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「よく読む新聞は?」「日経です」と見栄を張る人がターゲット~『「R25」のつくりかた』
藤井 大輔著(評:朝山 実)

日経プレミアシリーズ、850円(税別)

2009年3月5日(木)

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「R25」のつくりかた

「R25」のつくりかた』 藤井 大輔著、日経プレミアシリーズ、850円(税別)

「あっ、きょうは当たりだ」

 手に取ると、裏表紙からひらくフリーマガジンがある。

 ノンフィクションライターの高橋秀実氏が隔週で最後のページにコラムを連載していて、「結論はまた来週」というタイトルを発見すると、「よしよし」ひとまず後回しにして、ビジネスやマネーやITの基礎知識などをコンパクトにまとめた、巻頭のページから読みはじめる。

 先日も夕方に、ワタシがすっと手のばした横で、OLふうの女性たちがさっとラックから一冊抜き取って改札口に向かっていった。首都圏ではおなじみの「R25」誌が創刊されたのは、2004年のこと。

 発行元はリクルート。広告やテレビ業界で「M1層」と呼ばれる20~34歳の男性がターゲット。東京23区を中心に1都3県4200箇所で、毎週木曜日に無料配布されている。ちなみに創刊時の部数は、50万部。なかでも相鉄駅の通路は、3万5000冊が1日でハケたことから、スタッフの間で「聖地」と呼ばれるようになったとか。

 いくらタダとはいえ、ラックに置かれたまま、いっこうに減らないフリーペーパーの類が多いなかで、この数字はすごい。本書はその成功にいたるまでを、創刊時の編集長だった著者が語ったものだ。

 著者は、「ダ・ヴィンチ」などの編集部を経て、新雑誌の編集長に抜擢される。といっても、スタートするにあたって、社内の編集者は彼ひとりという、ちょっと心さびしい陣容だった。

 しかし、本書を読むと、自分がしっかりしないと、どうにもならない状況がかえってプラスに働いたようにみえる。

 編集長だからといって、独裁的にふるまうのではなく、外部のスタッフと協働するにはどうすればいいのか。テレビなどに顔を出す名物編集長が好んでするような大ネタ自慢は、本書にはない。そのかわり、彼らなら書かない、こまごまとした準備段階の事情を明かしている。雑誌の編集に興味がなくとも、チームの運営に携わる立場の人だと、参考になることが多いはずだ。

企画書は匿名、発案者にプレゼンさせない

 たとえば、編集会議。大勢で意見を出し合うのはどこも同じだが、「R25」が他誌とすこし違っているのは、企画の発案者をすべて匿名にして議論する形式をとっていることだ。

 理由は、編集部がフリーランスの集まりという事情に関係している。フリーのライターや編集者は、企画が採用されてはじめて仕事になる。だから他人の企画が面白いと思っても、お金にしようとして、多少強引にでも自分の企画を通そうとする。水面下で、たがいの足の引っ張り合いが起きかねない。

 そこで著者が考えたのは、まず会議に出席すること自体にギャラを払い、最低保障をすること。そのうえで誰の企画かわからなくすれば、腹の探り合いの場とならずにすむ。企画者本人にはプレゼンさせずに、みんなでネタをふくらませたりする。基本は、読者の目線にたって企画の良し悪しを吟味するということだ。

 しかし、弊害もある。

〈ただ、この会議のスタイルだと、自分のネタが変更され、自分の書きたいものではなくなってしまうこともあるのです。一般的な編集会議とは、大きく異なるのはこの点です。したがって、参加してもらう方には、これを理解してもらう必要がありました。あくまで、M1層が読みたいと思えるネタを修練していく会議なのだ、ということです〉

 ふだん新聞なんかろくに読んではいないのに、「新聞は読んでますか?」と訊かれたら、その場ではきまじめに「日経」と即答する。そんなM1がターゲット。気にはなっても「それってどういうこと?」といまさら人には聞きづらい話題を、見下ろすような印象を与えたりしないで解説するのが「R25」の情報ページのコンセプトだともいう。著者自身、編集会議などの場で知ったかぶりをしないことと決めた。

 ちかごろ定番となった、野球やサッカーなどで活躍したスター選手がインタビューの際に、「チームの勝利がいちばん」と答えている、あれ。言わなきゃいけない儀式みたいに見えてしまうものだが、違和感なく口にできる環境とはどんなものか。まず生活保障が前提という、ものすごく初歩的なところを著者はおさえている。そこに目が向いたのは、著者が、社員は自分ひとり、まわりに助けを借りないとどうにもならないという窮状に置かれていたからだろう。

 もうひとつ、著者自身がこの雑誌の企画を思いついたわけではないというのも、重要なポイントになっている。

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