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「いい人」になれるチャンスを逃がすなんて…~『もったいない主義』
小山 薫堂著(評者:朝山 実)

幻冬舎新書、740円(税別)

2009年4月14日(火)

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評者の読了時間3時間30分

もったいない主義──不景気だからアイデアが湧いてくる!』 小山 薫堂著、幻冬舎新書、740円(税別)

 たとえば、あなたが駅のホームで、本に目を落としながら電車を待っていたとします。

「すみません」

 背後から声をかけられ、顔をあげると、知らない男性が、「実はそれを書いた人は僕の友人で、もしその人に会いたいのだったら、僕がつないであげますよ」と、名刺を差し出してくる。

「よかったら僕にメールをください」

 男性は、あなたが本にいっぱい付箋を貼ってあるのを目で示しています。さて、あなたなら、彼にメールをしますか? 

 本書の著者、小山薫堂さんは、「料理の鉄人」などを手がけてきた放送作家で、最近だと映画「おくりびと」の脚本を書いたり、東北芸術工科大学の学科長を務めたり、企業のコンサルティングやPRの仕事をしたり、と大忙し。『考えないヒント』など著書も多い。

 そういう、人がたくさん集まってくる人の頭の中はどうなっているのか。本書は、パカッと開いて見せている。

〈僕は常々、打ち合わせ相手に「うちに来てください」と言うより、向こうから「そちらに行きます」と言わせたい、と思っていました〉

 小山さんの会社は、受付から変わっている。来たいと思わせる受付といったら、なにが思い浮かぶだろう。美人の受付嬢、それとも、ハンサムくん? でも、受付だけの人なんて「もったいない」というのが小山さんの考え。

「会社の受付」の潜在能力

 会社があるのは東京港区のオフィス街で、昼時になると「ランチ難民」が発生するほど、食べ物屋さんが少ない。だったら、と、パン屋さんを受付にしてしまった。

〈一般のお客さんがパンを買っている横で、「打ち合わせに来ました」とショーケースの向こうの女性に告げると、「はい、ではどうぞこちらへ」と案内され、一見ただの壁に見える扉が開き、奥の応接ルームに通される。たったこれだけのことでも、お客さんに、どこか秘密基地に入っていくようなワクワク感を味わってもらえるかもしれません〉

 面白い。パンが嫌いな人はすくないし、ワタシも「ここのパン、差し入れにもっていくんですよ」と取材先の人に言われ、口にいれてみたら、たしかにおいしい。それからというもの、会社を訪ねる機会がなくなってからも、ときおり足を伸ばしてパン屋に立ち寄り、紹介してくれた人と店でバッタリ。「わざわざ寄ったんです」と言うと、彼は取材中には見せなかった、にやりとした笑顔をみせた。

 話をもどすと、小山さんの会社で受付兼パン屋さんをしている「イズミちゃん」という女性は、『考えないヒント』を読んでスタッフに応募してきたとか。クリエイティブな仕事だけをしたいと思うような人だったら、どうだったか。

 いまでは、パン屋の看板はいい目印となって、街に溶け込んでいるという。「受付兼パン屋」を面白がる、そんなイズミちゃんを仲間だと思う職場の空気。会社はいろんな要素が複合して、まわっていくという一例でもある。

 小山さんの発想の根底にある「もったいない」は、浪費をたしなめるために使われる「もったいない」とはちょっと違っている。

 たとえば、ホテルオークラ東京で、著者がミートソーススパゲティを食べていたときのこと。「あ、痛!」と思ったら、木片が混入していた。ソースをかき混ぜる木のへらが割れていたらしい。

 すぐに帽子をかぶったシェフがやってきて、丁寧に謝罪したあと、「時間の余裕がございましたら、デザートをサービスさせていただいてもよろしいでしょうか」と言う。

 好印象を抱いた小山さんは、この一件を「フォロー」の見本としていろんな人に話し、この本にも書いた。オークラとしたら、絶好のPRである。

 「シマッタ」というのは、よくあること。あるドラマの撮影中、高価なバカラのグラスを、取材にやってきたカメラマンが割ってしまった。

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