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電チャリ(@大阪)と「生キャラメル」に通底するもの

「パチモン」(正規商品の販売価格と適正価格とのさや取りを目論む脱法商品)

2009年3月16日(月)

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 奇妙なニュースが流れてきた。

偽「花畑牧場の生キャラメル」販売容疑 店担当者逮捕

 ふむ。
 なにゆえに牧場が花畑で、どうしてそんなところでキャラメルが出来るんだ?
 しかも生? で、偽と? どういうことだ。

 わかりにくいニュースだ。見出しを読んだだけでは何が起こっているのやらさっぱりわからない。

 記事を読んでみると、どうやら「花畑牧場の生キャラメル」という人気商品について、偽物のコピー商品が出回っていたのだそうで、この度、販売していたスーパーの仕入れ担当者が逮捕されたということのようだ。

 逮捕容疑は不正競争防止法。
 どこに不正があって、何の競争が妨げられたのであろうか。

 細かい情報については、こちらのリンクを読んでみてほしい。

 なるほど。
 フェイクは、フォニー(phony)への批評として生じる。
 そういうメッセージを私は読み取りました。
 イッツ・ア・フォニー。

 コピー、フェイク、あるいはパチモンと呼ばれる商品は、もちろん適法なものではない。脱法的、ないしは違法な存在だ。出自からして、怪しからぬ悪質なブツだ。

 が、彼らにも、彼らなりの存在理由というのか、もっと言えば「正義」みたいなものがあるはずなのだ。フェイクにも三分の理。フェイクだって理由なしに生まれてくるわけではない、と、そのように私は考えている。

 どういうことなのかというと、このテのフェイク商品は、市場なり商品なり法規制に、何らかの「穴」があるからこそ生まれてくる、一種の正常化局面だということだ。真っ当な商品が適正価格で売られている市場には、パチモンは流通しない。

 逆に言えば、フェイク商品が生まれたということは、その商品を生んだ市場、あるいはその市場を管理する法律になんらかの瑕疵があるということの証明なのだ。

 単純な話、生キャラメルが、贋造不能なほどに独特で、ニセモノを売っても利益が出ない良心的な価格で売られているのなら、コピーは出てこないはずなのだ。第一に作るのが難しいし、第二に売っても儲からないから。とすれば、どこの悪党も手を出さない。

 なのに、次々とパチモンが現れるということは、それだけこの商品の周辺に、おいしいギャップが隠れているということだ。

 思うに、件の生キャラメルは、有名タレントがテレビ電波を通じて宣伝していることで売れている一種のキャラクター商品だ。

 実際、田中某のテレビ出演は、この1~2年、ほとんどまったく自社製品の宣伝がらみのものに限られている。これって癒着じゃないのか? でなくても、電波の私的流用ぐらいには相当すると思うのだが。

 テレビ局がまたテレビ局で、タレントを体験入社させて延々と生キャラメル製造リポートを放送したり、スタジオで出演者全員に「おいしーい」と言わせたり、バラエティーなのかテレビショッピングなのか区別のつかない演出で、ひたすらに例の生キャラメルを持ち上げている。

 フェイク業者が目を付けるのも当然だと思います。
 アリの巣と砂糖が目の前にあって、あとはバラ撒けば良いだけなんだから。

 結局、商品力よりも高い価格で売られているブツには、パチモンが発生するのだ。

 ブランド物のバッグにはコピー商品が山ほど発生する。
 なぜか?
 ブツがいいかげんで消費者が愚かでメーカーがアコギで市場がデタラメだからだ。

 製造原価5万円で作れるバッグに40万円の値札を付けて、それでもなお買うカッペな消費者がいるからこそ、そこにつけこむコピー業者が出てくる。そういうことだ。

 贋造業者にしてみれば、本物とほぼ区別のつかない商品を5万円で作るのは造作もないことだ。で、それに10万円の値札をつけて売りさばいたとしても、十分に利益は出る。とすれば、作るに決まっているではないか。

 これが、利益と原価の比率がマトモな商品だったらそうはいかない。アップルのiPodや、任天堂のWiiや、トヨタのプリウスのようなブツは、贋造業者の手に負える製作物ではない。万一似たような製品を作ったところで、本物より安く売ることなんか絶対にできない。良心的な商品は、優れた技術のみならず、競争不能なギリギリの低価格で売られているからだ。

 フェイク商品には、別の背景から発生するものもある。
 
 たとえば、タバコや酒みたいな、高率な税金がかけられている商品には、流通の網をくぐるタイプのフェイク商品が発生する。普通に作って、裏で売れば、税金を逃れる分だけで十分な利ざやが稼げるからだ。
 
 この場合、商品にではなくて、市場に「穴」があるということになる。

 で、電チャリだ。これも、ある意味立派なパチモンである。

 いや、「電チャリ」と、仮にそう呼んでいるが、実のところ、今回の物件については、いまだに公式な名称が定着していないのである。

 というのも、テキは法的にも社会的にも業界的にも販路的にも非常に曖昧な存在で、しかも、一般の認知度もまだまだ低調だからだ。
 
 警察は、「ペダル付き原動機付自転車」という呼び名で分類している。その意味では、この呼び方がオフィシャルな場での正式名称ということになる。が、これは、商品の名前としてあまりにもスジが悪い。

1. 「ペダル付き」と「原動機付」で「付き」が重複している。話し言葉としてあり得ない。
2. 「付き」(つき)の送りがなが統一されていない。文法的に容認しがたい。
3. 意味合いとしては「ペダル付きの」「原動機付自転車」ということなのであろうが、耳で聞いた感じでは「ペダルの付いた原動機」が付いた自転車というイメージが広がる。
 なんだそりゃ。

 世間はどう呼んでいるのだろうか。
 メディアでは、いまのところ「フル電動自転車」という言い方が一般的だ。
 
 2月頃から、夕方の時間帯のニュースワイド(←ニュースっぽいワイドショー。あるいはワイドなニュースショー)で、ぽつぽつ紹介されはじめている。見たことのある人もいるだろう。私も見た。どこの局の放送だったのかは忘れたが、なかなか印象的な記者レポートだった。以下、ざっと紹介する。

コメント16

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「電チャリ(@大阪)と「生キャラメル」に通底するもの」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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