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答え:自分の子どもの前で泣きなさい~『死んだ金魚をトイレに流すな』
近藤 卓著(評:山川 徹)

集英社新書、700円(税別)

2009年3月6日(金)

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評者の読了時間4時間00分

死んだ金魚をトイレに流すな──「いのちの体験」の共有

死んだ金魚をトイレに流すな──「いのちの体験」の共有』 近藤 卓著、集英社新書、700円(税別)

 昨年夏、東京都八王子市の駅ビルで発生した通り魔事件を覚えているだろうか。「秋葉原のような大事件を起こして両親を困らせたかった」という当時33歳の男性が、女性二人を殺傷。連日、メディアに取り上げられた事件だ。

 本書を手に取った2月中ごろ。ニュース番組で、この事件の初公判が話題にのぼっていた。私は、事件からまだ半年しか経っていないという事実に驚いた。人があっさり殺されてしまう事件に慣れてしまっているせいか、死がものすごいスピードで風化していると感じた。

 30年に渡ってスクールカウンセラーを務めてきた著者は、子どものころから「自分には生きている価値がないと思い込んでいる人間」が、そんな事件を起こすと語る。彼らにとって、命は羽根のように軽いのだ。

 では、大人は、子どもが命の重みを実感して「生きている価値」を見いだす過程で、どのような役割を果たせばいいのだろうか。本書は、子どもの体験をもとにそれを探っていく一冊だ。

 著者は、子を持つ親や教育関係者を対象にした講演の場で「飼っていた金魚が死んだらどうするか」とよく質問をする。

 大多数は、土に埋めた後、簡単な墓標を作り、子どもとともに手を合わせると答える。なかには、著者が嫌悪感に襲われる回答もある。それが、トイレに流す、だ。

 かわいがっていた生き物が死んだとき、どう扱うか。冥福を祈るのか。まるでゴミでも捨てるようにトイレに流すのか。大人の行動が、子どもが命の重さを計るときの基準になっていく。

10~12歳で訪れる人生のターニングポイント

 とくに、生きている価値や命の重みを実感できるかどうかは、10歳から12歳のころの体験が分かれ道になるという。その年ごろになると、訳もなく「なぜ、人間は死ぬのか」という不安にさいなまれる。こんな命への畏怖感を著者は、「いのちの体験」と呼んでいる。

 問題は、その体験とどう向き合うかだ。

 小さな生き物を残酷に殺す我が子を見てとても心配になった、とある母親から相談を受けた著者は、子どもの世界ではよくある体験だとして、こう述べる。

〈いのちの仕組みってどうなっているんだろう。子どもたちは怖いもの見たさと、旺盛な好奇心から、いのちの探索に夢中になる。(中略)いのちの誕生と喪失は、いつの時代も限りなく子どもたちを引きつけ、とりこにする〉

 ただし〈いつもひとりぼっちで遊んでいて、目の前の虫をいきなり足で踏みつぶしてしまうような子どもの行動には注意が必要だ〉と指摘する。

 読み進めていくと、20年以上も昔の古い記憶がいくつも蘇ってきた。

 子どものころ、近所の沼で釣り上げた十数匹のザリガニをアスファルトの上に放置した経験がある。強い日差しが照りつける夏。逃げださぬように作った囲いのなかで徐々に弱っていくザリガニを飽きもせず眺めた。翌朝、ザリガニは悪臭を放ち死んでいた。その後、腐り、干からび、朽ちていくさまを数日間にわたり観察した。

 何のためにやったのか。

コメント5件コメント/レビュー

トイレに流すと回答したのは、海や川に還してあげようと思ったからなのではないでしょうか。何も下水を通じて戻すこともなかろうとは思いますが。(2009/03/15)

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いただいたコメント

トイレに流すと回答したのは、海や川に還してあげようと思ったからなのではないでしょうか。何も下水を通じて戻すこともなかろうとは思いますが。(2009/03/15)

気軽に死ねとか言う風潮は、もちろんダイレクトに気にかかる1件ですが、凶悪犯人に対して直ぐに口をそろえて死刑判決を望む最近の風潮もとても気になります。もちろん、被害者の方、遺族の方がそのような気持ちになるのは想像できますが、第三者が口をそろえて「犯罪者には極刑を!」と叫ぶのは、つまり、「お前は死ね」と口にしているのですよね。犯罪を犯したものに対してはかばう気持ちは全く有りませんが、シュプレヒコールのように死刑を叫ぶ姿は恐ろしいです。日本における刑罰で死刑制度があるのでそういった判決は考えられないことではないせよ、気軽に「あんなヤツ死刑だ」と口に出来る人間からは命の重さを感じることは出来ません。(2009/03/06)

トイレに流す。生ごみに捨てる。どちらもありえないことではないかもしれないですが、少なくとも子供に見せる姿ではないと思います。知恵と労力を惜しまなければ都会のマンション暮らしでも土に還す方法を模索したいと思いました。(2009/03/06)

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