• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

かつて雑誌は若者を動かした、って信じられる?『popeye物語』
~あの時、雑誌は若かった

  • 舟橋 賢

バックナンバー

2009年3月4日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

popeye物語――1976~1981

popeye物語――1976~1981』 椎根和著、新潮社、1500円(税抜き)

 本書を出張先の書店で見つけ、おっ、と思わず手が伸びてしまった。表紙には、“popeye”のロゴと共にアメリカンコミックの主人公ポパイが、パイプをくわえて右目でウインクする得意のポーズを決めている。

 40代から50代の、オジサンたちのなかには、このデザインにピンとくる人も多いのではないだろうか。なんたって、雑誌「ポパイ」は70年代後半から80年代にかけて、女の子にモテたい男の子たちの“教科書”として一世を風靡した雑誌だったからだ。

 本書は、そんなポパイ誌の裏舞台を紹介した一冊である。著者は創刊時からポパイ誌と成長を共にした元編集長の椎根和(しいね・やまと)氏。創刊から実売40万部を超えた81年までの、編集部と多くのフリーランスたちの奮闘ぶりが描かれている。

 ポパイはモテたい男子のみならず、雑誌編集者にとっても生きた教科書だった。僕自身も新米編集者時代に、上司や先輩からポパイ誌を例にいろいろなことを教わった。意識する、しないに関わらず僕の中にもポパイ誌は生きている。若い頃に聞いた“神話”の核心部分を、内側から覗いてみたかったというのが、この本を手に取った理由だ。

 毎号豊富な海外情報と、モノと人であふれた誌面。大手出版社の潤沢な取材費を使った力業の編集というのが、これまでの僕のなかでのポパイ誌の印象だった。それは今でも変わらないが、意外だったのは、本書に登場する創刊時の主要メンバーたちはみんな熱く、なかなかのアウトローだったことだ。

時代に対する嗅覚を研ぎ澄ますには?

 本書には、のちに創刊編集長となる木滑良久氏と、チーフとなる石川次郎氏という初期ポパイ誌を牽引した二人の編集者の仕事ぶりが克明に綴られている。その意味で本書は、この両氏を主人公とする「プロジェクトX」雑誌編と言ってもいいかもしれない。

 雑誌編集者に必要なもののひとつが、時代に対する嗅覚だと僕は思っている。木滑・石川コンビの嗅覚は、70年代後半の空気を鋭敏に察知していた。泥沼化したベトナム戦争が終結し、学生運動が沈静化しはじめていた75年。2人は大胆にも、昨日まで反戦を唱えていた若者たちに向けてアメリカのライフスタイルを紹介した一冊「Made in U.S.A」を読売新聞社から出版し、スマッシュヒットを飛ばした。

 この頃の〈日本の若者たちは、次に“なに”に燃えるか、五里霧中だった〉と著者は述懐しているが、それが“昨日の敵”アメリカだったとは、当時、誰も考えなかっただろう。読売新聞社がこの企画にGOを出したのは、アメリカの親日作戦に荷担していたからだ、という推測をエピソードを交えて著者は記しているが、それにしても、木滑氏と石川氏はしっかりと時代の匂いを嗅ぎ分けていたということになる。

 こうした嗅覚を身につけるにはどうしたらいいものか? ノウハウ本ではないので明確な答えはしるされていないが、著者が語る石川氏のエピソードから、そのヒントをうかがい知ることができる。

 著者が入社前に編集部で石川氏の大きなバッグを見たときのくだりだ。

〈半分ほど開いたジッパーの中は、洋書の山であった。(中略)書棚にならべられた豪華な洋書類の体積を横目でながめながら、石川に尋ねた。毎回、こんなに買ってくるのか、(中略)その膨大な量の洋書も、いつのまにかきれいになくなっていた。多分、編集者、ライターたちが勝手に家に持ち帰っていたようだ〉

 そういえば90年代後半の宝島別冊に「パクリの構図」と題して、洋書とマガジンハウスの雑誌の表紙が似ていることを指摘している記事があった。パクリの真偽はともかく、ポパイ編集部の吸収欲旺盛な姿勢の傍証といえるだろう。鋭敏な嗅覚は、並外れた情報収集に支えられていたわけだ。

コメント1

「超ビジネス書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

実は事業継承の覚悟って、そんな大それたものではないんですよ。

高田 明 ジャパネットたかた 創業者