今回お話を伺った奥田知志さんは、北九州を中心にホームレスの自立支援活動に長年携わっていらっしゃる。奥田さんは「ホームレス」と「ハウスレス」は違うと言う。ハウスレスというのは単に住むところがないことを意味するが、ホームレスとは単に物質的なものや機能的なものの欠落ではなく、人が生きていくうえでかけがえの無い関係性を失ってしまった状態のことだという。
奥田さんは、その支援活動において「ホーム」を取り戻すことを目指している。奥田さんはひとりの自立支援のために数人でチームを作って取り組んでいる。
脳科学的に言うと、ホームとは「安全基地」の問題でもある。「ホーム」がない人は、物質的には守られていて社会生活を送っていたとしても、チャレンジができない。そういう意味では、実質的にホームレスという人は、総数として人口のかなりの比率を占めているのではないか。
ホームレス支援というのは、社会のお互いが助けあうことだ。だから社内や家庭においても、それぞれが「チーム」を作って、お互いに助け合えば「ホーム」ができる。案外、それが社会全体の生産性向上ということにもつながるのではないか。
現在の日本人にチャレンジ精神が欠けているという背後には、互助の精神がないからかもしれない。自己責任という考え方は、チャレンジ精神を萎えさせる。
奥田さんは、ホームレス支援の現場から、現在の日本にはびこる「自己責任論」について問いかけを発している。支援活動に対してささやかれる「あの人たちにも自己責任がある」という言葉に対して、言う側の責任回避の言葉にすぎないという。これは「人の人との出会いを軽んじるものだ」と言う。
外国の海岸などに立っている「at your own risk(自らの責任において)」の看板などとは、意味が違うと思う。あれは自然に対しての話で、社会においては基本的に自己責任というものはない。
「自己責任論」の責任は思い。
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