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へぇ、あの企業はこのグループだったのか~『日本の15大財閥』
菊地 浩之著(評者:荻野 進介)

平凡社新書、760円(税別)

  • 荻野 進介

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2009年3月30日(月)

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評者の読了時間2時間40分

日本の15大財閥──現代企業のルーツをひもとく

日本の15大財閥──現代企業のルーツをひもとく』 菊地 浩之著、平凡社新書、760円(税別)

 突然ですが、問題です。

・三菱グループの社員が飲むビールの銘柄は?
・帝国ホテルとホテルオークラの関係は?
・富士電機、富士通の「富士」の文字のいわれは?

 いずれも、日本企業、特に財閥の歴史と密接に関連する質問だが、全問すらすら答えられる人はどれくらいいるだろうか。

 本書は、明治維新後から戦前にかけて成立した財閥の沿革を現在まで紐解き、企業と企業の意外なつながりや、創始者や中興の祖の隠れたエピソードを紹介する。事実の羅列が中心で、目を見張るような主張や発見が述べられるわけではないが、財閥企業で働く人はもちろん、就職希望の学生、取引のある営業マンは手にとってみてはどうだろう。

 そもそも、「財閥」とはジャーナリズムが使い始めた言葉であり、手許の広辞苑にも「俗に、金持ちの意」とあるくらいだ。明治を過ぎたあたりから次第に、同一家族が経営母体となった巨大企業の連合体を指すようになり、現在は〈富豪の家族・同族の封鎖的な所有・支配下に成り立つ多角的事業体〉と学術的な定義もなされている。

 財閥というと、戦後のGHQによる「解体」政策のほうが有名かもしれない。対象になったのは、10大財閥(三井・三菱・住友・安田・浅野・古河・大倉・野村・日産・中島)に、渋沢・神戸川崎・日窒・日曹・理研を加えた15財閥だが、本書では、重化学分野に偏っていた中島・日窒・日曹・理研を外し、金融中心の鴻池・山口・東京川崎と、戦前に破綻していたものの幅広い産業分野で活動した旧鈴木財閥を加えた「15大財閥」が取り上げられている。

 なかでもお馴染みは三菱・住友・三井の御三家。いわゆる「総合財閥」である。本書は各財閥の説明に1章ずつをあてているが、やはり三者それぞれに割くページ数と内容の密度は他を圧している。

 財閥には江戸時代の富商から続くものと、身分の低い人間が一代で築いたものの2種類がある。住友、三井は前者であり、三菱は後者であった。

人の三井、組織の三菱

 土佐出身の岩崎弥太郎が1873年に創始した三菱は、政府の庇護を受けた海運業を基点として、多角化を推進した。船舶修理が造船業に、燃料が石炭だったことから鉱山経営に、海上保険から保険業に、といった具合である。

 銅の精錬と貿易に携わっていた住友家は、20世紀初頭、鈴木馬左也(まさや)が経営組織の近代化をはかり、鉱山、銀行、金属を事業の三本柱と定めた。「浮利は追わず」との家訓から、商社事業(住友商事)は戦後までタブー視されていたという。

 越後屋呉服店で知られる三井家は維新後、本業が振るわず、銀行業と貿易業に進出し、一族が直接出資して三井銀行と三井物産を設立。財閥本社である三井合名ができたのはその後だった。一族の出資によってまず財閥本社がつくられ、そこから直系会社が分離した三菱、住友とは逆のやり方であり、今に至る「財閥としての一体感」を欠く遠因ともなっている。

 一体感の欠如には、いい面もある。「人の三井」といわれるように、三井では外から来た優秀な人材が活躍する例が多かった。三井銀行改革に腕を振るった中上川彦次郎しかり、後に血盟団事件で暗殺されてしまうが、三池炭礦買収で三井に入りトップを務めた団琢磨しかりである。

 逆に一体感が最も強かったのは三菱だろう。三井とは対照的に「組織の三菱」と呼ばれた。1934年まで、新卒採用を財閥本社で一括して行い、各社に振り分けていたし、戦後は、1960年代に三菱商事の当時の社長が音頭を取って「BUY三菱運動=三菱製品を買いましょう」を推進。これが三菱グループの社員がキリン以外のビールを飲まなくなったきっかけとされる。

 住友も結束という面では負けてはいない。

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