• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「夫の代わりに、ウツになりました」

「他人の傘」になるのは難しい

2009年3月5日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「夫の代わりに、ウツになりました。今、闘病生活を送っております」

 これは大学時代の友人S子から来た年賀状に書いてあった、なんともショッキングな近況報告である。ウツ? しかも夫の代わりって…? 

 実はこれ、スピルオーバーという現象で、正確には夫(妻)のストレスが妻(夫)に伝染する状態をいう。

 スピルオーバー(余剰・余波)とはもともと、電波が目的の地域外まで届く現象のことを指す言葉だが、心療内科では、職場でのストレスと家庭でのストレスがそれぞれの界面を超えて相互に影響を及ぼす現象を表す。1990年代以降、欧米を中心にスピルオーバーに関する実証研究は急速に増えている。

 スピルオーバーには、ネガティブなものとポジティブなものがあり、ポジティブな面に着目したのがワークライフバランスなどである。

明るかった彼女に、夫のストレスが伝染…?!

 さて、そんなスピルオーバーを、ウツという最悪の状態で経験した友人S子。学生時代、誰よりも明るく元気だった彼女が、ウツ状態に陥るとは信じ難く、早速コンタクトを試みた。久しぶりに聞く彼女の声は、想像以上に元気だった。そして「今は割と状態いいから」と、ウツになったいきさつを話しだしたのである(このことから、彼女はウツ病ではなく、抑うつ状態だと思われた)。

 きっかけは、2年前の夫の異動だった。課長職昇進に伴い、新しい職場に移ったのだが、その部署はやたらと残業が多く、全く余裕のない生活が始まった。しかし、責任や裁量権を持たされた夫はやる気満々で、多忙でも元気そうに過ごしていたそうだ。

 ところが異動から半年経った頃、夫に変化が訪れた。過重労働からか体重が減り、白髪が増えた。そして、それまで滅多に愚痴を言うことなどなかったのに、毎晩、愚痴をこぼすようになったのである。S子自身も仕事をしていたので、職場での大変さはよく分かる。よほどストレスがたまっているのだろうと、彼女は夫の愚痴の受け皿となって、毎晩、愚痴につき合ったそうだ。

 そんなある日、S子は会社でトラブルがあり落ち込んでいたこともあり、いつものように愚痴を言う夫に、つい「そんなに愚痴ばかり言うんだったら、会社辞めればいいじゃない」とつっけんどんに言ってしまった。

 その瞬間、2人の間の空気が凍りついたのを感じ、S子はとっさに後悔したそうだ。しかし、時すでに遅し。夫は、何も言わずに自分の部屋に入ってしまったのだ。

 翌朝、夫は何事もなかったようにS子に接した。S子もいつも通り、夫と一緒に朝食を食べ、2人はそれぞれ会社に出かけた。

 ところがその日を境に、1つだけ夫の行動に変化があったのだ。それまで毎晩言っていた愚痴を、その晩から一切吐かなくなったのだ。いつも通り帰宅し、普通に会話もするのだが、会社の話を全くしなくなったのである。

コメント7

「ストレスで成長する!~“元気力”のある“健康職場”を目指して~」のバックナンバー

一覧

「「夫の代わりに、ウツになりました」」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人々が働きたいという会社になるには 「働きやすさ」と「働きがい」、この2つが必要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長