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24. 「文学」と「日経ビジネスオンライン」の組み合わせは、「まぜるな危険」?

  • 千野 帽子

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2009年4月1日(水)

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 日直のチノボーシカです。みなさん、新年度を迎えてご多忙のところ、このページに目を留めてくださって、ありがとうございます。

 新年度というと4月病。

 ご存じのとおり4月病とは、新年度を迎えてハイになった人が、妙なやる気を出して新しいことに手を出してみる現象のことを言う。

 この時期、人は資格を取ろうと志したり、スポーツクラブや音楽教室やカルチャーセンターに登録して新しい習いごとや趣味を開発しようとしてみたりする。新しい調理器具を買ったりもする。大学生は大学生で、単位の取りにくい授業を取ってみたりする。NHKの語学番組の月刊教科書も、この月の売りあげは破格である。

 もちろん、多くの人がゴールデンウィークにはこのハイな気持ちを失ってしまうだろう。ジムの幽霊会員となり、授業はカラ履修となり、資格取得用の参考書は背表紙だけが焼けていき、買った楽器は押入れにしまわれ、6月号以降の月刊教科書は買わずじまいとなるに違いない。

 「だから4月病なんてむなしいものだよ」と思われるだろうか?

 私はそんなことないと思いますよ。

 4月病患者のなかでも少数の人だけは、始めたことを続けるのである。

 5月を過ぎたとき、その人たちの胸中には、4月の燃え上がるような情熱はもはやないであろう。惰性かもしれない。払っちゃった受講料や年間使用料が勿体ないという気持ちかもしれない。それでも続ける。

 それは燃え盛る4月の情熱ではなく、燠〔おき〕である。

 薪を燃やした人はご存じだろう。ぼーぼー燃えているときよりも、火がおさまって炭火のように赤くなっているときのほうが、温度もずっと高いし、長時間安定しているものだ。

 人は薪ではないから、ゴールデンウィークを越えて燠になれる率がかなり低い。大半の人は、真っ白く燃えつきるわけでもなく、消し炭になるわけでもなく、内側が湿っているせいで表面だけを焼いて止まる。

 しかし、たまに内部までよく乾いてる人がいて、黄金週間を越えて雨季を通りすぎ、夏休みに入っても、安定して燠でありつづける。いい焼き物が焼けそうな。そうなればきっかけが4月病であるかどうかなんて、もう関係ないのだ。

 燠を作るにはまず、効率悪くても薪を燃やさなければならない。

*   *   *

 それで私は、4月病の勢いで文学を読み始める人がいてもいいと、けっこう本気で思っている。

 そもそも、「文学」を「日経ビジネスオンライン」で連載するなんて、題材と媒体との取り合わせが水と油もいいところだ。半年間、編集部からよくリストラされずにきたものだと、書いている私がだれより驚いている。

 どうして「水と油」と思ったのかを説明すると長くなるからやめるが、この「水と油」と考えたこと自体が、私の勘違いだったのかもしれない。

 とにかくいまは、文学の話題がまんざら捨てたものでもないなと、読者諸兄に思っていただいただけでも、ほっとしている。諸兄のリアクションによって、私の蒙が啓かれた。ありがとうございます。

 「文学」と「日経ビジネスオンライン」の組み合わせが「水と油」ではないということがわかったとはいうものの、「まぜるな危険」でないという保証はないので、相変わらずドキドキしながら書いている。

世界小娘文學全集 文藝ガーリッシュ 舶来篇』 千野帽子 著、河出書房新社、1,680円(税込)

 ほんの10年ほど前まで、「『考える』を安価な娯楽として成立させる」メディア体験としては、私にとって文学より漫画のほうが身近だった。『世界小娘文學全集 文藝ガーリッシュ 舶来篇』(河出書房新社)なんて本を出しているので信じてもらえないかもしれないが、私がいまのような「文学の読者」になったのはほんの10年前のことなのだ。

 ところでいまでも、漫画を読んだり映画やアニメを観たりゲームをしたりするより、文学関係の本を読むことのほうが、なにか高級で偉い行為であると考えている人たちがいるらしい。

 そう考えがちな人とは、文学者でもなく、文学ファンでもなく、じつは

コメント6件コメント/レビュー

こういう記事が載る位やはり文学離れが(あるいは単なる活字離れ?)が進んでいるのだと思いました。若い時は面白い面白くない関係なく文句言わず,片っ端から読むこと。その後は片っ端から読んで面白くなかったら途中でも放り出し次の本を読む。すでに本の価値を見抜く力はついているはずだから自分の眼力を信じましょう。(2009/04/10)

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こういう記事が載る位やはり文学離れが(あるいは単なる活字離れ?)が進んでいるのだと思いました。若い時は面白い面白くない関係なく文句言わず,片っ端から読むこと。その後は片っ端から読んで面白くなかったら途中でも放り出し次の本を読む。すでに本の価値を見抜く力はついているはずだから自分の眼力を信じましょう。(2009/04/10)

「面白い小説」と「電車通勤」は「乗り越し危険」 ← うますぎます。 もう、だれですか? 完敗です。 夜桜見ながら乾杯しましょう。(2009/04/09)

4月2日に「乗り越し危険」とコメントされた方へ  うますぎます。拍手をおくりたいと思います。(2009/04/08)

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三品 和広 神戸大学教授