「著者に聞く」

G20は何も分かっていない

『資本主義崩壊の首謀者たち』の著者、広瀬隆氏に聞く

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2009年4月24日(金)

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 世界同時不況の底が見えない。ロンドンで開催された20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)では、世界金融危機の解決が議題となった。国際通貨基金(IMF)の資金を従来の3倍となる7500億ドルに拡大、2010年までに各国が総額5兆ドルを財政支出といった景気刺激策が打ち出された。

 しかし、これでサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)で露わになった不良資産問題が片づいたわけではない。金融危機の発端となった米国の政治・経済に精通し、4月17日に『資本主義崩壊の首謀者たち』を出版した作家の広瀬隆氏は、世界経済混乱の原因をどう分析しているのか。

(聞き手は日経ビジネスオンライン 戸田 顕司)

―― 昨年9月に米国で起きたリーマン・ショックの影響は、先進国、新興国問わず、世界経済全体に波及しています。20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)で、各国が景気刺激策を打ち出しています。

広瀬 隆(ひろせ・たかし)氏
1943年東京生まれ。早稲田大学卒業。アメリカ合衆国の権力構造を政財界の人脈調査から分析・研究している。書著に『東京に原発を!』(集英社)、『赤い盾−ロスチャイルドの謎』(集英社)、『世界石油戦争』(NHK出版)、『世界金融戦争』(NHK出版)、『一本の鎖』(ダイヤモンド社)など。
写真:村田 和聡

広瀬隆 金融サミットでは、どれほど金融システムの規制がなされるかと見ていましたが、首脳の合意事項としては、「ヘッジファンドを金融規制・監督の対象とする。タックスヘイブン(租税回避地)の規制強化」というだけで終わっています。これは、ヘッジファンドだけが今回のような金融崩壊を起こし、彼らの資金がタックスヘイブンに隠されているという認識によるものです。

 この認識は間違っています。ヘッジファンドに代表される“投機屋”が、原油や穀物の価格高騰をもたらし、またその売り逃げを行った結果の暴落となったことは確かです。が、その尻馬に乗って価格高騰を煽って儲け、バブルを生み出し、最終的に世界的な金融崩壊をもたらしたのは、商業銀行などの巨大金融機関だったのです。

 G20は、何も分かっていない集団の形式的な会合にすぎません。


制御できない「経済フランケンシュタイン」

広瀬 ここ20年ぐらい米国を調べてきましたが、私が想像している以上の出来事でした。最も興味深かったのが、自分たちが「経済フランケンシュタイン」を作ってしまい、それがどうなるのか誰にも分からない恐ろしさです。

 金融損害が全米に拡大した背景には、銀行と証券会社の分離を定めた「グラス・スティーガル法」が“骨抜き”となったことがあります。1999年に発効された「金融サービス近代化法」です。規制の枠を外したことで、米国中のお金が商業銀行を経由してウォール街の投資業界に流れ込む仕組みができました。銀行と証券の利益争奪戦となり、金融界は“投機屋”と化けていきました。

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