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完全変態まで、しばらくさなぎで休みなさい

2009年4月27日(月)

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 クサナギ容疑者の事件については、ご案内の通りだ。賢明なる読者諸兄は、細かい事情についても、既に大筋を把握しておられることと思う。なにしろ大騒ぎだったから。

 一夜明けて、詳細が判明してみれば、なあに、たいしたヤマではなかった。酔っ払いが裸で騒いだという、それだけの話だ。

 仮に同じことをやらかしたのがそこいらへんの営業マンであったのなら、保護連行説諭の上釈放でおしまい、これにて一件落着の微罪だ。一晩留め置かれたところで、まず送検までは行かない。起訴なんてなおのこと。そりゃたしかに通報があった以上、警察官とて出動せざるを得ないだろうが、ふつう、逮捕に至ることはない。その程度の事例だ。

 もちろん、身柄を貰い下げにやってきた課長にはアブラを絞られるだろうし、事務所に戻れば戻ったで、半月やそこいらは職場のオモチャになる。当然だ。あるいは、むこう一年か二年は、なにかにつけて当てこすりの対象になるかもしれない。でもまあ、総体として、ゼンラーマンは、そんなに悪い扱いは受けないものなのだよ。女子社員の一部は視線を避けるようになるかもしれないが、少なくとも先輩には可愛がられる。退屈な職場にデカい話題を提供した奇特な社員として。

「おお、元気か? 全裸一犯(笑)」

 とかいった調子でいじられつつ。間違いない。

 実際、このテの社員は、何百人規模の会社なら、5人程度は必ずやころがっているものなのだ。
 何千人の会社なら十数人。一種の戦力でさえある。
 武勇伝……と、自慢できる過去ではないし、無論、吹聴して誇るような事件でもない。
 でも、結果として、このテの不祥事は、オフィスでは武勇伝となり、伝説として語り継がれることになる。時には「昔は豪快な社員がいたがいまの若い奴らは……」式の説教のネタ元にさえなっている。善し悪しは別にしてだが。

 この度の事件が大事件として伝えられたのは、要するに、当事者が有名人だったからだ。

 ニュースバリューは、事件それ自体の重大さよりも、むしろ、事件に関わっている人間の知名度に依存している。そういうものなのだ。
 
 もうひとつ、今回の事件について、その扱いが、過大な方向に傾いたのは、ここ数年、大手プロダクションに所属する芸能人が引き起こした不祥事において、その報道のされ方が、何かと話題になっていた背景がある。もう少し具体的な言い方をすると、つまり、テレビ局各社が、「大手の芸能事務所に遠慮している」というふうに見られることを、意識するあまり、逆の意味での過剰反応をした可能性があるということだ。

 もっと単純に、クサナギ容疑者(および彼を守ろうとしている人々)が、関係者を黙らせるほどのパワーを持っていなかったというふうに考えることも可能だ。

 ま、そうなのかもしれない。
 スケープゴートとして好適な大きさの獲物――と、メディアにとって、クサナギ物件は、それぐらいの対象に見えていた。あり得ない話ではない。

 たとえばこれが、もっとコワモテで、もっと影響力がデカくて、より以上に厄介で禍根を残しそうな人物の関係者が起こした事件であったのなら、そもそも第一報からして報じられなかったかもしれない。ネタ自体が内輪でバーニング(燃え尽きて)しておしまい。外には漏れない。もみ消され、握りつぶされ、忘れられ、灰になるわけだ。完膚無きまでに。いや、確証があって言っているのではない。そういうこと(←「バーニング効果」ね)も、あるような気がするね、という話です。もごもご。

 振り返ってみれば、今から8年ほど前、2001年の8月、クサナギ容疑者と同じSMAPの構成員であった稲垣吾郎氏が逮捕された折、メディア各社の対応はモロに及び腰だった。

 おぼえていない人のために、話を整理しておく。

コメント35

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「完全変態まで、しばらくさなぎで休みなさい」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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安形 哲夫 ジェイテクト社長