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ランナーはみな哲学者『そして、僕らは風になる』
~マラソンも仕事も「次の電柱まで頑張ってみよう」

  • 大塚 常好

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2009年4月8日(水)

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そして、僕らは風になる――走ることから学んだ夢をかなえる方法』 田中渉著、マガジンハウス、1333円(税抜き)

 ランニング・ブームが拡大している。

 3月の東京マラソンには定員の7倍以上の応募があった(昨年は5倍、一昨年は3倍)。

 読書が唯一の趣味だった旧知の編集者はここ2~3年、月1ペースでマラソンレースに出ている。この秋には100kmの“ウルトラマラソン”に出るのだそうだ。

 一体、どうしちゃったんですか、と尋ねたら、

「走るって、球技とかがヘタクソな運動音痴の俺みたいな人間に向いてるんだよ」

 でも、42.195kmは退屈でしょ? ましてや100kmなんて……。

「いろんな景色を見ることができるし、完走後のビールがうまいぞ!」

 時には、美人OLや某TV局の女子アナと一緒に皇居を走ることもあるらしく、ミーハーなところもあるけれど、何せ、100kmである。ずいぶんストイックなのだ。

 こうした新規参入ランナーを当て込んでか、ランニング本の出版が相次いでいる。

逆境に強くなるランナー語録

 本書は、シリーズ累計100万部を超えるベストセラーとなった『天国の本屋』(松久淳氏との共著)の田中渉氏による最新作だ。

 主人公は、難病を患う男子高校生と、妻子を事故で亡くし、いつもサンタクロースの服を着て街をうろつく元サラリーマン。「人生どん底」の状態で出会った二人はいつしか心を通わせ、共に大きな夢を追い始める……というハートウォーミングな小説なのだが、作品の効果的なフックとなっているのが、ストーリー中に織り込まれる歴代の著名なマラソンランナーの語録である。

 例えば、元サラリーマンは、あるトラブルにまきこまれ全力疾走を余儀なくされる中、子供の頃に感銘を受けたメキシコ五輪マラソンの銀メダリスト・君原健二の言葉を思い出す。

「希望とは一筋の光さえあれば持てるものだ」
「次の電柱まで頑張ってみよう……」

 走るごとに、はぁ、はぁと息が苦しくなる。脚の筋肉も悲鳴を上げている。今すぐ走るのをやめて、ライバルとのデッドヒートから解放されたい。でも……。

 次の電柱まで走ろう。そしてその電柱にたどりついたら、また「次の電柱まで」。それを42.195km先のゴールまで延々と繰り返していく。

 そうやって苦境の中でも「粘って諦めない心」を結晶化させたような君原の言葉が、主人公の心象風景と見事にシンクロしていく。

 他にも、随所に登場する「語録」をいくつかあげてみよう。

「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。
やがて大きな花が咲く」(高橋尚子/シドニー五輪金メダル)

「自分で何か一つのことをやり遂げようとしたら、
ある程度信念を持って貫かなければ成功しない」(小出義雄/高橋尚子や有森裕子などを育てた名監督)

「走った距離は、裏切らない」(野口みずき/アテネ五輪金メダル)

「私は今週、人生のどん底のどん底を味わった。
しばらく時間はかかるけれど必ず戻ってくる」(ポーラ・ラドクリフ/マラソン通算10戦8勝)

 本書の章末や巻末には、ランナーのプロフィールや、その語録の背景&エピソードもついていて、とても気の利いた構成になっているが、それより何より、語録の1つ1つが美しく、胸に刺さる。

 若干、精神論的な辛気くささもあるが、逆境に立ち向かう姿はちょっとマネしてみたい気持ちにもなる。とりわけ、経済危機に喘ぐ現代ならば。

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