体だという、学説を披露した。赤坂は東北には特有の「稗・粟」を作る雑穀文化があり、大和の米穀文化とは一線を画していたのではないか、と柳田に異を唱え、過疎地から過疎地へと苦労の絶えないドライブを続けた。

 赤坂の立場を簡単に説明すれば、柳田のように「ひとつの日本」ではなく、「いくつもの日本」があるに違いない。だったら、東北でもうひとつの日本を見つけてやろう、という思いが4WDのハンドルをしっかと握らせたのである。

 そんな旅の中で著者は、環状列石に出会い、「日時計」に出会う。どちらも落葉広葉樹林に囲まれている。ブナ系の森林だ。堅果類を豊富に産する広葉樹林は同時に春の山菜類や秋のキノコをも大量に産出する。リス、キツネ、タヌキといった小動物も棲息していただろう。ここには季節の移ろいがある。ひょっとしたら、関東、大和以上の微妙な季節の遷移があったかもしれない。縄文の時代から東北には人が住んでいた。

 赤坂は柔軟な思考の持ち主である。東北の僻遠の地にいても、思考は東アジアへ、南アジアへ縦横に飛翔する。

 ネブタ、竿灯など、東北の祭りに秘められた意味を教えてくれるのも、目が開かれる。東北といえば宮沢賢治とマタギ。賢治の『なめとこやまの熊』についての言及。マタギの名人が「なめとこやま」で、大熊にばったり出会う。大熊は3年だけ生かしてくれと、マタギに慈悲を乞う。そして3年目、大熊は約束を守って帰ってきた。毒草でも喰ったのか、大熊は血を吐きながらマタギの前で倒れた。宮沢賢治は何に惹かれて、東北の奥山に伝わるこの伝承を取り上げたのか。ちょっと考えてみても良いかな。

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