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衝撃の告白――私は50人の部下のクビを切った

リストラする人、リストラされる人

2009年3月12日(木)

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 リストラされる人と、リストラされずに残る人、あなたならどちらを選ぶ?

 「なんという不謹慎な質問なんだ。おまえはリストラされた人の苦しみが分からないのか」というお叱りを受けそうではあるが、ここは一つ考えてみてください。

 誰だってリストラされたくない。リストラされれば収入がなくなり、明日からどうやって生活していくかを考えなくてはならない。転職先が決まる保証はどこにもなく、将来に対する不安感に苛まれ、多大なストレスを感じることになる。

 一方、リストラされずに残る人は、経済的基盤は取りあえず確保される。だからといって、何も影響を受けないかというとそんなこともない。一緒に働いた仲間がリストラされれば気分が滅入るし、人員削減で仕事量が増えれば過重労働を強いられることだってあるかもしれない。それに、「次は自分かも…」という不安だって抱くだろう。

 それでもあなたは、「リストラされずに残る人」を選ぶだろうか?

「おまえたちは俺が守る」と部長は言ったが…

 知人(Aさんとしよう)の勤める会社で、大規模なリストラが断行された。当時部長職だった彼は、部下たちの不安を少しでも和らげようと、「おまえたちのことは俺が守る」と男気を見せた。本人いわく「深く考えることもなく、ついつい言ってしまった」のだそうだ。

 それから数日後、Aさんは人事部から1枚の紙を渡される。そこには、部下10人の名前が記されていた。そう、リストラ名簿を渡されたのだ。しかも3カ月以内に、すべての“クビ切り”を行うよう指示されたのである。

 最初は、なんとかコネをたどって、部下たちの再就職先を見つけてから通達しようかとも考えた。しかし、世の中そんなに甘くはない。結局、彼は何もできないまま、時間だけが過ぎていった。そして、ついに人事から「来週中に依願退職届けを提出するように」と催促され、Aさんは期限ギリギリで部下に宣告した。

 「なんとかしてやりたい」けど、何もできない自分へのジレンマがストレスとなり、Aさんは酒やたばこの量が増え、家族にあたることが増えたそうだ。

 しかし、悲劇はこれだけでは終わらなかった。

 彼はその後もリストラ名簿をたて続けに5回も渡され、わずか半年間で50人以上のクビ切りを指示された。「俺だって、仕事でやってるんだ」。いつの間にかそう考えるようになり、「俺を責めるな」という思いが強まっていったそうだ。

 そして、「これで最後です」と人事から渡されたリストラ名簿。そこには信じられない名前が書かれていた。なんと名簿の最後に、自分の名前があったのだ。

 突然、自分のこれまでやってきたことに嫌気が差した彼は、自分と同じように最後のリストラ対象となった部下たちを即座に呼び出し、「俺もクビだ。こんな会社、さっさと辞めよう」と言ったそうだ。

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「衝撃の告白――私は50人の部下のクビを切った」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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