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スポーツはズルを賢くできるヤツが勝つ~『マリーシア』
戸塚 啓著(評:清田 隆之)

光文社新書、760円(税別)

  • 清田 隆之

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2009年3月4日(水)

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マリーシア──〈駆け引き〉が日本のサッカーを強くする

マリーシア──〈駆け引き〉が日本のサッカーを強くする』 戸塚 啓著、光文社新書、760円(税別)

 先月行われたサッカー日本代表のW杯アジア最終予選・オーストラリア戦は、ホームゲームながら0-0のスコアレスドローに終わった。

 終始押し気味に試合を進めたものの、またもや決定力不足を露呈したというのが大方の見解だ。イングランド・プレミアリーグでプレーする選手が大半というオーストラリアと互角に渡り合ったことは評価すべきだが、予選を1位で通過するためにも、絶対に勝っておきたい試合だった。

 本書は、サッカーの世界で「ずる賢さ」を意味するポルトガル語「マリーシア」をキーワードにしたサッカーの“啓発本”である。

 ケガを装って時間稼ぎしたり、審判から見えないところで相手のシャツを引っぱったり、接触していないのに派手に転んでファウルをもらおうとしたり。マリーシアはときに「卑怯なプレー」とも訳される。

 ここ十数年で、日本のサッカーは目覚ましい進歩をとげた。今でこそ「W杯には出場して当然」といったムードが漂っているが、90年代に入るまでは本戦出場などまだ夢のような話として語られていた。

 躍進の要因は、Jリーグの設立や「ドーハの悲劇」から得た教訓などいくつか考えられるが、海外の強豪国から積極的にサッカーを学んだこともそのひとつだろう。

 92年に外国人初の日本代表監督に就任したハンス・オフト(オランダ)をはじめ、ファルカン(ブラジル)、トルシエ(フランス)、ジーコ(ブラジル)、そしてオシム(ボスニア・ヘルツェゴビナ)と、これまで日本サッカー協会は海外から5人の指揮官を招聘している。

 オフトは「アイコンタクト」や「トライアングル」といった戦術の基礎を選手に叩き込み、アジア杯で初優勝を飾った。トルシエは「フラット3」を掲げ、02年の日韓W杯で日本をベスト16に導いた。彼ら欧州出身の監督に比べると、半年足らずで解任されたファルカン、そしてドイツW杯で惨敗したジーコと、ブラジル人監督はどうもパッとしない(もちろんオフト、トルシエにも賛否両論あるが)。

 特にジーコジャパンは、アジア杯では優勝したものの、逆にそれで更迭の機会を逃し、チームを空中分解させたとの声もささやかれた。

「戦術」をあれこれ議論するのもいいけれど

 アジアでは強豪でも、世界から見れば一介の中堅国にすぎない日本にとって、ジーコの掲げた「個人技を主体とする自由なサッカー」は無理があったのではないか。重視すべきは、格上と伍して戦うための作戦ではなかったか。そこで白羽の矢が立ったのが、欧州屈指の戦術家であるオシムだった。

 そして今、サッカー界では「戦術論」が全盛だ。以前書評した『4-2-3-1』などは、その典型といえるだろう。岡田ジャパンのサッカーは戦術的にどうなんだと、僕らもその是非を語ったりしている。

 しかし、と、気鋭のサッカーライターである著者は、そんな戦術論全盛の風潮に異を唱える。

〈4-2-3-1や4-3-3といったフォーメーションをどれほど成熟させても、些細な理由で機能不全に陥る可能性はあり得る。ピッチ上で展開されるサッカーは、テレビゲームやカードゲームではないのだ。サッカーとは理想のフォーメーションをいかに保てるかが大事であると同時に、フォーメーションが崩れたなかでどれだけ対応できるかが重要だと僕は考えている。ピッチ上ではつねに、選手自身の応用力が問われているのだ〉

 当然だがサッカーには相手がいるし、グラウンドにも無数の凸凹があったりする。思い通りにプレーできることなどまれなのだ。一流選手でも焦りはするし、苛立ちもする。

 プラン通りに連動しているときの日本代表は小気味よくパスも回っているが、それが崩れたときや相手ゴールに迫る場面になると、途端にプレーの精度や迫力が失われてしまう。それはなぜか。著者によれば、マリーシアが足りないからだという。

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