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21世紀の産業革命は日本が起こせ~『日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』
村沢 義久著(評者:荻野 進介)

文春新書、800円(税別)

  • 荻野 進介

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2009年4月23日(木)

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日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』 村沢 義久著、文春新書、800円(税別)

 先ごろ、地下鉄の広告をぼんやり見ていたら、「太陽へ吠えろ!」という見出しが目に飛び込んできた。

 何だろうと思ったら、太陽電池に代表されるソーラービジネスに鎬を削る各社の動きを報じた経済誌の特集タイトル。実際、海外勢の追い上げがあるものの、金融危機のあおりで家電や半導体市場が壊滅的打撃を被った日本の電機業界にとっての巨大フロンティアらしい。

 本書は、そのソーラー発電と、そこから得られる電気を動力源とする電気自動車の組み合わせが、地球環境問題の解決、目の前の経済危機からの脱出、さらには長期的な経済成長の原動力ともなり得るという“一石三鳥”論を説く。日本は太陽光発電の技術で世界をリードしており、さらに自動車作りはお家芸である。著者の主張には耳を傾けてみる必要がありそうだ。

 太陽光発電をはじめとした環境ビジネスが世界的に注目されているのは、100年に1度の金融・経済危機の中、グリーン・ニューディール政策を掲げた米オバマ政権の存在が大きい。

 著者は、今回の危機は100年に1度という景気変動の波に対応したものではなく、もっと大きな時代の転換期を象徴するできごとではなかったか、と述べる。それは、「燃やす文明」から「燃やさない文明」へ、いわば100万年に1度の変革期と見るべきだ、と。燃やす文明の集大成が約200年前に起こった産業革命であり、その本質は〈人工的な動力の使用による産業の爆発的な発展〉だった。

 今般、「燃やす文明」が行き詰ったのは地球温暖化と石油燃料の枯渇という問題が立ちはだかったからだという。人間の諸活動を支える諸部門のうち、石油の消費量が最も多いのは運輸(世界の運輸の55%、アメリカに至ってはその69%が石油で支えられている)。その中核をなすのが自家用車であり、中国とインドにおける急速な普及が両国の石油需要を増大させている。

 一方、「燃やす文明」の集大成、産業革命と踵を接し、「燃やさない文明」も幕をあけていた。電気の利用である。なかでも著者はエネルギー源が無尽蔵かつ二酸化炭素や有害物質も一切出さない、つまり何も「燃やさない」太陽光発電を推奨すべく、他の代替エネルギーとの優劣比較論を展開する。

定期預金と比べれば「悪くない投資」?

 まずは、発酵させた植物体(トウモロコシなど)を燃料化する、いわゆるバイオエタノールだ。これについては、食料生産と競合する、精製過程で多量のエネルギーロスが出る、農地確保のため環境破壊が進む、といったマイナス面を指摘し、将来性に疑問を投げかける。

 石油や石炭といった化石燃料を使いながらも、二酸化炭素が大気中に拡散する前に回収して地中に貯留するCCS(Carbon Capture and Sequestration)も、コスト面で割高、自動車のような分散排出源に対応できないといって退ける。

 電気と同じくクリーンなエネルギー媒体として知られる水素に対しても、現在の技術では生成過程で二酸化炭素の発生が不可避、自動車利用に必須な水素燃料電池のコストが高すぎる、運搬や供給に関する大がかりなインフラ整備が必須、といった問題点を抽出。

 そこで太陽光発電となるわけだが、現行のシステムは改善の余地が多々あることも著者は認めている。光から電気への変換効率が15~20%と低いうえに、一般家庭向け4キロワットの標準品は設置費込みで約270万円と決して安くない。28年も使って初めて元が取れる計算だ。年間の電気代節約費は9万6000円で、利回りという視点でみると3.6%となる。

 それでも、これは定期預金の金利1%以下と比較して〈悪くない投資〉であり、〈太陽光発電システムの大きな強みは、一度設置すれば、数年おきに点検する以外、後は操作の必要もなく全自動運転で動いてくれる〉と著者はいうが、意見が分かれるところだろう。

 上記の「28年」は平均的なソーラー・パネルの耐用年数(20~30年)ぎりぎりだし、「数年おき」にせよメンテナンス費用が発生すれば、投資資金の回収はより困難になる。

 著者は、こうしたシステムのコスト高を解決するには、大量生産を意図的に進めればよい、と述べ、こう続ける。

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