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『トイレのポツポツ』から始まる大騒動
~誠実な仕事って何だろう?

2009年3月18日(水)

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トイレノポツポツ

トイレノポツポツ』 原宏一著、集英社、1200円(税抜き)

 なんであんなに、一日の休みのことに腹を立てていたのか。30年前、就職難の時代にワタシが勤めたのは、良書販売を掲げた老舗書店だった。

 仕事じたいには何の不満もなかったのだが、ささいなことで首をかしげたくなることの多い会社だった。不満のひとつが「社員旅行」の扱いで、欠席を口にしたら、全員参加の会社の行事で、不参加は「欠勤」になると厳しくいわれた。

 店は年中無休で、一泊バス旅行の出発も深夜。会社の行事であるにもかかわらず、その日は、月5日の休みの「1日」が充当される。社員にしてみたら、一日休みがなくなるという計算だ。オーナーにしてみたら、お金を払って連れていってやっているという気持ちがあっただろうし、アルバイトも引き連れての慰安旅行には温情の一面もうかがえた。

 フリーランスとなって、休みのない毎日を送ってみると、「家業から企業に変わろうとしていた時だったんだなぁ、あれも」と思ったりする。同時に、わずか一日の扱いにイライラしていたのも、休みがとりにくい職場環境への不満以上に、お金がからむときびしい表情となる、オーナーの豹変振りにうんざりしていたのだとわかってくる。

一通のメールが波紋を呼んで……

 さて、本書は、会社小説。男子トイレに入ると「一歩前へ!」という貼り紙をよく見かけるが、タイトルの「ポツポツ」は、便器の足下にできる、びちょびちょ、オシッコのこと。

 一歩の気遣いさえあれば汚さずにすむのに、「ちょっと」が足らず、ひとを不快にさせる。「ね、わかるでしょう」という社内のこまごましたことから、会社全体を把握しようとするお話だ。

 舞台は、とある中堅食品会社。ワンマン社長の家族経営から企業へと変わりつつある途上にある。派遣の女子社員、元暴走族の配送所の課長や、デザイナーから生麺開発に抜擢された社員たちから、リベートを渡す側の取引業者まで、それぞれの立場から「会社って社員にとってなんなのか」「働くってさぁ……」と考えずにはいられない連作仕立てだ。

 物語の幕開けは、“うちは食品会社、ポツポツはけしからん”と怒った営業部長の田布施が、男子全員にこんなメールを打てと、派遣の女子社員に指示したことからだ。

「男はしっかり性器を握って一歩前へ!」

 これって、セクハラでしょう。色めきたったのは、工場長から営業部長に抜擢された田布施をうとましく思っていた、部下たち。いろいろあった末に、部長は左遷となるのだが、この騒動には裏があり、部長は不器用なだけ。ひとりでトイレをもくもくと掃除したりするひとだったとわかってくる。

 田布施部長の追い落としに沸き返る部内の次長一派には、相応の理由があった。長年の出入り業者との癒着を田布施が正そうとしていたからだ。こうした社内のゴタゴタに巻き込まれ、自分は体よくいっぽうに利用されたのだということが、派遣の女子にも読めてくる。善いほうと悪いやつがひっくり返る瞬間が、この小説のキモだ。

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