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日本人はなぜこの言葉に「じ~ん」と来るのか~『日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか』
竹内 整一著(評:澁川 祐子)

ちくま新書、720円(税別)

  • 澁川 祐子

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2009年3月13日(金)

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評者の読了時間4時間00分

日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか

日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか』 竹内 整一著、ちくま新書、720円(税別)

 そういえば最近、「さようなら」と言ってないなあ。

 本屋でこのタイトルを目にしたとき、まずそう思った。友人と別れるときは「またね」か「じゃあ」で済む。仕事関係の人ならば「失礼します」や「お疲れさまです」。束の間の別れに「さようなら」は、ちょっと重すぎる。

 「さようなら」という挨拶に決定的な別れをイメージしてしまうのは、私だけではないだろう。

 じゃあ「さようなら」を口にする場面って? 辛うじて想像できるのは、男女の別れ際くらいなものだが、いまや心の中で「さようなら」と呟きこそすれ、実際に口に出して関係を解消するカップルは少ない気がする。

 交通手段も発達してどこへでもさほど時間がかからずに行けるし、遠く離れていても携帯やメールでいつでも連絡が取れる。ブログやSNSを頼りに、過去の友人知人の動向を知ることだってなきにしもあらず。そんな時代に生きる人間にとって、もはや決定的な別れを意識する瞬間など滅多にないのかもしれない。

 本書の冒頭には、作詞家・阿久悠のエッセイ「ぼくのさよなら史」が引用されている。阿久は〈人間はたぶん、さよなら史がどれくらいぶ厚いかによって、いい人生かどうかが決まる〉と綴り、「さよなら」が死語になった現代をこう憂う。

〈生活の中で、もう少し大仰にいって人生の中で、別れということに無自覚なら、感性をヒリヒリ磨くことも、感傷をジワッとひろげることも、それに耐えることも出来ない。(中略)なぜ、さようならを言わなくなったのであろうか。なぜ別れたことに気がつかないような不思議なことになったのであろうか〉

 この疑問はひっくり返せば、「これまでなぜ日本人はさようならと言ってきたのか」ということだ。「さようなら」という言葉の裏側には、どういう日本人のメンタリティが反映されているのか。それを解き明かそうとしたのが本書である。著者は、これまでにも「はかなさ」や「かなしみ」「やさしさ」といったキーワードから、日本人の精神史を辿ろうと試みてきた倫理学者だ。

「さようであるならば」って、何が?

 本書はまず「さようなら」が世界の別れの挨拶と比較して、特異な言葉であることを指摘する。別れの挨拶を大別すると、

  1. 神のような存在のご加護を願う言葉:“Good-bye”、“Adieu”、“Adios”、“Addio”など
  2. 「再び会いましょう」という意味の言葉:“See you Again”、“Au revoir”、“再見”、“Auf Wiedersehen”など
  3. 「お元気で」という意味の言葉:“Farewell”、“安寧ヒ、ゲセヨ(ケセヨ)”など

 の3タイプがある。だが「さようなら」や「さらば」は、

〈本来「然(さ)あらば」「さようであるならば」ということで、「前に述べられた事柄を受けて、次に新しい行動・判断を起こそうとするときに使う」とされた、もともと接続の言葉〉

 であり、先の3タイプのどれにも当てはまらない。いまでもよく使われる「では」や「じゃあ」も基本的には同じ言葉遣いで、もとを辿れば10世紀頃からこうした別れの言葉は使われてきたという。

 では、人が「さようなら」と口にするとき、「前に述べられた事柄」すなわち「前に起きた出来事」をどう受けとめてきたのか。

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