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「汗と涙の結晶」に、この名を付ける度胸こそ

分かりやすさと裏切れない怖さ--「おいしい大阪チーズケーキ」

  • 三田村 蕗子

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2009年3月23日(月)

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 デパ地下は、容姿端麗で自意識過剰なお菓子のたまり場だ。キレイで華やか、洗練されたオシャレな商品が「見て見て」と過激にアピールする様はちょっと胸焼けがする。

 それとはまったく異なる価値観で形成されているのが、空港や駅の土産菓子売り場である。菓子の容姿はやはり重要な要素だが、容姿は容姿でもデパ地下とは求められる内容が異なる。

 それを痛感させてくれるのが、関西国際空港(以下関空)限定の「おいしい大阪チーズケーキ」だ。

べたなネーミング、素朴なパッケージの「おいしい大阪チーズケーキ」。関西国際空港限定の超人気商品だ。

 こんな名前のお菓子をはじめて見かけたら、果たしてあなたは買うだろうか。
 私なら買いません。

 名前もストレートなら、パッケージもひねりなし。いくらデパ地下とは違うとはいえ、空港にもロゴやデザインに工夫を凝らしたオシャレ系商品が増えてきた。その中でこのセンス。明らかに浮いている。

 大阪発のチーズケーキであることはよくわかる。だが、この外見は購買意欲をそそらない、でしょう。もらったらとりあえず食べるかもしれないが、人様にあげるお土産には買っていこうとは思わない。だって、センスを疑われそうだから。

関空の「おいしい大阪チーズケーキ」売り場
関空の「おいしい大阪チーズケーキ」売り場。

 しかし、関空限定で販売されているこの「おいしい大阪チーズケーキ」。非常に売れているのである。関空での売上は常にトップクラスに位置し、何個も複数買いする客、出張時には欠かさず指名買いする客が引きも切らない。メーカーの青木松風庵には、海外から英語のメールが頻繁に届くほどだ。「今度、関空に○○便で到着します。「おいしい大阪チーズケーキ」を買いたいが、どこで売っていますか」と。

 おそらく、一度お土産にもらった人が「せっかく大阪に行くんだったらあれを買わなきゃ」と事前にメールをよこすのだろう。

もともとは可愛い名前だったのに

 なぜそんなに人気なのか。これは食べてみればすぐにわかる。美味しいまずいはかなり主観的なものなので、本欄ではその領域にできるだけ触れないようにしたいと思っているが、それでも、まあ、美味しいと感じる度合いは個人差があるとしても、少なくともこれだけは言えるのではないか。

 ふんわりと柔らかな食感で、口溶けが良く後味も良い。
 こんなチーズケーキ、食べたことがない。
 素朴すぎる見かけから想像できないほど、極めて個性的かつ魅力的なお菓子なのである。

「アンジュミニョン」のパッケージ
「おいしい大阪チーズケーキ」は、青木松風庵の直営店では「アンジュミニョン」として販売されている。こちらのパッケージはなかなか可愛い。

 「おいしい大阪チーズケーキ」は、最初からこんな名前だったわけではない。元々の名称は「アンジュミニョン」。フランス語で「可愛い天使」を意味する名称と、優しげで可愛らしい装いで2003年にデビューした。青木松風庵が新店(尾崎店)を開くために開発した商品であり、直営店ではいまもこの名前でショーケースを飾っている。関空版だけが、この商品名とパッケージだ。

--元は可愛いのに、どうしてわざわざこんな商品名とデザインに変更したんですか。

 失礼を承知で青木松風庵の青木啓一社長に尋ねると、次のような返事が返ってきた。

「空港や駅で売る土産菓子は、本来は地産地消型というか、地元の特産物や特産品を使うものなんですよ。でも、チーズケーキはそうじゃない。どこにもであるもんでしょう。大阪名物やないしね。だったら、大阪の美味しいチーズケーキだとはっきり伝えるために商品名でうたおうと考えた。垢抜けないかもしれないけれど、まあ、こっちは大阪人だから(笑)」

 確かに、大阪とチーズケーキとの間には何の関係もない。青森のリンゴパイや山形のラ・フランスゼリーとはわけが違う。

 だからって、この名前はどうよ・・・と思うのは出張スイーツ商売の真髄を知らない素人の考えであった。

コメント2件コメント/レビュー

飛行機での旅行ってビジネスでもレジャーでもハレのトキ。周囲に何処へ行ったか、そして飛行機で行ったことを一目でアピールできるからこそ空港限定のお土産の価値がある。新幹線の駅でも売っているのとは訳が違うでしょ。(2009/03/23)

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いただいたコメント

飛行機での旅行ってビジネスでもレジャーでもハレのトキ。周囲に何処へ行ったか、そして飛行機で行ったことを一目でアピールできるからこそ空港限定のお土産の価値がある。新幹線の駅でも売っているのとは訳が違うでしょ。(2009/03/23)

>頭を使わずに選びやすくて買いやすい。 ←コレですよ、コレ。 どこの土産か説明不要、一目瞭然、一刀両断、何より分かりやすい出張報告であるとともに、次に行った人へのリクエストも外しようのない明瞭さ。 どんだけベタでストレートなネーミングでも、名前に負けない中身で勝負できるならば堂々としていて構わない、というか堂々としていてくれるからこそ、こちらも堂々と買って帰れます。 頭使ってませんけど。(2009/03/23)

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