• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「前向きに!」だけじゃ人は救えない~『モデル失格』
押切 もえ著(評者:澁川 祐子)

小学館101新書、740円(税別)

  • 澁川 祐子

バックナンバー

2009年4月15日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

評者の読了時間2時間00分

モデル失格──幸せになるためのアティチュード』 押切 もえ著、小学館101新書、740円(税別)

 売れっ子モデル・押切もえの言っていることは、すこぶる正しい。

 うまくいかないことを人や環境のせいにせず、ベストを尽くす。傷つくことを恐れず、ダメ元でチャレンジする。行き詰まっても落ち込んでも卑屈にならず、楽しく過ごすよう気持ちを切り替える。コンプレックスを個性に変える努力をする。「好き」という気持ちを大切に、夢や幸せに向かって前向きに走り続ける──。

 どこをどうめくっても、人として真っ当なことが書いてある。だがあまりに真っ当すぎて、つい意地の悪い見方をしたくなってしまう。どんなに体調が悪くてもカメラの前では笑顔を作らなくてはいけない職業ゆえの、これまたある種のポージングなのではないかと。

 とはいえ、太宰治の『人間失格』をもじった書名のとおり、本書では、現在の華々しい姿からは想像しがたい過去も明かされている。

 「臆病、あきらめが早い、人見知り」だった10代の頃、食品製造工場で日雇いアルバイトしていた下積み時代、首の骨を折る大怪我を負って長期休養を余儀なくされた日々……。いまでこそ赤文字雑誌(OLや女子大生向けの実用ファッション誌。背表紙やロゴが赤いことからこう呼ばれる)の代表モデルとして活躍している彼女だが、決して順風満帆に歩んできたわけではない。

「ダメな私でも、こんなに変われた!」

 そんな半生を振り返ったうえで、くだんのような「もえ流ポジティブ論」が展開されていく。「昔はこんなにダメだった→でもこんなふうに変われた!」という具体例(英会話ができなかった、無理なダイエットばかりしていた……等々)が列挙され、「こんな私でも変われたのだから、あなたもがんばって」というエールがたびたび送られるのだ。

〈挫折をするたびに、私は心の底から「変わりたい」と思いました。「こんな自分では、だめだ」、と。/それは見た目ももちろんですが、挫折を導いてしまう自分の弱い精神力について思うことがほとんどでした。チャンスをものにできない、努力しない、中途半端な自分。だからこそ、性格や習慣も、変えていけたのだと思います〉

 そして、〈「変わりたい」と思えば、人は何でもできるし、何にだってなれる〉と強く言い切る。

 「三つ子の魂百まで」と言うように、人間、変わろうと思ってもなかなかそれでまでのクセや習慣を手放せるものではない。「変わることができた」著者は、きっと人知れず奮闘を続けたすえにいまの自分を手に入れたに違いない。

 ただ、この本を読む限り、一つ一つのハードルを超えるために要した苦労や努力が伝わってこないのだ。過去のネガティブ要素は、現在のポジティブさを引き立てるスパイス程度にふりかけられ、さらさらと流れていってしまう。

コメント7件コメント/レビュー

40代女性です。私ももえさんの「モデル失格」を読みましたが、面白かったです。会社で働く20代、30代女性にとって身近で、親近感のあるモデル(それがまた人気の秘密だと思いますが)の友達感覚で読める本だと思います。友達も頑張ってるから、私も頑張ろうという感じの本ですし、実際私は前よりもえさんに好感がわきました。評者やこちらにコメントを書かれている方は「だまされてる」と思われるかもしれませんが、そういう軽い感覚やノリで読む本もあるのだと思います。むしろ、そういう「感覚」があるかないかの尺度になる本かもしれません。しかし、そういう「感覚」があるかないかが、またこれからの時代に必要なのかもしれません。(2009/04/16)

「NBO新書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

40代女性です。私ももえさんの「モデル失格」を読みましたが、面白かったです。会社で働く20代、30代女性にとって身近で、親近感のあるモデル(それがまた人気の秘密だと思いますが)の友達感覚で読める本だと思います。友達も頑張ってるから、私も頑張ろうという感じの本ですし、実際私は前よりもえさんに好感がわきました。評者やこちらにコメントを書かれている方は「だまされてる」と思われるかもしれませんが、そういう軽い感覚やノリで読む本もあるのだと思います。むしろ、そういう「感覚」があるかないかの尺度になる本かもしれません。しかし、そういう「感覚」があるかないかが、またこれからの時代に必要なのかもしれません。(2009/04/16)

本書は読んでいないし読む気もないので的外れかもしれませんが、これはゴーストライターがいるでしょう? それに、本になる前に、まず事務所の検閲も入ってきますよね。モデルさんご本人の素がそうだというよりも、ゴーストとのインタビューの間にやり取りされた中から抽出された、外部向けの、当たりのいい部分を凝縮したものが本で書かれていることであって、ご本人の思いはどの程度その通りなのか、というのとは分けて考えるものなんじゃあないのかな、と。想定読者も、基本はモデルさんのファンたちですから、そのファンたちが投影したい、見たいと思う「彼女像」が、そこに描かれているのではないかと予想しています。(2009/04/16)

最近ファッション雑誌にはご無沙汰なのですが、ある種のノスタルジーを感じました。と言っても決して肯定的なものではありませんが。売れっ子モデルになること、英会話ができることが成功体験とは、何とも夢が小さい・・・。そういう女性の次なる夢を具現化した雑誌がVERYなんでしょうね。それともいきなり天然生活に行ってしまうのか?どちらにしても所詮は井戸端で見る夢です。10年前、20年の自分から見た女性の成功体験ってこの程度だったなあという感慨はありますが、今の世の中、もっと大きな夢を持って欲しいなあとも思います。女性よ大志を抱け!(2009/04/15)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

(マンションの即日完売という)異常な状況が、普通のところに戻ってきたのです。

沓掛 英二 野村不動産ホールディングス社長