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ミツバチと魚の激減、そして失われる築地

人為が破った均衡、生かされない乱獲の教訓

  • 松島 駿二郎

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2009年4月24日(金)

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 ミツバチの激減や、漁獲量の低下が新聞を賑わしている。ホントのところ何が起こっているのだろうか。どちらも、ハチや魚の気まぐれではなく、人為のせいだ。東京オリンピックのために築地市場が移設される。世界最高の市場「築地」も失われる。

◇   ◇   ◇

 ハチはなぜ大量死したのかローワン・ジェイコブセン著 中里京子訳 福岡伸一解説 文藝春秋社刊 1905円(税別)

 最初に異変に気づいたのは米ペンシルベニア州の養蜂家デイブ・ハッケンバーグだった。養蜂家はミツバチの餌を求めて放浪する。日本でもアカシアの花が咲けば東北へ、レンゲの花が咲けば九州へ。花から花へと放浪するのが養蜂家の宿命だ。

ハチはなぜ大量死したのか』ローワン・ジェイコブセン著

 ハッケンバーグは、ペンシルベニアの冬はミツバチの越冬には寒すぎるとして、南部フロリダに巣箱を移していた。彼がミツバチの異変に気づいたのは今からおよそ3年前、2006年11月12日の夕刻のことだった。

 ハッケンバーグはプロの養蜂家である。その夕刻、400箱ほどの養蜂箱が設置してある、コショウボクの原野に足を踏み入れた瞬間に、何かおかしいと気づいた。いつもならうるさいほど羽音をうならせているミツバチの羽音がないのだ。

 ハッケンバーグは400箱ある養蜂箱を片端から開けてみた。1箱に数万匹入っているミツバチが全部消えていた。ミツバチの失踪など、50年養蜂業をしているハッケンバーグは聞いたことがない。ミツバチは天の摂理で、確実に蜜を巣に持ち帰る小昆虫だ。

 全米に散らばる、仲間の養蜂家に片端から電話をかけたハッケンバーグは背筋が凍りついていくのを感じていた。どこもかしこも、誰も彼もがミツバチの失踪に直面していた。活気のある養蜂箱は楽しい。ブンブンと箱自体が羽音に同期して、陽気にうなりを上げている。

有史以前から続いたミツバチとの共生

 この時全世界でミツバチの失踪が相次いでいた。1907年には北半球のミツバチの4分の1が失踪した。

 全世界の花をつける植物のほとんどは、媒花虫に頼っている。花は昆虫の目を引くために美しい装いを凝らす。そして甘い蜜をどうぞ、と差し出す。その美しさと蜜の甘さに誘われてハチが来て、花の中を引っかき回す。その時花は受粉を完了する。そして実をつける。その実のほとんどは、人類の日々の食卓に欠かせない野菜や果物となる。

 私たちは有史以前から、ミツバチと花、その受粉の成果と親しくつき合ってきた。スペインのバレンシアに近い山地の崖に「バランク・フォード」と呼ばれる洞窟がある。そこで発見された先史時代の壁画に、人々が高い木にはしごを掛けてハチの巣を採っている図がある。ハチと人類とのつき合いは長く、古代エジプトでも、ギリシャ時代でも、古代ローマ時代でも、西欧の中世期でも、蜂蜜はいつでも人類の友人だった。

 いわば、植物とハチと人間の3者が稀に見る共生の時代を過ごしてきたのだった。植物はハチなしには実をつけられない。植物の実がなくては人間は飢餓に晒される。人間はこの共生の期間にハチを大事にすることを学んできた。

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