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とりあえず払ってて損はない!~『「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?』
細野 真宏著(評者:麻野 一哉)【奨】

扶桑社新書、700円(税別)

  • 麻野 一哉

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2009年5月11日(月)

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評者の読了時間1時間30分

 2002年。会社をやめてフリーになったときの話だ。健康保険やら年金やら、サラリーマン時代には意識してなかった諸制度の切り替えを、自分でやるべしという事態になって、けっこうあわてた。

 「なんとなく給料から引かれてる税金みたいなもの」ていどの認識でいたところ、それ以降、年金の問題がにわかにクローズアップされた。

 菅直人が年金を払ってないとか、それを非難した故筑紫哲也も払ってなかったとか、払ってたらおかしいのに払ってた小泉純一郎の「人生いろいろ」とか、「年金、払え!」というCMに出た江角マキコが未納だったとか。まあ、天引きのサラリーマンからすると、「払わない」という選択肢が存在すること自体が、別世界の話だろうが。

 やがて未納の問題から、官僚のダメっぷりに焦点がうつった。「宙に浮いた年金記録」「意味不明の保養所グリーンピア」「視察旅行と称した豪華海外観光旅行」……この何年も、ずっと年金の話題は途切れなかった。

 そういった一連の報道の結果、不信感が増大し、今、多くの人が、こういう印象を持っているのではないか。

「年金制度って、破綻するんじゃないの」
「ちゃんと納めても、結局損しそう」
「制度が複雑すぎる」
「世代間で不公平」
「結局いくらもらえるか、見当もつかない」

 自分もそんな風に思っていた……ところに飛び込んできたのが、本書である。新書の9割はタイトルで決まるが、完全にその術中にはまった。買ってしまった。読んでしまった。

 結論から言うと、年金は払うべきです。というか、払わないと損! 大損! 年金制度は破綻しない! ……こんな風に書くと、あまりに煽られてると言われそうだが、こう書きたくなるだけのインパクトはあった。

 タイトルにもあるように、問題のひとつに「未納者の増大」がある。つい先日も「国民年金納付率、過去最低の公算」なんてニュースが流れたが、国民年金の4割近くが未納になっているというものだ。

未納者は国民全体の5%にすぎない

 これを聞くと、「うわ、まずいんじゃ?」と思う。しかし、そもそも国民年金を意識的に払うべき人というのが、全体からするとすごく少ない。

 説明します。まずは、年金制度は「国民年金+厚生年金+共済年金」で成り立っている。以下のように。

自営業 国民年金
サラリーマン 国民年金+厚生年金
公務員 国民年金+共済年金

 サラリーマンや公務員は厚生年金や共済年金とセットで払っている。天引きで。つまり、国民年金を自分で払っているのは自営業の人たちだけで、彼らだけが「未納が可能」。一方、年金を支えてる大多数の「勤め人」に未納者はほとんどいない。だから、4割未納といっても実態はたったの5%ほど。影響力はない。

 また、そもそも未納者の増大は、将来に影を落とさない。

〈「国民年金」については、2009年度から若者の負担を減らすため、高齢者に支払われる年金の半分は「税金」から支払うようになることが決まっています。つまり、「国民年金」の個人の保険料の負担は半分で済んでしまうようになるのです〉

 ところが、今未納でいる人は、将来年金がもらえない。なのに、もらえない年金の半分の額は税金という形で払っている。これは、未納者からすると明らかに「払い損」。制度の側からすると、破綻の原因というよりも、むしろ「助かる」形になっているということだ。

 次に、「年金を納めても、合計額より少ない金額しかもらえないのでは?」という懸念がある。これについても著者はこう断言する。

〈例えば現在20歳になる人でも、今年生まれた赤ちゃんの場合でも、実際に国に払う「保険料」よりも、平均的に将来もらえる「年金」が1.7倍に増える計算になっています!〉

 ビックリマークつき!

 もちろん早死にすれば、別だ。しかし、平均的な寿命であれば、こうなる。しかも、インフレ対応だ。民間の年金保険だと、そうはいかない。いくらインフレになっても、初めに提示された額だけになるし、そもそも、1.7倍というリターンはありえない。

 メリットはまだある。

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