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愛読誌からよみがえれ、わが黒歴史よ!~『創刊の社会史』
難波 功士著(評者:成松 哲)【奨】

ちくま新書、760円(税別)

2009年3月24日(火)

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評者の読了時間3時間30分

創刊の社会史

創刊の社会史』 難波 功士著、ちくま新書、760円(税別)

 『月刊プレイボーイ』(集英社)に『読売ウィークリー』(読売新聞)、『週刊ヤングサンデー』(小学館)に『主婦の友』(主婦の友社)。

 最近、有名誌の休刊が相次ぎ「終わった」「死んだ」と評されがちな雑誌の世界。しかし「ちょい不良(ワル)オヤジ」「エビちゃんOL」「アラサー」「age嬢」と、いまだ、トレンドの発信、普及に一役買っているのは紛れもない事実。ミーハー女子の蔑称「スイーツ(笑)」がネットで生まれたのも、女性誌が熱心に「スイーツ特集」を組むからこそだろう。

 元広告マンにして大学教授、そして「創刊号フェチ」の著者が本書で取り上げるのは、これらファッション誌の歴史だ。1970年の『an・an』(平凡出版※現・マガジンハウス)から現在までの約40年間に創刊されたファッション誌を、それこそスイーツ(笑)向けの王道誌からギャル誌、サブカル誌、ゴスロリ誌、果ては女子小学生誌まで、ジャンルごとに時系列で並べ、それらがいかにして生まれ、どんな層に読まれたかを分析する。

 それだけに、本書は読者を選ぶ。オヤジ系週刊誌の愛読者が書名に惹かれて「オレも雑誌好きだし」と手に取ると、おそらく置いてきぼりを食らう。

 『an・an』の前身『平凡パンチ女性版』を紹介する一文を見てみよう。

〈ファッション頁には金子功デザインの服も多く掲載されているが、意外なことにこの時点ではモッズガール風のものが多い〉

 金子は、1982年、ロリータファッションブランドの元祖・PINK HOUSEを設立した人物。フリフリドレスの教祖様が、60年代には、ロンドンの労働者階級発祥のモッズを目指していた意外性を伝える一文なのだが、本書中に金子のキャリアの説明はほとんどナシ。彼が何者なのか知っていないと、一緒に驚けない。ほかにも「長沢節」「プレッピー」「ブリンブリン系」など、門外漢には馴染みのない単語も当たり前のように飛び出す(詳細は各自調査!)。

2匹目のドジョウと対抗馬が続々と

 しかし、専門用語の意味など、それこそ検索すれば簡単に調べがつく。ファッション誌にまるで興味がないならいざ知らず、一度でも特定のファッション誌を買ったことのある人、つまり、競合誌と比較検討し、好みの雑誌を選び取ったことのある人にとっては、これほど面白い一冊もない。

 実は、ファッション誌の生態系は至ってシンプル。1970年「自分が読みたい雑誌がほしいから」という編集者の単なる思いつきから、国内初のオールグラビア・ワイド版雑誌『an・an』が創刊。当初は苦戦するものの、占いや、ファッションカタログ、全国の知られざる名所旧跡を巡る旅行特集がウケ、一躍ヒットする。

 すると、翌年、同誌をバリバリ意識しながらも、マンガを盛り込むことで〈『an・an』の先鋭さについていけない人々のみならず、それまで集英社がつかんできた客層をそのまま取り込〉んだ『non・no』(集英社)が登場。そして、両誌の読者を指す「アンノン族」が流行語となり、多くの人が気軽にファッションを楽しむ時代が訪れると、1975年には、海外志向・個性派志向の強いアンノンの向こうを張って「慶応ボーイや医大生」にモテるコンサバティブなファッションを提案する『JJ』(光文社)が誕生する。

 男性誌に目を転じてみても、その後、巻き起こるアメリカ西海岸ブームを予見し、そのライフスタイルを紹介した『POPEYE』(平凡出版※現・マガジンハウス)が1976年に登場すると、1979年には国内で買える西海岸ファッションをカタログ化した『Hot-Dog Press』(講談社)が創刊される。

 70年代以降も同様に、後発組は、その時々のトレンドや広告主に目配せしつつ、売れた既存誌のフォロワーないしは対抗馬を刊行。さらに、市場が成熟すると、その隙間を縫って『WonderLand』(のちの『宝島』※73年に晶文社より創刊、翌年宝島社に版権委譲)、『BUBKA』(コアマガジン)といったアウトサイダーも生まれた。

 他方、先行組は『CanCam』における『AneCan』(いずれも小学館)のように、同じテイストの年長者向け(時には年少者向け)雑誌を刊行し、加齢により、いずれ客でなくなる自誌の読者を囲い込む。また『LEON』における『NIKITA』(いずれも主婦と生活社)など、既刊誌のパートナー誌を創刊することで、新規読者獲得を目指している。

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