• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「程度による」とかそういうのはナシで~『天然ブスと人工美人 どちらを選びますか?』
山中 登志子著(評:朝山 実)

光文社新書、760円(税別)

2009年3月11日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

評者の読了時間7時間00分

天然ブスと人工美人 どちらを選びますか?

天然ブスと人工美人 どちらを選びますか?』 山中 登志子著、光文社新書、760円(税別)

 片目のまわりがこぶになった看護学校の先生を何カ月か取材したことがあった。子どものときに発病してからの半生を本に書いたりもしている人だ。挫けない彼のたくましさに惹かれて取材を申し込んだものの、初めて会った際は、どこに自分の目線をやっていいものか、差し出された手を握り返しながら、戸惑った記憶がある。

 いい意味でも、ひとは鈍感になるものだ。そう思ったのは、取材を終えるころだった。スタジオのライトに照らされ、カメラと向き合う彼を眺めつつ、はれあがった顔は見えているのに、目にとまらない。気がかりといえば、講演に出かけていくとき彼が必ず両手に下げている大きな紙バッグのほうで、中を見せてほしいと言い出す機会をさぐっていた。

 さて本書は、このタイトルだから、「顔」や「見た目」にこだわる男をダシにしてわらうか批判する本かなと思ったなら、半分は当たり。だけど、半分はハズレだ。

 著者は、ベストセラーとなった『買ってはいけない』を企画した編集者。硬派メディアを標榜する「週刊金曜日」に在籍していたこと、著書に『外見オンチ闘病記』があるとプロフィールに記されている。

 本書の前半部分は、井上章一の『美人論』、大塚ひかりの『ブス論』から、ビートたけしの『顔面麻痺』、姫野カオルコや菜摘ひかる、飯島愛、林真理子、中村うさぎ、小谷野敦といった面々の著作、美容整形を題材にした韓国映画「カンナさん大成功です!」(原作は鈴木由美子の漫画)や、これを真似たブスが美人に変貌する趣向の邦画やテレビドラマなどが手際よく紹介され、偏りのない「美人・ブス論」のガイド役を果たしている。

 読者として居心地の悪さを感じるのは、タイトルのような質問を自分が受けた場面を想像するときだ。著者は、同じ質問を周囲の男たちに浴びせては、「究極の選択だね」と苦り顔になる男たちを何人も見てきたと記している。

どの男も「天然ブス」とは答えない

 ワタシも、著者にがっかりされる口だと思う。しかし、著者はどうしてこんな質問を重ねるのか。

 往生する男たちの答え方よりも、曖昧に取りつくろう男たちに、追いうちをかける著者が気にかかる。この違和感が本書の柱だ。

〈いちばん多かったのは、どちらとも答えない人だが、いちばん興味深かったのは、天然ブスという返答が一つもなかったことだ〉

 外見よりも中身が大事、と返答した男たちのパートナーは、概して美人が多かったと書き添えている。まあ、よくあることだ。女性でこうした模範解答をするひとも少なくないから、一概に男性だからというのはあたらない気がするし、著者もこれだから男は信じられないというふうに決め付けたりはしていない。

 本書がルポ(?)として際立っているのは、テレビで知られる「美容整形」の病院を著者が訪れるくだりからだ。

 本書の構成について、著者の工夫がうかがえる。書くことへの逡巡とでもいうのか。昔からなぜ「顔」の美醜にこだわり続けてきたのか、最終章の「顔の履歴書」になってようやく、自分の病気について説明している。

 高校生のころから、著者の顔はだんだんが大きくなりはじめた。あわててダイエットに励んだこともあるという。顔の変形は病気なのだとわかったのは、二十歳を過ぎたころ。脳にできた腫瘍とホルモンの影響で、指や足先、下あごなど、身体の先端部分が肥大化する「アクロメガリー(先端巨大症)」にかかっていた。この病気を文中で、著者は「悪友」と呼んでいる。

コメント2件コメント/レビュー

非常にコメントの難しいコラムですが、少し前に派遣切りで職場を去った人も、顔にこぶ(?)があり更にアトピーでした。若い女性だった事もあり最初は正面から顔を見たら本人が気にするかな、でも視線をそらしても気にするだろうしと私も戸惑いました。明るく前向きな人で、毎日顔を合わせているうちに全く気にならなくなりました。顔の造作よりも表情や雰囲気の方が大切です。美人(整形美人)でも感じの悪い人よりは、不美人さんでも表情の美しい人の方が好感が持てます。(2009/03/11)

「NBO新書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

非常にコメントの難しいコラムですが、少し前に派遣切りで職場を去った人も、顔にこぶ(?)があり更にアトピーでした。若い女性だった事もあり最初は正面から顔を見たら本人が気にするかな、でも視線をそらしても気にするだろうしと私も戸惑いました。明るく前向きな人で、毎日顔を合わせているうちに全く気にならなくなりました。顔の造作よりも表情や雰囲気の方が大切です。美人(整形美人)でも感じの悪い人よりは、不美人さんでも表情の美しい人の方が好感が持てます。(2009/03/11)

この本はまだ読んでおらず、著者の事もこの記事で知ったのですが、同じく文章内に紹介してあった、顔にこぶのある先生の事は以前TVで紹介されていて知っていました。人は見た目で相手を判断する等の惹句の本がベストセラーになる世の中で、病気などのせいで外見が違ってくるというのは、それぞれ他人には推し量れない辛さがあると思います。私は中学時代に急に太り始め、それだけが原因ではないにしろ「学年で2番目のブス」と同級生(男子)に言われたりで外見コンプレックスに苛まれた事がありました。その経験も踏まえ、今ある自分のあるがままを受け入れて生きていくという事の大変さ、そして毅さを思います。知人なのですが、外見に対するコンプレックスから、ある処置を受けた人間がいました。社会的に受け入れられやすくなった(そのせいで実際に差別を受け易いという実験結果が出たと書いてある本も読みました)という自信もあるのでしょう。ボディビルで体を鍛え、名前も苗字ごと変えた上で人種の詐称までしていましたが、女性から声を掛けられる事が多いと自慢をしておりました。何人もの人を騙し続け、手に入れた今の立場と地位を守る為にその嘘を隠そうと暴力を振るって、他人に怪我(骨折)をさせたその知人は、外見の満足は手に入れたのでしょうが、心の平安は失っているのでしょう。本当に良い友人達が何人もいるにも関わらず誰も信じられないと言っていました。そういう事も含め、あるがままの自分で生きていく辛さと毅さを著したこの本を読んでみようと思いました。(2009/03/11)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長