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「どこでもジャージ」「携帯のぞき」「つもり満点妻」「エロゾンビ」……字面だけで、いやーな空気が漂う妖怪めいたネーミング。これらは、本書の著者が憂う「モンスターワイフ」の姿だ。
モンスターワイフとは、結婚後、肉体的、精神的に夫に脅威を与えるような理不尽な要求を突きつける、自己中心的な妻のことだそうだ。
モンスターペアレントが学校や教師に自分都合、我が子都合の言い分ばかりを主張するのと同様、モンスターワイフも、夫の立場や気持ちを顧みるような気遣いはまずしない。
本書は、冒頭に挙げたものを含め、30種類ものモンスターに分類し、それぞれの実例や特徴などを多数紹介している。
読んでいるだけで、怖い。夫の携帯を盗み見て、そこに女性の名前があると勝手に返信する妻。始終眉間にしわを寄せてブツブツ文句を言い、なのに夫は理解してくれない、気持ちが伝わらないと、さらに不機嫌度をヒートアップさせる妻。夫が頼りないからと言い、夫に相談することもなく、何でも自分ひとりで決めてしまう妻。評者は妻たちと同性だが、本当にこんな妻であれば、「モンスター」呼ばわりされてもしかたない気がしてしまう。
このさまざまなモンスターワイフの名付け親である本書の著者は、「恋人・夫婦仲相談所」というサイトを運営する夫婦問題の専門家だ。夫婦の寝室事情にも詳しく、それに関する著作や携帯コンテンツ、DVDも手がけている。
著者は、日本全国の妻たちから寄せられた悩みに答えるうち、ある傾向に気づく。それは、彼女たちが訴えてくる夫婦間の問題には、「夫の浮気(キャバクラや風俗も含む)」「セックスレス」「ED」が目立って多いことだ。
もちろん、それをよしとはしていない妻たちは、夫婦関係を改善しようとがんばるわけだが、芳しい結果は得られていない様子。妻たちは口を揃えて、「一所懸命努力しているつもりなのに、全然うまくいきません」と、所長である著者に泣きついてくると書かれている。
「妻」の座に胡座をかくな、自惚れるな
自分もかつてはモンスターワイフで、女性たちの悩みの深さがわかるからこそ、ふだんは女性の味方を自負していると語る著者が、妻が幸せになれない原因は妻自身にあることに気づいて欲しいと、本書では冒頭から厳しい言葉を投げつける。
〈夫に抱いてもらえないのは、夫が抱きたくなる妻ではないからです〉
〈夫婦の危機を招いたのは、妻の「力不足」が原因なのです〉
では、著者が言う「力不足」とは何を指すのか。端的に言えば、妻の座に胡座をかく慢心と、自分では精一杯努力しているつもりという自惚れにも近い自信である。
恋愛でフラれる場合なら、女性は「ちょっと束縛し過ぎたかも、ちょっと無神経だったかも」と素直に反省し、失敗から学ぼうとするだろう。ところが結婚後はそうした殊勝さをなくしてしまう女性も多い、と著者は指摘している。
〈幸せを感じられない責任を夫一人に押しつける悲劇のヒロインは卒業してください、でなければ、自らのモンスター的要素に気づくこともできません。自分のモンスター的要素に気づけば、考えることができます。自分が今何をすべきかが見えてきます。それが夫婦仲改善の突破口になるのです〉
本書には、夫を立ててあげなさい、些細なことでいいので夫を褒めるようにしなさい、夫を癒してあげたいという気持ちで接しなさいなど、モンスター妻たちが忘れていそうな関係改善のためのアドバイスが並んでいる。
もともと現代の結婚には、大なり小なり妻側に「私が選んだ夫」という意識があると著者は言う。そのため、もし夫婦関係がうまくいかなくなると、自分が不良品をつかんだような気になってしまい、クレーマーと化す。
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